2019年
11月号

Mercedes Benz NEW CLA 200 dで訪ねる ひょうご国宝の名刹

カテゴリ:おすすめスポット, 明石・播磨,

2019年現在、兵庫県の国宝建造物の数は11件14棟で、奈良県(64件)、京都府(51件)の古都ツートップ、滋賀の23棟に次ぐ数を誇る。それらはいずれも旧播磨国のエリアにあり、姫路城関連を除く6棟は寺院となっている。今回はヤナセ加古川支店の協力により、この秋にデビューしたばかりの新しいCLA 200 dでそのすべてを訪ね、メルセデスをタイムマシンにするドライブを楽しんだ。

国内最古クラス、鶴林寺

今回はヤナセ加古川支店から出発。鶴林寺は目と鼻の先にあり、街中をちょっと乗っただけだがCLAの魅力を感じる。ハンドリングが軽快で、急な曲がり角でも取り回しが良い。
「西の法隆寺」こと鶴林寺は、聖徳太子が創立したと伝えられる。排仏派の迫害に追われこの地に隠遁していた高句麗の僧、恵便法師の教えを受けるため、太子がわざわざやって来て精舎を設けさせたのが起源。それは587年のできごとで、日本最古の本格寺院(諸 説あり)とされる飛鳥寺の創建の翌年ということになる。
国宝の本堂は左右に伸びる屋根の端が反っており、まさに鶴が飛び立つ姿を思わせる。和様・大仏様・禅宗様という代表的な寺院建築様式を折衷させた、言うなれば〝いいとこ取り〟。北山文化華やかなりし時代の1397年に建てられている。
中に入ると目に付くのは内陣の屋根。建物が入れ子のようになっており、このスペースにご本尊の薬師如来像をはじめとする5体の仏像(いずれも国指定重要文化財)が安置されている。これを「宮殿」と書いて「くうでん」とよぶ。ご開帳は60年に1度で、次回は2057年とのこと。
本堂を出て左、何気ないお堂があるが、屋根が檜皮葺きで伽藍の中でもちょっと風情が違う。実はこれも国宝。内壁に聖徳太子像が描かれていたことから太子堂とよばれ、平安期の1112年築で県下最古の建築だという。太子像のほか九品来迎図や涅槃図などの壁画が彩っているそうだが、残念ながら外から覗いても見えない。しかし、幾年もの風雨に耐えてなお凜としているこの建築自体がひとつの芸術だ。
鶴林寺はほかにも鐘楼、行者堂などいくつもの国指定重要文化財を擁している。中でも金銅聖観音立像は白鳳時代のものだけに横綱級に貴重な仏様だ。じっくり観ていると半日はかかりそうなのでまた後日ということに。

鶴林寺 太子堂(国宝)

鶴林寺 本堂(国宝)

加古川

山の中の奇跡、一乗寺

市街地を抜け加古川の堤防へ。築堤の上の道路は爽快で、交通量こそ多いものの信号も少なくスムーズだ。こういうシチュエーションで活躍するのはインテリジェントドライブ。アクセルワークは必要なく、ステアリングに手を添えているだけで車間と車線をキープしながら滑らかに走る。完全自動運転がそう遠くない未来にあると予感させる機能だ。
やがて山道へ入ると、深閑な森の中に一乗寺はあった。正面の石段を登り、上を臨むと国宝の三重塔が現れた。
見上げれば高く聳えている。石段を踏みしめるたびにその迫力は視界を覆い、中段の階段を登り終えて向き合うと実に秀麗でどっしりしている。1171年造で平安時代の建築らしく、繊細な組物や蟇股の優雅な形など古塔の雰囲気を醸す。
高さと安定感を感じさせる訳は、さらに石段を登り本堂から屋根を見渡すとわかった。むくりのある屋根は上層になるほど小さくなっている。相輪や水煙もまた味わいがあり、観ていて飽きない。仰ぎ見る、対峙する、見下ろすとさまざまな角度で三重塔を鑑賞できるスポットはここくらいだろう。
建立のために力を尽くした僧、仁西は十二坊を整備した有馬温泉中興の祖でもある。それにしても重機やトラックがない時代、こんな山中にこれだけの建物が建ったことは奇跡的だ。

左)一乗寺 三重塔(国宝) 右)一乗寺 本堂

西方浄土の具現、浄土寺

一乗寺は650年の創建で、伝説によれば開祖の法道仙人は雲に乗ってインドからやって来たという。メルセデスもまたふわりと宙を浮いているような快適さ。室内は静粛で広く、本革シートはまるでソファのような質感。まるで走るリビングルームだ。深紅をアクセントにした内装もエレガント。霜月の後半ともなれば一乗寺の森も美しく紅に染まるそうだが、やや丸みをおびて艶やかなCLAのボディにリフレクトする紅葉も観てみたいものだ。
ほどなく浄土寺へ。東西に向かい合うように古い堂宇が建っており、その中間に鳥居があり神仏習合の名残ののどかなところが面白いくらいで、特に変哲のない寺院というのが第一印象。
しかし、その印象は西のお堂、阿弥陀堂の中に入ると、感動により打ち破られた。なんと、黄金色に輝く阿弥陀如来、勢至菩薩、観音菩薩が慈悲深いまなざしで迎えてくれたのだ。実に写実的でダイナミック。鎌倉時代を代表する仏師、快慶の作らしい。しかも、夕焼けの光が入り込むと堂内は赤く染まり、雲台の上の三尊像は来迎するように見え、まさに西方浄土そのものになるのだとか。内陣と外陣の区別がないのは、庶民に寄り添う阿弥陀様の慈愛ゆえなのか。
浄土寺は1192年の創建だが、仏像も阿弥陀堂もその当時のもの。開祖の重源上人は法然の教えを受けた高僧で、宋へ数度渡り仏教のみならず最新の建築も学んだ。その様式は大仏様とよばれ、構造力学に即した合理性と実用性を重んじている。言うなれば800年前にモダニズムの境地に達していたようなもので、外観がスッキリしているのも頷ける。重源は鎌倉時代のル・コルビュジエか?否、コルビュジエが重源の生まれかわりなのかもしれない。
東大寺南大門と並び大仏様の代表作とされるこの阿弥陀堂は天井板がなく開放的で、がっちり材木が組まれている屋根構造の様子がわかる。そのうち2本の梁が構造のバランスを取っているそうで、堅牢さとしなやかさを兼備し幾度もの嵐に耐えてきた。エンタシスの柱も大陸的でどこか雄大だ。
想像のはるか上を行く素晴らしき浄土寺。わざわざ行く価値がある。

浄土寺 浄土堂(国宝)

浄土寺 阿弥陀三尊立像(国宝)

滝の隠れ寺、朝光寺

夕日の寺から朝日の寺へ。次は朝光寺へ向かうが、ちょっとわかりにくいところにある。朝光寺も一乗寺と同じく法道仙人の開祖と伝えられるが、ここは雲ではなくMBUX=メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンスの出番だ。「ハイ、メルセデス!朝光寺へ行きたい」と発するだけで、すぐに候補が画面に出てくる。その画面をタッチしてもよし、センターコンソールのタッチパッドを操るもよし、マルチファンクションステアリングのボタンを操作するもよし、もちろん肉声で答えてもよい。ナビだけでなく空調の調節もでき、「カフェに行きたい」といったようなざっくりとした問いかけにも誠実に答えてくれる。まるでコンシェルジュを乗せているよう。MBUXといいインテリジェントドライブといい、実はボンネットの中に人が居るのではないか?と思わせるほどの性能だ。
懇切なナビゲーションで無事に到着。車を停め鹿野川の渓谷沿いの小径を歩くとせせらぎの音が心地よい。徐々にその音は大きくなり、滝が現れた。つくばねの滝は緑の中に2筋の白糸を垂れ、いかにも涼しげ。落差こそ10mほどといったところだが、苔むす巌と落水のコントラストはどこか心を癒やす。
国宝、朝光寺本堂は威風堂々。方七間の安定感のあるフォルムで、和様を基本にしつつも組物や扉に唐様のアクセントをあしらった密教寺院における折衷様式のスタンダードなスタイル。これぞ日本の寺という感じだ。
由緒によると朝光寺は651年に権現山で開基され、1189年にこの地へ移転、1413年に現在の本堂を建て十一面千手観世音菩薩立像をお祀りしたという。残念ながらご本尊は非公開だが国の重要文化財だ。
周囲に大きな集落はない。ただ小鳥のさえずり、葉ずれの調べ、滝の響きがループするだけで、白洲正子が好みそうな隠れ里の風情に満ちている。

朝光寺 本堂(国宝)

神戸唯一の国宝建造物、太山寺

最後は神戸市西区の太山寺へ向かう。三木東インターから高速道路に乗れば、さすがはメルセデス。ディーゼル直噴型DOHCエンジンはトルクの太さを感じさせ、ターボならではの軽やかな加速も心地よい。そしてこのハンドリング感。レスポンスが従順で自らの足を動かすような自在さだ。自動運転も悪くないが、やはりドライブは心躍るもの。ことさらCLAはその楽しさを増幅させてくれる。
太山寺は716年、藤原鎌足の孫、藤原宇合により創建された古刹だ。その本堂は、神戸市内唯一の国宝建造物でもある。見上げるほどに大きな堂宇は1290年代の再建で、折衷様式。よく観察すると、この建築の面白さが見えてくる。桁と軒を支える肘木が中心を境に左右で違うのだ。向かって左半分は全面的に曲線の唐様、右半分は一部直線の和様で、これは建築史的にも激レアなのだとか。
中に入るとほの暗い分、外の景色が眩しく感じられる。時折差し込む光は柱に塗られた朱を弾くように、空間を紅に染める。格子戸の向こうの内陣はさらに暗いが、光の角度により仏像の装飾が宝石のように煌めく。ご本尊の薬師如来を守る増長天、広目天、持国天、多聞天の四天王はいまにも動き出しそうなくらい生き生きしている。
建物を支える柱はすべて丸柱で、抱きついても左右の手が届かないほど太い。中には千年の時を超え現役の柱もあり、尊さすら感じる。
今回訪ねた国宝の寺院建築は、それぞれに世界観を持ち、それを空間として体現していた。世界観とはすなわち思想であり、それは道でもある。そして今日も仏閣は道を説き、メルセデスは道を往く。

太山寺 本堂(国宝)

左)太山寺 阿弥陀如来坐像(重要文化財) 右)太山寺 本堂(国宝)


お顔なじみのお客様も多く、アットホームな雰囲気 ヤナセ加古川支店


平成4年(1992)に神戸、姫路エリアの中間拠点としてオープンしたのが、ヤナセ加古川支店。加古川エリアは神戸方面へのアクセスも良く、子育てをしやすい環境が整っていることもあり、近年人口が増え続けている。住戸の増加に伴い、高級車へのニーズも高まり、そのニーズに応えている。兵庫エリア5店舗の中でも、もっとも規模が小さい店舗であるが、コンパクトであるがゆえにお顔なじみのお客様も多く、アットホームな雰囲気でお客様をお迎えしている。

ヤナセ加古川支店

加古川市加古川町北在家2045
TEL.079-427-1171
営業 09:30-18:00
休業 月曜日 年末年始



DATA


Mercedes Benz NEW CLA 200 d
全長×全幅×全高 / 4,695×1,830×1,430mm
エンジン / DOHC 直列4気筒ターボチャージャー付
最大出力 / 110kW(150PS)/3,400~4,400rpm
最大トルク/320N・m(32.6kgf・m)/1,400~3,200rpm
車両本体価格 / 472万円(消費税込/オプション装着車)

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