8月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|襖編|Vol.4
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
下張り
引き続き木と紙でつくる組子襖を例に、襖の製造工程をご紹介します。
完成した下地骨に下張り、上張りと何層か紙を貼り付けていきますが、今回は現在メジャーになっている、下張りにチップボールを貼った襖の製造についてみていきましょう。
チップボールとは板紙の一種で、厚みがあるので丈夫なだけでなく、吸湿性や保温性、遮音性も有しています。また、原料として古紙を利用しているので、エコなリサイクル素材でもあります。チップボールを用いた襖は建て付けの良さも魅力であり、それまで骨縛り・べた貼りと2回貼っていたものが1度の工程に合理化されて、コスト面でもすぐれています。
さて、下張りするチップボードはそのまま貼り付けるのではなく、まずは均一に水をふりかけます。こうやって湿らせることで、1割ほど膨張します。
次に、下地骨の両面に糊をつけます。ここに湿らせたチップボールを表面・裏面とも貼って、ホットプレス機で両面から熱を加えつつプレスして、圧着させます。チップボールは乾燥しながら収縮するので、ピンと張った仕上がりになります。
続いて、仕上がりサイズに合わせてはみ出た部分を切り取ります。専用の機械で裁断しますが、寸法の入力はいまでも尺寸です。角がしっかりと直角になるように断ち切って仕上げ、下張りは完了、襖の下地が完成します。その後は検品を経て、立てかけて保管し乾燥させます。一般的に、ここまでが襖を製作する工場での工程になります。
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