2020年
8月号
神戸ワイナリー(神戸市西区)※一般車はぶどう畑に進入できません。

Mercedes-Benz GLE 450 4MATIC Sports で行く中兵庫アグリスケープ探訪

カテゴリ:神戸,

「自然は寂しい、しかし人の手が加わると暖かくなる」と旅する民俗学者、宮本常一はそう記した。農業により生まれた景観、アグリスケープには自然とともに生き、その力を享受してきた先人の英知が詰まっている。日本の縮図、兵庫県の中央部を新しいメルセデスGLEで駆け、人と自然の共同作業で紡がれた美景を探しに出かけた。

異国の丘のようなぶどう畑 神戸ワイナリー(農業公園)

今回はヤナセ名谷支店からスタート。須磨ニュータウンを抜け、快適な道路を西へ向かう。GLEは停車・発車が多い住宅地の道もキビキビ走り、ステアリングの取り回しも良く車体の大きさを感じさせず、街乗りにも実用性が高そうだ。道路が混んでいても、レーダーセーフティー機能があるから安心感もある。
程なく神戸ワイナリー(農業公園)へ到着。ツタの絡まるゲートを抜けると左手のなだらかな丘一面がぶどう畑で、まるでヨーロッパにやって来たかのようだ。
神戸ワイナリーは約31 haの広大な敷地を誇るが、陽光あふれる南面の丘陵地帯のほとんどがぶどう畑になっている。ここでは昭和50年代からワイン向けぶどうを栽培。赤ワイン用代表品種のカベルネ・ソーヴィニヨン、白ワインでメジャーなシャルドネのほか、日本生まれの品種、信濃リースリングなど数種類が、土壌浸食防止や有機物供給のため下草を敢えて生えさせる草生栽培で育てられている。自然の摂理を上手に利用しているのだ。
巨峰など青果用ぶどうは初夏から店頭に並んでいるが、ワイン用ぶどうの収穫は8月下旬から。最高のタイミングを逃さず、旬を迎えた品種ごとに1週間程度で摘み取ってしまう。ワイン用の品種はもう少し晩生で、盛夏から仲秋が収穫時期。梅雨の晴れ間にぶどう畑を散策すると、若草色の小さなぶどうが育っていた。離れて眺めても、近くに寄って凝視しても、ぶどう畑は興味深いアグリスケープだ。
手摘みされたぶどうは、丘の向こうに聳えるワイナリーで醸される。地元で育てたぶどうで、地元で仕込む地産地消の地ワイン、神戸ワインはまさに神戸テロワールの極みだ。
神戸ワインは近年めきめき評価を高め、G20大阪サミットの夕食会でベネディクシオン・ルージュ2016が注がれたグラスを片手に各国の要人が談笑したという。また、ワインのみならずブランデーも評判だとか。
ワインショップでは神戸ワインの多彩なラインナップがズラリ。グラス販売もあるが、今回はハンドルを握るので我慢。神戸ワイナリーには陶芸体験やゴーカート、バーベキューなどレジャー施設も充実しているから、7名乗りのGLEで仲間と一緒に再訪しよう。2列目シートが電動でスライドし3列目でもスムーズに乗り降りできるゆとりの空間に、みんな満足してくれるに違いない。

ワイン用のぶどう畑が続く

神戸ワイナリーのゲートをくぐる

兵庫一の巨大池、加古大池

さらに西へ。明石川の谷から続く長い急坂も、GLEは軽々と登っていく。新開発の直列6気筒エンジンにISGと48V電気システムによるブースト機能が加わってグングン加速。力強いことこの上なく快哉で、エネルギー効率も良さそうだ。
国道175号を越え田園地帯に入ると、にわかにため池が多くなってくる。実は、兵庫県は日本一ため池の多い県で、その数なんと約2万4千4百と2位の広島県より4千以上多い。しかも農業用水において全国平均では約9割が河川を利用しているが、兵庫県では半分近くをため池が供給している。
中でも稲美町を中心とするいなみ野は、水田面積に対するため池の割合が日本一のため池地帯だ。このあたりは台地状の地形でもともと水利が不利、しかも瀬戸内式気候ゆえ雨が少ない。そこで、古代よりため池を設け雨水を溜め農業に利用、江戸時代になると用水の水も湛え新田開発が進んでいった。災害が激甚化する近年では、洪水防止などの防災機能も注目されている。
加古大池はとにかくデカい。丘のような堤体を登ると視界いっぱいに水面が広がる。湖かと思うほどの広さだ。県内最大のため池で面積49 ha、甲子園球場が12個入ってまだ余裕がある。周囲は3km、阪神電車の神戸三宮~西灘の営業キロに相当する。
この日は風がほとんどなく、明鏡止水とはこのことで、雲が足もとにもあるようだ。たまに涼風がそよぐと、さざなみが幾何学模様を織りなす。小さな島に祠があり、その周りで鴨たちが寛いでおり、亀も甲羅を干していて、時々魚も跳ねている。まさに自然がいっぱいだが、ここはまぎれもなく人工の池。江戸時代に地元の庄屋たちの請願で新田開発用のため池として普請されたが、池に水を引く用水路工事は高低差が少なく難儀したという。戦後間もなく改修され、5つあった池を統合し現在の姿になった。
もともと農業用だが近年ではレジャースポットとしても活用され、ウインドサーフィンなどのウォータースポーツの場にもなっている。また、1haほど葦原が保全されていて、ここに飛来する多種多彩な野鳥を目当てにバードウォッチャーも多いとか。散策やジョギングを楽しむ人もちらほら。開拓のために先人たちが必死になって築き上げたこの清々しいアグリスケープに、自然と人の幸せな関係を垣間見た。

加古大池(稲美町)

県下最大の規模を誇るため池でもある

農のピラミッド、岩座神いさりがみの棚田

ここからはしばしロングドライブを楽しもう。加古川の堤防沿いの道も、175号バイパスも、とにかく快適。車高が高いから見通しが良く、身を包むようなシートは程良い硬さで疲れない。途中、「ハイ、メルセデス」と声をかけてレストランを見つけランチを済ませたが、音声操作で地元の情報までわかるMBUXは見知らぬ土地で心強い機能だ。
国道をそれワインディングロードを進むと、谷の奥に桃源郷の如く棚田の集落が広がる。岩座神へと着いた。五霊神社に聳える巨木の陰に車を停めドアを開けると、足もとにスリーポインテッドスターが映し出されている。このブランドロゴプロジェクトライトといい、64色のアンビエントライトといい、モダンラグジュアリーな感じが心憎い。
千ヶ峰の麓に広がる岩座神の棚田は日本の棚田100選を飾るだけでなく、兵庫県景観形成地区にも指定され美しいアグリスケープが保全されている。ここの棚田は自然石を積み上げた石垣が特徴で、見上げれば鈍色の石垣と緑の水田がミルフィーユのように重なって独特の景色を織りなしている。最も長い石垣は100m以上、最も高いものは5m以上あり、そのスケールの大きさに「農のピラミッド」ともよばれているのも頷ける。
少し登って見下ろすと、また違った風情。等高線状にゆるやかなカーブを描き、棚田が谷を取り囲んでいる。しかも1枚1枚が地形を生かした形で、四角四面でないところに芸術性すら覚える。それにしてもこんな急峻な斜面によくこれだけの田んぼを切り拓いたものだ。なんと約360筆もあるという。鎌倉時代にこれだけのものを築き上げたのは神業だ。
過疎化が進んだ昨今、全国的に棚田は荒廃が進んでいる。しかしここは地元の人たちの努力で守られ、美味しい棚田米の生産のみならず、生物の多様性や洪水・地滑りを防ぐ防災機能まで担っている。GLEのように美しくて力強いこの棚田を、未来永劫残していきたいものだ。

岩神座の棚田の頂から眺む

極上の丹波茶を育む味間の茶畑

播州から丹波へ入り、恐竜の化石が発見された川代渓谷を進む。GLEはレスポンスも上々、何よりパワーが強いので、フィーリングが楽しい。空調、照明、音楽はもちろん、シート調整やパフュームアトマイザーまでトータルでコントロールするエナジャイジングパッケージもまた秀逸で、的確なプログラム提案で常に心地良いドライビング環境を提供してくれる。
川の流れがおだやかになったらそこは篠山盆地。やや南下し、車を西に向けおだやかな谷へ入っていく。ほどなくして現れたのが茶畑。大地にパーマをあてがったかのように、濃緑の畝が平行に連なっている。ここ、味間は丹波茶の産地で、県内最大の生産量を誇っている。
兵庫県は生産量こそトップ10には入らないが、三田の母子、佐用など全国的にも古くからの茶の産地が点在している。丹波茶も平安初期、嵯峨天皇の勅命で栽培されるようになったとか、飛鳥時代から育てられていたとかいくつか説があるようだが、いずれにせよ千数百年間にわたりここで茶の生産が受け継がれてきたことは間違いない。江戸時代には藩の奨励により発展、上方での消費量の約半分を担っていたと伝えられている。
茶畑の中に一軒のお茶屋さんがある。ここ、諏訪園本店ではお茶のほかお茶に合う和洋菓子が並び、抹茶や煎茶やスイーツを店内で味わうこともできる。淹れ立てのお茶はテイクアウトもOK、ひと口飲むと爽やかで上品な風味が鼻腔をやさしく包み、程良い渋みが甘さを引き立て、改めて急須で淹れる日本茶の美味しさを実感した。
ちょうど自家農園で二番茶の刈り入れをおこなっているとのことなので、特別に見学させてもらった。畝をまたぐ特殊な農機で、バリカンのように刈り取っていく。袋詰めにされた茶葉は発酵しやすいので、すぐに目の前の製茶工場に運ばれて新鮮なうちに加工、ほんの5秒間だけ高圧蒸気で蒸し上げられ、揉みながら人肌の温度を保ちつつ、6時間ほどゆっくり乾燥させていくという。そうすることでお茶の鮮やかな緑色が生まれるのだとか。また、揉むことで葉を傷つけ、抽出しやすくするという。ちなみに茶葉約40 kgを加工してできるお茶は8kgほど。味がギュッと凝縮されているのだ。
「あの山裾まで、ぜんぶうちの茶畑なんですわ。祖父はもともと茶の苗を生産していて、父が水田を茶畑に変えていったんですよ」と話す諏訪園の3代目、酒井一行社長になぜここが茶の栽培に向いているか尋ねてみた。「あの山が篠山で一番高い白髪岳なんですが、そこからの伏流水の水質が良いんです。そして土壌も水はけが良く、茶の生育にピッタリなんですわ」と稜線を指さす。
そしてさらに「ここは盆地なんで霧が出るんですが、この霧が味をまろやかにしてくれます。また、寒暖差が大きいため、甘みが出るんですよ」と付け加えた。太陽を遮られ、暑さ寒さにさらされ、お茶にとって厳しい条件だからこそ深い滋味が生まれる。SUVもまた同じ。厳しい条件下で培ったノウハウなくして、優れた性能は生まれない。エレガントな風味の丹波茶と、プレミアムなGLE。その恩恵にあずかれる幸せを噛みしめると、山肌の翠緑がひときわ鮮麗に感じられた。

味間の茶畑(丹波篠山市)。茶葉を刈る酒井さん

諏訪園で緑茶を頂く


市営地下鉄 名谷駅から徒歩2分の好立地!ヤナセ名谷支店

神戸市営地下鉄西神山手線の中核駅、名谷駅徒歩2分という便利なロケーションのヤナセ名谷支店は、須磨海岸にあった須磨営業所をエボリューションし2001年にオープン。新車はもちろん、中古車も取り扱い、きめ細やかなアフターサービスも評価が高い。駅近なのでメンテナンスなどの際、出勤前に車を預け、帰宅前に引き取るユーザーも多い。ぜひご来店を。

ヤナセ名谷支店

神戸市須磨区中落合2-3-26
TEL.078-798-1233
営業 9:30-18:00
休業 月曜日 年末年始
(祝日の月曜日はショウルームのみオープン)


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