9月号
六甲山サイレンスリゾートのディレクションも手がける建築界の巨匠
ミケーレ・デ・ルッキ氏の展覧会が神戸で開催される
EARTH STATIONS by AMDL CIRCLE
イタリアを代表する世界的建築家・デザイナーのミケーレ・デ・ルッキ氏の展覧会「EARTH STATIONS by AMDL CIRCLE ミケーレ・デ・ルッキと未来を共有する建築」が7月16日~8月7日にデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催された。また、そのオープンに先だち7月15日にセレモニーが開催され、「神戸で展覧会を開催でき光栄」とデ・ルッキ氏自らスピーチ。久元喜造神戸市長やマルコ・プレンチペ在大阪イタリア総領事も出席した。
デ・ルッキ氏は80年代に一大ムーブメントを巻き起こしたデザイナー集団「メンフィス」のメインメンバーで、世界各国の重要な建築プロジェクトに携わるとともに、一流ブランドのオファーで家具や照明など多くのプロダクトやインテリアデザインを担当。身近なところでは「ジンズ」のめがねフレームをデザインしている。建築誌「ドムス」編集長も務め、イタリア共和国ウッフィチャーレ勲章も受章した巨匠だ。
今回は、彼が主宰する革新的な建築スタジオ、AMDL CIRCLEによる新たな建築のタイポロジー「アース・ステーションズ」の全容を日本で初公開されるとあって注目を浴びた。環境問題、伝統工芸の継承、教育格差など人類が抱える課題にコミットしつつ、それぞれのコンセプトごとに設計された「ステーション」の姿を模型やパースなどで紹介。ユニークなデザインとそこに秘められた建築の哲学が興味を惹いた。
デ・ルッキ氏は八光自動車・池田淳八会長の肝いりの「六甲山サイレンスリゾート」のプロジェクトのディレクションも担っている。旧六甲山ホテル本館の修復を終え、現在、新たにリング状のホテル棟の建設計画が進行中で、そのパースも展覧会で展示された。「より良い人の暮らしをデザインするのが建築家の務めであり、人と人を隔てるための壁をつくることが仕事ではない。人々が集まり、楽しめる場所を提供していくことが我々の使命」とデ・ルッキ氏。その思想の結晶が近い将来、緑豊かな六甲山の森にお目見えするが、その日が待ち遠しい。
Michele De Lucchi