2021年
10月号
ギメル 大丸神戸店にて

ジュエリーの光だから表現できる自然の輝き

カテゴリ:ジュエリー・時計, 神戸, 芦屋

穐原かおるさん
ギメルトレーディング株式会社 代表取締役社長

四季折々で表情を変える日本の自然をジュエリーで表現する「ギメル」。最高の素材と最高の技術が生み出す作品は、世界でも高い評価を得ている。今年6月には大丸神戸店に国内初出店となるブティックがオープン。数々の名作を手掛けてきた穐原かおるさんにお話を伺いました。

本物の自然の中で五感を磨くと、第六感が育つ

―4年前、芦屋市奥池町の工房をお訪ねしました。素晴らしい自然環境ですね。
奥池が気に入った大きな理由は「コンビニがない」「自販機がない」。そして空気が美味しい、水が美味しい、ご飯は自分たちで作らなくては食べられない。環境が人間を育てます。だから、この環境に強制的に慣れてもらおうと奥池に工房を移しました。

―その環境があるから四季の自然を表現する繊細な作品が生まれるのですね。
日本には四季があり、住んでいる人間がその変化を取り入れ楽しんで暮らしてきました。空の色、鳥の声、雨の音、草の匂い…奥池には〝五感〟で受け取れるものがたくさんあります。人工的に作られた自然ではない、本物の自然の中にいると感性が豊かになります。五感を磨けば第六感が育ちます。第六感がその人の〝いのち〟です。当初みんな戸惑ったでしょうね。でも今は、40人のスタッフが自然を楽しんでいます。鳥のさえずりが上手になった男の子がいて、その子の声に鳥が応えるんですよ(笑)。

―男の子? ギメルのスタッフですね(笑)。みんな、穐原さんが育てた子どものようですね。
全員が若い時からギメルで仕事を始めた子たちです。白紙の状態だから「こうするものだ」と素直に受け入れられます。ギメルでの仕事は妥協が許されません。また互いに切磋琢磨することで本当にいいジュエリー職人、スタッフが育ってくれて、チームとしてとても良い仕事ができています。

―妥協をしないものづくりをどこで学ばれたのですか。
ものづくりをするに当たっては、たくさんのアンティークジュエリーを扱い、勉強しました。王侯貴族のオーダーを受け、100%満足してもらえるまでとことん時間と最高品質の素材を使って作っていますから、その技術は素晴らしいものです。「同じ人間なのだから、時間と最高品質の素材を使えば同じように素晴らしいものができるはず」と思いました。

ギメルの〝違い〟を見つけてくださったのは、お客さま

―あえて海外で認知されるところから始めた理由は?
私はアートディレクターであるのと同時に、ギメルトレーディングの社長です。ジュエリー文化がなかったという理由で日本のジュエリーの技術は、伝統的な建築技術や、器や織物のような工芸品と同じような認められ方はされていませんでした。そんな中、海外でギメルが認められれば日本の方達も関心を持って下さるのではないかという経営者としての戦略でした。

―「ヨーロッパのブランドに追いつくには100年かかると思った」と仰っていました。どこまで追いついたのでしょうか。
良い材料を惜しみなく使い、時間をかけて作ると当然コストは上がります。「ギメル」ブランドを立ち上げた1991年当時、「海外ブランドのものは高くて日本のものは安い」と思われていましたから、「100年」というちょっと大げさな表現をして覚悟を決めていました。ところが、〝違い〟を見つけてくださるお客さまがおられたのです。日本人の中に見る目を持った方がいらっしゃると思うとすごく嬉しかったですね。

―そして30周年という記念の年に、大丸神戸店に「ギメルショップ」をオープンしたのですね。
記念の年?あら、今、気付きました(笑)。以前からいろいろお話は頂いていたのですが、国内でこういう場所を持つのなら「神戸しかない」という思いがずっとありました。ちょうど大丸さんのリニューアルに当たって、「好きなようにつくってください」と言っていただき、決心しました。

―お店づくりで大切にしたことは?
奥池の工房と同じです。天然の良い素材だけを使い、入って来られた方に「ここは違う」と思っていただける場所。いっぱい並べるのは嫌いなので、季節の変化を感じていただけるジュエリーを選んで置いています。天然光の下で見ていただきたいジュエリーばかりですから、スポットライトを当てたりしません。美術館を訪れるように、ブラっと歩くついでに見ていただき、楽しんでいただける雰囲気にしたいと思っています。

―向かい側のスペースは?
遊び心で作ったゴールドの作品を置いています。実際は使わないけれど、「これ素敵!」と言ってもらえるもの。例えば、24金を0.05ミリまで薄く伸ばして作った純金の「空気の器」、次は「分銅」を作ってみようかしら…。どちらも使えないですね(笑)。

妥協を許さず悔いのない仕事をする。ずっと変わらず…

―ギメルのジュエリーは自然が織りなす色のグラデーションが繊細に表現されていますね。
最近の気候変動の様子を見て、いずれは日本の四季もなくなってしまうのではないかと危惧しています。世界を挙げて持続可能な社会を目指していますが、とても心配。次の、そしてその次の世代の人たちは、私たちが見ている美しい自然を絵や写真でしか見られなくなるかもしれない。そうなってほしくないけれど、万が一そんな時がきたら…光がある宝石でしか表現できない自然の輝きを形に残しておきたい。そんな思いを込めています。

―四季折々の自然を楽しむ日本人と違い、海外の人たちの反応はどうですか。
確かに、季節に応じて衣類や絵画、ジュエリーなどを取り替えるというアイデアは海外ではあまりないようですが、「そういう考えもあるのか!」と、新鮮なアイデアとして受け入れられています。四季がはっきりしない国の人たちには〝きょとん〟とした表情をされることもありますが(笑)。

―これからのギメルについて。
会社の規模を大きくすることなど考えていません。今の状態のまま悔いのない仕事をして、お客さまに喜んでいただけるジュエリーを作り続ける。ギメルはこれからもずっと変わることはありません。

ギメル 大丸神戸店にて

葉っぱを食べる青虫。葉の裏も丁寧に表現する。
そこには自然のありのままの姿がある

ギメルトレーディング株式会社
代表取締役
アートディレクター
穐原(あきはら) かおる さん

兵庫県生まれ。1972年渡米。GIAにて宝石学、デザインを学ぶ。1974年大阪でダイアモンドの輸入販売会社、ギモー商事(現ギメルトレーディング株式会社)を設立。1984年アトリエを設けジュエリーの制作を開始。1991年「ギメル」をブランドとして起ち上げる。自然や生物をモチーフとし、選りすぐりの宝石を惜しみなく使ってデザインした製品は、クリスティーズやサザビーズにも数多く出品され世界的に高い評価を受けている。

ギメルショップ大丸神戸店

神戸市中央区明石町40-8F
宝石サロン
https://gimelgimel.com/

月刊 神戸っ子は当サイト内またはAmazonでお求めいただけます。

〈2021年10月号〉
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