2022年
1月号

私が愛した名車たち… 今、自分が乗りたい車を選べる面白いタイミング

カテゴリ:神戸,

車好きが3人集まれば「轟」。車愛に手が付けられない。トリプルエンジン全開、司会はもはやハンドルもブレーキも制御不能。轟音をなびかせ、この放談、どこへ行く?

株式会社マースト 代表取締役社長 
ジーライオンミュージアム 
「名車との出会い」執筆・監修 

湊 善行 さん

マセラティ神戸 店長 
貝沼 新一 さん

服部プロセス株式会社 専務取締役 
服部 敬二

イタリア車って官能的

─マセラティを街中で見る機会が増えたように感じますが。

貝沼 僕はずっとディーラーに勤めていますが、昔はマセラティだけでのディーラー運営は不可能で、ドイツ車以外の外車をひっくるめて全部売っていました。イタリア車、フランス車、英国車、英国車は中でもローバー、オースチン、MGなど小型ブリティッシュレーシング。要はマニアック(笑)。
 当時のラテン車、イギリス車はマニアックでしたね!
貝沼 若い頃、欧州車を見たらときめきまして。僕が最初に買った車は中古のシトロエンGSでした。
服部 僕らはモテる車に乗りたかったですよね。女の子とデートするために、カッコイイ車に!
貝沼 男の原点はそこ!
 それで毎月、雑誌『特選中古車』のページを端から端まで見て自分でイメージを描く訳ですよ(笑)。
 僕がなんでアルファロメオのアルフェッタ買っちゃったのかというと、エンジンが総アルミ製、エンジンが前でミッションデフが後ろというトランスアクスル、リアはド・ディオンアクスルを使っていて、ブレーキはデフに並列されたインボードディスクブレーキで…その裸の写真が『カーグラフィック』に載っていて、これまるでF1では!って夢が膨らむんですよ。で、デザイナーがジウジアーロで決まりです。
貝沼 当時、イタリア車の中でアルファだけは輸入元が違ったんですよ。伊藤忠とか日英とか。その後、大沢商会でしたね。
服部 ランチアは滅多に見なかったですけど、フィアットは一時X1/9が流行っていましたよね。
貝沼 そこ来ますか!あれはベルトーネですからカッコイイです。
 僕も『特選中古車』でチェックする車両でした。イギリス車ですがTR-7、TVRとか、エスプリも良かったけど、五感で感じる楽しさはイタリア車が優りました。
貝沼 イタリア車って官能的ですよね。フィアット500チンクェチェントとか速くないけど、楽しい。
 切れ者が良いベースを開発しているから、デザインはどれもキレイ。いまの車も、昔のイタリア車の真似じゃないかと思うくらいです。
貝沼 デザイナーはイタリアですよ。ベルトーネもピニンファリーナもそうですし、そしてジウジアーロ。
服部 ジウジアーロと言えばいすずの117クーペですね、外車みたいなデザインの。
 ピアッツァもジウジアーロ。今見ても美しい。

164とかわいい女性は…

─印象に残る車を、敢えて1台選ぶとすると…。

貝沼 1つというと難しいですが、よく売れたのはランチアデルタインテグラーレですね。当時としては高かったのですが。
 520万円!
貝沼 よく覚えていますね!バケットシートでアルカンターラとミッソーニの生地なんて、オシャレじゃないですか!マセラティにも当時、シャマルというすごい車があって、いま見てもカッコイイ。
 シャマルはカッコイイ。ヘッドライトがプロジェクタ風、V8ターボにガンディーニのデザイン。
貝沼 シートはバケットなんですけどやわらかいレザーで、真ん中にマセラティの金時計があって、オシャレで。
 マセラティのコクピットに座ったらクラクラしましたね。
貝沼 工芸品ですよね。そういう車が生まれるのは、ヨーロッパの街並みを歩いたらわかります。当然、あの素敵な街並みに合う車をつくる訳ですから。
 僕も1台には絞れないですけど、自分がこの業界に入って、アルファ164はインパクトのある車でした。出来が良いけど不出来でもあるという、そういったところがかわいい。
貝沼 かわいい女性ほど言うことをきかないのと一緒ですよね。猫みたいに。
 デザインはピニンファリーナで、いま見ても美しいセダン。でもハンドルの切れ角がなくて曲がらないんですよ(笑)。不便ですが、やはり遊び心とか芸術的な感覚を理解できないと、ラテン系の車には乗れないです。
服部 強烈な印象があるのはポルシェ911ターボ。40年前、東名でぶち抜かれ、すごいカッコイイなぁと。
 フル加速したらハンドル効かないやつですね。ある程度スピードが出ると押さえ込んでくれるんですが、ローやセカンドでフル加速すると前が浮いてハンドルが軽くなるんです。でも、いまの車に比べたらパワーは大人しいものでした。

─この車にこの音楽、この映画というのはありますか。

 夏、会社帰りに阪神高速神戸線にさしかかって、夕焼けが赤から濃い青に変わってくる時、スピーカーからキャノンボール・アダレイの「アラバマに星落ちて」が流れ、そこに風を巻き込む音、アルファロメオスパイダーのサウンド…、自然に涙が出てきました。
貝沼 映画ですと、クアトロポルテスポーツGTSが出てくるフランス映画『最強のふたり』ですね。マセラティのエンジン音が映画館で大迫力で。
 僕は『カリブの熱い夜』の、フェラーリとポルシェのバトル。あれは面白かった。
服部 『ミッション:インポッシブル』の最初の、アウディとポルシェのバトルも印象的でしたね。ポルシェが出てくる『ノー・マンズ・ランド』という映画もカッコよかった。あと、ベタですが最初の『マッドマックス』。
 良かったですよね!僕も映画館で一日中観てました。(笑)インターセプターV8のベースはフォードのファルコンでしたね?
服部 そうです!めっちゃカッコイイですよね。

アイデンティティは不滅

─デザインではどれが良かったですか。

貝沼 さっきも言ったシャマルとか、ギブリⅡとか。初代のフィアットパンダとかもデザインが素晴らしいと思いますね。あと、僕が最初に店長になったのはルノーのお店でしたが、アルピーヌA610ターボはカッコよかった。あれにルマンというのがあって、フランス製のスーパーカー的な。
 僕もルマンの現物見てノックアウトされそうになりました(笑)。フランスのエスプリですよね。ダイナミックではなく、ヒューッとターボラグと共に加速していく。
服部 ルノーと言えば、5ターボも見た目がスゴい車でしたよね。
貝沼 その後に出たクリオという車にもV6があって、普通のハッチバックなんですけど、ブリスターフェンダーでエンジンを後ろに乗せ、V6の3Lで、シートも2つしかなく、ボディはFRPで。チョロQみたいな車で。
 鋼管フレームにザガートのデザインを纏ったアルファTZ2も記憶に残る車ですね。ミッドシップ化の時流の中、改良を重ね1600ccながら最高速度245キロ。FRレーシングカー(ロードゴーイングカー)の憧れでした。その後、1967年ティーポ33(ミッドシップV8、2000㏄、最高速260キロ)にバトンを渡しました。2010年にはTZ3を発表、魅力的なデザインやスペックはTZの系譜を引継いでいますね。
服部 僕は初代のロータス・エラン。性能とかよく知りませんけれど、印象に残っていますね。
貝沼 ロータスは昔から面白い車がありましたよね。エスプリは『007』ですしね。
 ジウジアーロの直線的なデザイン、カッコイイですよね。『氷の微笑』にも出ていました。
貝沼 『プリティ・ウーマン』にも出てきましたよね。
 ジュリア・ロバーツが上手に運転していました。
服部 ロータスは、キレイな走り方ができる車というイメージなんですよね。
 ロータスはできます。そんなに馬力ないけど空力が良いので。ヨーロッパに乗ったとき感動しましたよ、コーナリングの良さ、コントロール性の高さに。

─車も時代とともに変わってきていますが。

貝沼 昔は運転の楽しみの部分が強い「嗜好品」という感じでしたが、これからの車はいかに便利で、快適で、安全かを追求していくでしょう。自動運転とかその究極ですよね。
服部 もう電化製品みたい。
貝沼 EVになったら文字どおり電化製品ですよ。販売もネットで、アマゾンで買うみたいな感覚になるでしょう。でも、フェラーリはEVになっても絶対に「嗜好品」であり続けると思います。
 ブランドごとのアイデンティティは変わらないでしょうね。フェラーリのSF90ハイブリッドは1000馬力、すごくレーシーな乗り心地らしいです。マセラティがEVをつくっても、パフォーマンスやデザインはマセラティのクオリティと伝統を引き継ぐでしょう。脱炭素は必ず進んでいきますが、いまはその過渡期で、これまでのエンジン車に加え、ハイブリッドもあり、EVもあり、水素エンジンも出てきて、自分が乗りたい車を選べる面白いタイミングではないでしょうか。

VOYAGE KOBEにて


マセラティ シャマル 提供/Garage 伊太利屋


ポルシェ911ターボ ©iStock


ロータス・エラン ©iStock


フェラーリSF90 ©iStock


湊さん

貝沼さん

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