2月号
神戸モダニズムの象徴「異人館」「和洋館」で
神戸の〝多様性〟体験ツアーを体験!
去る昨年12月5日、普段は公開が限定されている異人館や洋館を訪ね、神戸の歴史とダイバーシティーをテーマにするモニターツアーが開催された。この企画には本誌も参画している。
当日は旅行業界関係者やメディア関係者が参加、プロの観光ガイドの詳しい説明を聴きながら、神戸市内の4つの建物を巡った。まずは、神戸開港後に外国人向け住宅として建てられた異人館を2邸ほど見学。相楽園にある旧ハッサム住宅では、張り出し窓や破風飾りなど、明治時代の異人館の基本的なデザインに触れた。現存する異人館としては最大級の旧ハンター住宅では、マントルピースの配置の特徴や日本の気候に合わせた工夫など、ガイドの詳しい解説に参加者たちは興味津々。
次は昭和時代の和洋館へ。旧乾邸は、和と洋の要素を融合させた渡邊節の名建築。数々の映画やドラマのロケにも使われたゲストルームや、海を望むサンルームまでじっくりと。
最後は塩屋のジェームス邸で、竹中工務店ならではの「竹中調」デザインを生んだ早良俊夫の意匠を愛でながら各室をめぐり、淡路島を望む絶景の展望台にも上がった。ここはレストランとして活用されているのでディナーも。神戸の食文化も体感すべく、洋食の代表的なメニュー、カツレツに舌鼓を打った。
食事の前後にもさまざまなプログラムが。神戸フィルムオフィス代表の松下麻理さんを招き、神戸の洋風文化の成り立ちと、歴史的建築物を活用したロケについて語ってもらった。旧乾邸やジェームス邸の家具や内装を手がけた老舗家具店、創業150年の永田良介商店の六代目の永田泰資さんのトークショーもあり、神戸家具の歴史や文化財の補修などこのような機会でしか聴けない秘話もいろいろ。最後は神戸のジャズ文化を目と耳でと、生演奏もおこなわれた。
今回訪ねたスポットは見学するだけでも興味深いが、その背景にある文化を学ぶとより印象が深くなる。今回のツアーを叩き台にして、神戸の多面的な魅力を高めるツーリズムが実現するのではないかと期待される。