6月号
harmony(はーもにぃ) Vol.52 癌遺伝子は 生命誕生の恩人か
NHKのテレビ番組で癌遺伝子のおかげで生命は誕生した、という説明がされていました。どういうことかというと、受精するときに精子が卵子にたどり着き、卵子の中に入るためには癌遺伝子の協力がないと精子は卵子の中に入ることが出来ず、受精が出来ないのです。
だから、癌遺伝子は人間だけでなく、他の生物にも存在して生命が誕生する大切な役割を果たしており、太古の昔に絶滅した恐竜の化石にも癌細胞が確認されています。
今や癌にかかる人は2人に1人で、癌で死亡する人は3人に1人、と言われるほど癌で亡くなる人は増え続けています。なぜ癌細胞が出来るかというと、癌遺伝子に変異が起こるからです。正常な細胞が増殖し、新陳代謝を繰り返すとき、コピーミスが起きて正常な細胞が癌細胞に変異するのです。変異の原因は紫外線、放射線、活性酸素、喫煙、添加物、大気汚染、などさまざまで加齢を重ねると長年にわたってこれらの影響を受け続けるため、高齢者人口が増えるとそれに伴って癌患者も増えていく事になります。私たちの身体には正常細胞のコピーミスで毎日数千から数万もの癌化した細胞が生まれているようです。
しかし、それらの癌細胞は癌抑制遺伝子によって増殖が抑えられたり修復されたりしていますが、免疫などの機能が落ちてくると、癌抑制遺伝子の働きが弱くなり、癌化した細胞が増殖するのです。
世界中の研究者が癌の治療を長年にわたって研究し、さまざまな薬が開発され、新しい治療法が試みられてはいますが、未だに癌を根治する方法はないようです。
考えてみれば、癌遺伝子が人間の生命の誕生や成長に欠く事の出来ないものであるならば、癌遺伝子を取り除くことは生命体の存続を不可能なものにすることですから、癌遺伝子の排除は生きていくためには出来ないことになります。癌自身のしたたかな生存戦略の巧みさと癌を治療することの難しさを少し理解できたような気がします。
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