3月号
共感 ~幸せを実感できる組織へ~ 2023年度 一般社団法人神戸青年会議所 第65代理事長 宮﨑 大輔さん
2023年に65周年を迎える一般社団法人神戸青年会議所(JCI神戸)の理事長に就任した宮﨑大輔さん。節目の年だからこそ、組織の理念を見つめ直したいという宮﨑理事長にお話を伺った。
理念の共感を軸に
―JCI神戸は今年65周年を迎えました。
神戸のような大都市において他にもたくさんの団体がある中で、65年間という長きにわたり活動を続けている組織はそう多くはないと思います。さらに、我々メンバーは他に本業や家庭があり、無報酬で活動させていただいているのですから、「神戸の街をより良くしたい」という真剣な強い想いがなければ続けてこられません。
また、秋田博正初代から始まり、これまで64人の理事長がいらっしゃるわけですが、それぞれの理事長の思いが積み重なっての65年です。メンバーには65周年の歴史があるということをしっかりと認識し、誇りを持っていただきたいと思っています。
―「共感~幸せを実感できる組織へ~」という本年度のテーマに込めた思いとは。
本田宗一郎さんは「理念なき行動は凶器、行動なき理念は無価値」という言葉を遺しています。組織には理念が必要です。「理念」とは、何のためにこの組織が存在するのか、それを明確にした目指すべき理想のこと。本年度のJCI神戸は、理念の共感を軸に展開したいと考えました。65周年の節目だからこそ、外に向かうよりも内面を充実させたいと思います。
今年度の理事長をお引受けする前に、日本青年会議所に出向したことがあり、理念の共感を学ばせていただいた経験がありました。同時に、自分の理念によってどのように組織を動かし、変えるかを考えるようになりました。
JCでは、全国的に見てもメンバーの在籍年数が短くなる傾向にあり、卒業をせず途中で退会される方も多い。JCI神戸メンバーには、何のために入会したのかということを今一度考えていただきたいのです。お仕事のためという思いもあったでしょうが、何よりも神戸の街を良くしたい、という思いが一番にあったから入会されたのではないでしょうか。 そもそも、JCI神戸という組織は、より良い街の実現を目指し、街の皆さんの「共感」を得る活動や運動を行う団体です。そこで「共感」をテーマにさせていただきました。
―宮﨑理事長がJCI神戸に入会されたのは。
実は、大学生の時に一度体を壊し、東京での就職が決まっていたのを辞退し、しばらく療養していたところ、先代の母が亡くなり家業を継ぐことになりました。療養していたときに、経営者の方々の著書をたくさん読んだのですが、その中に、前述の本田宗一郎氏の言葉の載った著作もありました。だいたい40~50冊読みましたが、その中で偉大な経営者の皆さんが共通しておっしゃっていたのは、「お金のためだけに働くのではない」ということでした。街を変えたい、人を豊かにしたい、という思いです。私も小さな頃から起業が夢でしたが、それはただ、お金持ちになりたかっただけでした。この療養期間に考え方が変わりました。
JCI神戸のことを知ったのは、理事長を経験された米田篤史さんと別の集まりで、ご一緒させていただいたことがきっかけです。入会のお誘いをいただき、28歳のとき入会させていただきましたが、こんなに何も教えてくれへん塾もあるんやな、と思いましたね(笑)。というのは、先輩方は自分から聞きにいったら何でも教えてくださるんですよ、でも手取り足取りということはない。つまり自分で考えて、自分から動くことを意識しなくてはいけないと気付かされました。
―ご自身にとってのJCI神戸とは。
入会当初は、自分と考え方が違っていたり、価値観の異なる人はしんどいな、小難しいな、と思うこともありました(笑)。でも、その人たちは自分にはない魅力もたくさん持っているんです。物事を進めるときに自分の価値観だけでやってしまうと、やはり視野が狭くなって良いものが生まれない。それぞれの価値観を受け入れ、認め合うことで、幅広いアイディアが生まれてくるんです。今では、自分と違う考えの人と活動することが何より大切だと思っていますし、10歳以上年下のメンバーからも大いに刺激を受けていて、幸せなことだなと感じています。多様な個性を持った人々の集まりということはJCI神戸の大きな魅力です。
―新規メンバーはどんな方が?新しい職種も増えたとか。
映像カメラマンもメンバーにいます。我々のような団体は、広報活動が苦手分野だったりするのですが、そういった面でご活躍いただいています。我々の活動を皆さんに知っていただくことはとても大切ですから。
神戸の魅力は「人」
―JCI神戸の強みとは。
昨年ご好評いただいた「Autumn Festival in KOBE」もそうですが、いろいろな団体や企業と、何のしがらみもなく一緒に活動ができることかもしれません。またそれらをつなげるのがJCI神戸でありたいと思います。いわば同じ年代の友人たちのようなものなのですが、そんな人たちとひざを突き合わせて協力し合いながら、ひとつの目標に向かって物事を進めていく、なんていうことは仕事ではなかなかできないことではないでしょうか。自分も学べることが多いですし、やっている活動は街をより良くするための事業…良いことがいくつもあるんですね、それが魅力です。
実は、2026年のJC全国大会を神戸で開催したいと、今年6月に立候補させていただくための準備を進めています。もし神戸大会が開催できれば、全国のJCの方々に神戸に来ていただき、神戸の良さを知っていただく絶好の機会になります。我々としてもひとつの目標に向かっていくことで絆が生まれるでしょうし、私は卒業していますが、ぜひ応援したいと思っています。
―神戸のまちの魅力とは。
やはり「人」でしょうか。街並みなどのハード面も良いですが、神戸の人々が創り出す、この街の雰囲気などのソフト面にも魅力があります。これはもう来ていただかないと通じにくいと思うんですが、まさに我々「神戸っ子」の心に魅力がありますね。
―逆に、神戸に足りない部分は。
そうですね、本業では三宮の中心で商売をさせていただいているのですが、やはり駅前のインパクトが大都市としては弱く見えてしまうんですね。JCI神戸の活動で全国各地に行かせていただくことが多くなったことで、余計に感じることなのですが。2030年には神戸空港の国際線の就航が認められるということで期待が高まります。行政とともに、さらに神戸の魅力を創造し、発信できる活動を進めていきたいと思っています。
一般社団法人神戸青年会議所 2023年度理事長
宮﨑 大輔さん
1983年生まれ。2012年神戸青年会議所入会。15年国際交流委員会委員長(理事)。17年渉外室室長(常任理事)、兵庫ブロック兵庫の未来創造委員会委員。19年副理事長。21年専務理事。22年JCI日本理念共感拡大会議副議長。KSMホールディングス株式会社代表取締役。