9月号
平尾工務店 「オーガニックハウス」 お住まい探訪[Vol.1]
芦屋の海を見下ろす家
芦屋市S様邸
近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトの有機的建築の思想を継承し、時を経ても色褪せることのない理想の住まいオーガニックハウス。今回、芦屋市S様邸にお伺いしました。
眺望を愉しみ尽くす家
この絶景、ひと言で言えば「感動」。街の向こうに広がる海、梅田の高層ビルやあべのハルカス、関西国際空港だけでなく、天気の良い日は淡路島まで望めるとか。このパノラマを愉しみ尽くす。それがこの住まいの一番の特徴です。リビングは連続窓が一面に広がり、優雅な雰囲気と眺望を両立。一つひとつの窓が縦長なので遠近感が際立ち、丘の中腹ならではの風景により奥行きを感じさせます。
視線を遮らないように、バルコニーの手すりは強化ガラス製のものをチョイス。南向きゆえに夏場は日光と熱の入り込みが懸念されますが、深い軒の庇で直射日光を遮断し、窓は複層Low-Eガラスで暑さをシャットアウト、猛暑日の日中でも快適な室内環境を保っています。
眺めはバスルームからも。浴室に窓を設け、洗面の仕切り戸もガラスなので、生活の何気ないシーンを美景が彩ります。夜に明かりを落とせば煌めく夜景が眼下に広がり、「湯船」はまるで「宇宙船」のようです。
自然素材の美と快適
明るい空間もまた、この住まいの魅力です。フランク・ロイド・ライトの意匠を随所に織り込んで、折り上げ天井や間接照明が優雅。でも重厚過ぎないのは、インテリアに精通した奥様の意向で壁のタイルやフローリングなどをブライトな色調にしたから。窓が多いだけでなく、ホールにトップライトを設置し、隣家から見える部分も壁ではなく磨りガラスにして、自然光をたっぷり取り込みます。
自然素材もふんだんに。白い漆喰壁やナラ材の無垢フローリングは吸湿性があり、四季を通じて清爽な空気に「この心地よさは住んでみないとわからないですね」と奥様。壁にはタモ材、そして寝室の天井には一面にスギ材を貼り付け、木の温もりが格調と癒しを与えてくれて申し分ない居心地です。
何気ないデッドスペースに物入れを設け、キッチンにも大きなパントリーや食器棚など、収納や造作家具も充実。緩やかに繋がる空間を、より広く使える工夫が随所に施されています。
半地下構造で空間を確保
S様邸は二世帯住宅でもあり、オフィスも備えています。
ご両親の生活スペースは、LDKが一体化した大空間。さらに、内と外の境を感じさせず、視覚的にはデッキまで空間が連続し、その向こうに絶景が広がります。まるで街や海が〝わが家の庭〟のような距離感に思え、まるでリゾートホテルのような雰囲気です。また、地平フロアと玄関をホームエレベーターで結びバリアフリーを実現。高齢のご両親は大変喜ばれているとか。
オフィスにも連続窓を設置し、眺望と明るさを。フローリングや据付家具などはやや濃い目のカラーで、空間のトーンを落ち着いた感じに。ライブラリと応接のスペースは半地下室ですが、吹き抜けで空間を一体化。違うフロアでも声を掛け合え、光も差し込みます。規制が厳しい芦屋で十分な空間を確保するために、斜面地形を生かし、半地下空間を生み出しましたが、土木工事の実績がある平尾工務だからこそ実現できるアイデアです。
言いなりじゃないのが良い
「住宅展示場の中で際立っていて、圧倒的にモノが違うと感じたんです」と、ご主人が神戸東モデルハウスを見かけ吸い込まれるようにモデルハウスに入ったそうです。
実はご主人、海外留学中にライト展を見て、その時に落水荘にインパクトを受けたそうですが、窓を多くしたいという要望に平尾社長自らから「落水荘でいきましょう!」という提案があったのも不思議なご縁です。ダイニングの窓にそのデザインを流用しています。
「いろいろな物件を見学させてもらい、私たちの話を傾聴してくれて、要望を多く採り入れてもらいました」と奥様。一方で「施主の言いなりにならず、過去の実績に基づいて的確にアドバイスしてくれたことが嬉しかったです」とご主人。「特殊な土地を低コストで造成し使える敷地を広げてくれて感謝です。大手のブランドに惑わされている人は多いと思います。芦屋の人にもっと、平尾工務店のことを知ってほしいですね」。