9月号
KOBECCOオススメ 〜CINEMA〜
ようこそ、夢と愛と驚きが詰まった1950年代のアメリカへ!
アステロイド・シティ
物語は1955年の夏、7日間の出来事。場所はアメリカ南西部にある街“アステロイド・シティ”。この時代の夢だった宇宙人や科学、喜びだった映画や音楽、壮大で希望にあふれていた最高のアメリカを、ハリウッドのスター俳優が夢のように勢揃いし魅せる。一瞬の役にも驚くような顔ぶれ、街はCGなし砂漠の中に作られたセット。ひとつひとつのシーンに込められた、制作者たちのただならぬ気合を、一時停止し隅々まで眺めたくなる。
監督は、『グランド・ブダペスト・ホテル』で数々の賞を受賞したウェス・アンダーソン。独特の色彩、コンポジションとユーモアは唯一無二で、その人気は、彼の名を冠した展覧会まで生んだほど。ポップなアート作品みたいな映画。まずはチラシを手にとってほしい。きっと観たくなる!
text.田中奈都子
『アステロイド・シティ』(原題:Asteroid City)
(2023年 アメリカ 104分)
監督・脚本・原案・製作:ウェス・アンダーソン
原案:ロマン・コッポラ
出演:ジェイソン・シュワルツマン、スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス
ジェフリー・ライト、ティルダ・スウィントン ほか
プロダクションデザイン:アダム・ストックハウゼン
配給:パルコ ユニバーサル映画
シネ・リーブル神戸にて9月1日(金)より上映。
上映スケジュールはコチラ▼
https://ttcg.jp/cinelibre_kobe/
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本当の敵は何なのか
復讐の記憶
痛快アクション『華麗なるリベンジ』を手がけたイ・イルヒョン監督最新作は、アルツハイマー病で記憶が薄れゆく80代の老人、ピルジュ(イ・ソンミン)が、妻亡き後、バイト先の若き同僚、インギュ(ナム・ジュヒョク)を巻き込み、人生をかけた復讐に向かう異色のバディムービーだ。ホロコーストを題材にした『手紙は憶えている』をリメイク。ピルジュは指に復讐したい相手の名前を刻み、60年間準備を重ねてきた計画を実行していくが、その根底には家族が命を奪われる原因となった日本統治時代のあらゆる搾取や虐待があった。インギュを通して現代韓国社会で搾取される市井の人の姿を描く一方、忘れられない痛みを抱えたまま生きてきた世代の、魂の声がこだまする。本当の敵は何なのか、今一度考えを巡らしたい。
text.江口由美
『復讐の記憶』
(2022年 韓国 128分)
監督:イ・イルヒョン
出演:イ・ソンミン、ナム・ジュヒョク
ソン・ヨンチャン、ムン・チャンギル
配給:ハーク
元町映画館にて9月2日(土)より2週間上映。
上映スケジュールはコチラ▼
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