6月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|瓦編|Vol.5
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
焼成・燻化
引き続き瓦づくりについて、平尾工務店が使用している三州瓦を例にご紹介します。
乾燥や施釉を終えた後は、いよいよ窯で焼成していきます。
窯は時代とともに穴窯から平窯、さらにだるま窯へと進化してきましたが、現在はトンネル窯により安定した品質で大量に生産しています。トンネル窯とは、片方の側から焼成前の瓦を詰めた台車を入れ、それを移動させながら焼成・冷却・燻化し、反対側からでき上がって出てくるオートメーションの窯で、その長さはなんと約120m、バーナーは54本もあります。
窯詰めの作業には熟練の技術が必要です。桟瓦など一般的な瓦は、斜めに設置して重力を分散させて変形を防ぎます。軒瓦など特殊な形の製品は重心を見きわめ、ピンで角度を調整しつつ、ねじれを想定しながら積み分けていきます。
台車を20分に1台のペースで窯に入れ、約12時間かけて焼成していきます。中の温度は徐々に上がっていき、最高温度1150℃でしっかり焼き締め、そこから急冷帯で800℃に、その後徐冷帯でゆっくりと200℃まで冷却し割れを防ぎます。
窯の管理も難しい作業で、この工程ができる職人は限られているとか。センサーだけでなく、灼熱の窯の中を覗き色で温度を見分け、焼け具合を判断し火力を調整しますが、窯の周囲は50℃にもなり過酷な作業環境です。
いぶし瓦は焼成の最終段階で、密閉した状態で炭化水素を含むガスを注入し、表面に炭素の被膜を形成します(釉薬瓦にはこの工程はありません)。
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