2020年
12月号
自家焙煎 松岡珈琲店(兵庫区新開地1丁目)にて

「神戸で落語を楽しむ」シリーズ 

カテゴリ:文化・芸術・音楽, 神戸

落語家 桂 文之助 さん 昭和31年生
講談師 旭堂 南海 さん 昭和39年生

「時は令和二年、師走半ばの十四日。
神戸新開地の昼席に、
講談師がかけるは赤穂義士伝の一席なり」
12月14日(月)からの7日間は忠臣蔵ウィークを開催。
桂文之助師匠と旭堂南海先生に見どころを伺いました。

講談師と落語家
似ているようで全然違う

ー12月といえば忠臣蔵ですね。
桂文之助 昔は大河ドラマや映画、2時間ドラマとかで、よく取りあげられたのに、この頃あんまりないですね。

旭堂南海 時代劇自体がないですよね。時代劇の元は、ほぼ講談なんですよ。赤穂義士もそうですし、水戸黄門、遠山の金さん、大岡越前、この4つは確実に講談が最初です。講談で広まったのがお芝居になって、明治以降は浪曲、映画になっていくんですよね。赤穂義士は、元禄の事件がおこった直後くらいに、実際に江戸で見た講釈師(講談師)が本にして喋っていたと記録が残っていますね。

ー講談師と落語家の違いを聞かれたらどう答えるのですか?
南海 例えば、講談では忠臣蔵とは言わないんですよ。赤穂義士伝と言います。忠臣蔵は仮名手本忠臣蔵などのお芝居ですので、落語はお芝居のパロディーや少し借用をした話です。
講談は、お芝居になる前の実際に起こった事件の話をするんです。史実を元にして紹介していますというのが建前。「ホントですよ」というのを売りにしたウソの話。「講釈師、見てきたような嘘を言い」ですからね。あくまでもホントですって言わないとダメなんです。存在理由がなくなりますのでね。
ですから、大星由良助(おおぼしゆらのすけ)という忠臣蔵のお名前ではなく、本当の大石内蔵助(おおいしくらのすけ)で物語は進んでいきます。

文之助 忠臣蔵とかの芝居は、昔というか少し前までは誰もが知っている一般常識だったので、これをやれば忠臣蔵のあそこのパロディーなんだなというのがわかったんですよ。
古典落語の「鹿政談(しかせいだん)」なんて話は、裁きのところで裁かれる方が忠臣蔵のセリフを言って御奉行に止められるとか、そういうちょっとしたパロディーとかが、よく出てくるんです。

南海 講談は、決まり文句というのがあるんですけど、それ以外は口写しで教えて頂く芸でもないんですよ。盗みなさい、といいますかね。長い物語なので、要点だけ教えてもらったり、要点を書きとめたりして、次の日に公演にかけるというようなことをずっとやってきたんです。
今は定席の小屋がなくなって久しいので、お師匠さんがいてお弟子さんがいて「では、教えるよ」っていう落語のようなスタイルになってきていますね。仕草なども入ったりして。講談はそもそも仕草は、別にどっちでも良かったんですよ。釈台を叩いてリズムをつけるくらい。だんだん落語みたいに仕草・所作を入れなければ、お客様が納得しないようになってきましたね。
あと、落語の場合は「師匠」といいますが、講談の場合は「先生」って言うんですよ。「ホントですよ」というのを建前に看板を上げてお話しをしていたところもありましたので、今でも先生なんです。同じ話芸でも、落語とはだいぶ違うでしょ。

自家焙煎 松岡珈琲店(兵庫区新開地1丁目)にて

喜楽館だからできる「忠臣蔵ウィーク」

ー喜楽館でも忠臣蔵ウィークですね
文之助 12月というと赤穂義士、忠臣蔵というイメージがあったのでね。僕も喜楽館の番組編成の委員のひとりなんで、何か特集を組めたらなぁと話し合って企画をしたんですよ。
忠臣蔵ウィークは、14日から7日間、全てが忠臣蔵関係じゃないですけど、トリを日替わりでいろんな人が、忠臣蔵にちょっと関係するようなネタをやり、中トリは南海さんの赤穂義士の講談でガッツリ楽しんでもらおうということで。忠臣蔵の季節は義士月といって、講談師さんも忙しいんで、どうかなぁって思っていたんですけど。

南海 コロナで、空いとります(笑)

文之助 ほな、やってもらおうかという話になりました。5月の末の週に湊川神社の楠公祭で、中トリを太平記の講談で1週間、南海さんにやってもらう予定やったのもなくなったしなぁ。

ー中トリで講談をするのは珍しいそうですね。
南海 ないですね。

文之助 繁昌亭ですと落語家の協会がやっている寄席なので、トリとか中トリは必ず噺家がとることになっているのですけど、喜楽館はその辺の融通がきくので、中トリに講談を入れたり、年末には音曲漫才の姉様キングスがトリをとったり、わりと自由にできるんです。
忠臣蔵ウィークは、落語らしいにぎやかなもので終わった方がよいかなと思っただけで、ハッキリ言うとメインは7日連続でやってもらう義士伝です。できれば、毎日見に来て欲しいですな。

南海 喜楽館は企画物を入れてくださる余地があるので、我々にとってはすごくありがたいです。続き物でとか、連続で毎日という話は小屋ではありませんからね。東京でも7日連続で太平記や赤穂義士伝を寄席小屋で喋るなんてことはないと思いますよ。この試みは、非常に珍しくて面白いんです。


ー講談を7日連続となると順を追って進めるんですか?
南海 大きくですけど、初日が赤穂義士の事件の発端ですね。刃傷がおこる「松の廊下」を初日に持ってきてと考えているんですけど、3日目くらいで破綻します。

文之助 破綻すること前提ですかいな。

南海 一席ものに仕立て上げようと思ったら、それぞれの噺の最後は討ち入りになっちゃうんですよ。

文之助 そらそうやな。

南海 なるべく、事件から討ち入りまでの時系列のなかで、前の方、後ろの方という配列にしようとは思っているんです。
大きく分ければ、刃傷がおこる松の廊下、「早かご」で赤穂まで戻ってきて、赤穂城での「大評定」でどうするかというここまでの流れ。その次は、みんな身分を隠して大阪や江戸、京都に入っていく。これが真ん中あたりで、大石内蔵助の京都山科での話を中心に1本できますよね。大阪へ身をしずめる義士の話で1本、江戸で極秘に吉良の様子を探るので1本、最後に討ち入りの前の日から当日にかけてという感じになりますね。
細かい話をすると、大きな流れの事件経過を義士の「本伝」というんですよ。これが主軸になります。本伝に対して四十七士の義士の方々の来歴ですね、これを「銘々伝」といいます。それにプラスして「外伝」というのがあります。天野屋利兵衛ですとか、農家の人ですけど大石内蔵助に仕えた人、吉良方で頑張った人とかが外伝になります。義士でも何でもない人ですけど「そうか。よくわかった。じゃぁお前さんのために、私は知らなかったことにいたしまして」と、いろんな工作をしてくれる人の話なんかが前日や当日に多いんですけど、そういうのが外伝です。7日間で、本伝・銘々伝・外伝を喋らせてもらいます。ですから、毎日来て欲しいですけど、途中抜けても大丈夫です。

ー語はどんなネタになりそうですか?
文之助 落語は、いろいろ。芝居噺的なものなら、露の新治が「中村仲蔵」という役者が斧定九郎(仮名手本忠臣蔵の五段目)を演じる芸談ものをやりますし、桂梅團治は、小佐田定雄の新作落語「長屋浪士」をやります。あとは「七段目」や「蔵丁稚(四段目)」「親子茶屋」。これを忠臣蔵といえるかどうかわかりませんが。

南海 お兄さんは何を。

文之助 私は「蛸芝居」を。いわゆる忠臣蔵の六段目、勘平切腹のところがちょこっと出てくるだけなんで、忠臣蔵というほどのこともないんですけど。
まぁ忠臣蔵、赤穂義士伝は、中トリでおいしいところを、どっぷりと聞いてもらえれば。

南海 おいしいところをお届けします。涙あり、笑いあり。

文之助 おっ!すごい!!

南海 だったらいいなぁ。

文之助 いいなぁやあらへん。

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TEL.078-576-1218
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