2021年
1月号
1月号
⊘ 物語が始まる ⊘ THE STORY BEGINS – vol.5 映画監督 井筒 和幸さん
新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも創作者たちが大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに創作秘話を聞きにゆこう。第5回は映画監督、井筒和幸さん。
映画は大スクリーンで見るもの…フィルムに焼き付けた創作魂
携帯画面からは伝わらない熱情
「映画は劇場で見るもの。大スクリーンで見てほしかったから公開が決まって本当によかった。でも実は〝正月映画〟なんて、これまでの監督人生で初めてなんですよ…」
現在、全国で公開中の新作映画「無頼」は、当初は昨年5月に封切られる予定だった。しかし、新型コロナウイルスによる影響が深刻化したため、急きょ公開日が12月へと延期され、〝正月映画〟となったのだ。その事態に戸惑いながらも、ほっと胸をなでおろし語る。
「本来、映画は携帯のスマホのような小さな画面で見るもんじゃないよ」
そのこだわりは強く、デジタル撮影が全盛の日本で、新作の撮影は、あえて全編、フィルムカメラで敢行した。
(戸津井康之)