3月号
「僕はいま、自由に笑えるコメディをやりたい!」 ケッチさん<フィジカルコメディアン>
『が~まるちょば』の赤モヒカンとして活躍し、現在ソロ活動中のケッチさんにお会いしました。3月25日(土)はフィジカルコメディ『ケッチスケッチ』を神戸国際会館にて公演予定。どんな舞台になるのでしょうか。
フィジカルコメディとはどんなアート?
主にパントマイムやクラウニングと言われる身体的表現を使ったエンターテインメント。言葉の情報がないので、お客さんに想像してもらうアートです。舞台にあがった僕は、年齢も言わないし、職業も言わない。大きな道具も衣装もない。どんな人かは、観ている人がそれぞれ自由に決めてくれたらいい。
想像力って経験値に従って備わるものですよね。例えば“壁”の表現(※壁のパントマイムをしながら)。大人には見えないはずの壁が見えるだろうけど、子どもにはどうだろう。同じパフォーマンスでも、この動きがダンスに見えるかもしれない。一緒に観ていても“見えて”いるものは同じではない。僕はそこ面白いなと思っています。
言葉が無いから誰でも楽しめる!
そういうことです。世界中のどこでパフォーマンスしても必ず笑ってくれます。だから外国人の友だち、親子、恋人、おばあちゃん、お孫さん、どんな人を誘ってもいいんじゃないかな。僕、ソロになったときに「コメディをやろう」と決めたんです。笑いに“壁”はないですから。
パントマイムとの出会いはいつ?
子どもの頃、テレビで沢田研二さんがパントマイムで“壁”をやっているのを見たのが始まり。「面白いな」と思って次の日には学校で真似していました。海外ではデヴィッド・ボウイがパフォーマンスにパントマイムを取り入れていて、それからマイケル・ジャクソンのムーンウォークやブレイク・ダンスなんかが流行り始めて、それがカッコよくてね。映画を何回も見て、見よう見まねで動きを練習。とにかく上手くなりたくて。
「本気で勉強しよう」と思ったのは高校の文化祭。すごくウケて、これ職業にできたら幸せだなと思いました。子どもの「カッコイイな」という憧れからここまできた感じですね(笑)。
2019年に『が~まるちょば』の赤モヒカンをやめどちらへ?
ヨーロッパです。若い頃にやりたかった勉強をしよう!と思って、脱退した4日後にはドイツで生活していました。「即興演劇」を生んだキース・ジョンストン先生には世界中の表現者が学んでいて、僕もものすごく影響を受けました。先生の授業を受けることが渡欧した理由のひとつです。
もうひとつは「クラウニング」。“クラウン”の勉強です。クラウンの難しいところは、素直になること。身体的なテクニックだけでなく精神論も重要です。伝える芸術ですから、要は“心”です。経験を積んだからこそ理解できたこともあって、学ぶっていいことだと思いました。まだまだ昇華できてはいないけどね。
あと、勉強だけでなく、街を歩いたり、わりとのんびり過ごしていたことも正直に言っておきます(笑)。
フィジカルコメディアン
ケッチ
1999年『が~まるちょば』を結成。パントマイム・デュオとして活動。2019年再びソロに転向。ヨーロッパを拠点にアーティスト活動の他、演出、ワークショップなども手掛ける。新型コロナの影響で帰国し、日本でのソロ活動を本格的に開始。
公演情報
日 時:2023年3月25日(土)
13:00/16:00
会 場:神戸国際会館こくさいホール
料 金:おとな4,500円
こども(4歳~小学生)3,000円
※全席指定・税込
問合せ:神戸国際会館
078-231-8162
text.田中奈都子