1月号
蛭子神社が『御本殿御造営記念誌』を出版
「柳原のえべっさん」として親しまれている蛭子神社が、本殿御造営を祝して記念誌を出版した。もともとは記録をまとめた冊子を発行する予定であったが、宮司の井上優さんが氏子総代と相談し、これを機会に蛭子神社の歴史を後世に伝える一冊をと、最初の計画の倍のページとなる約160ページと厚みを増し、A4サイズのカラフルな本に仕上がった。
記念誌の発行にあたりテーマに掲げたのは〝見たくなる本〟。ゆえに、新しくなった本殿や旧本殿の様子、建て替え工事や移設に関する神事の記録のほか、神社の由緒、えびす信仰の解説のほか、戦前に撮影されたものなど井上宮司の祖父や父が残した貴重な古い写真や過去の新聞記事、昔の兵庫のまちについての記載や当時の地図も掲載され、神社のあゆみのみならず、街の歴史を知る上でも貴重なコンテンツも多く盛り込まれている。
井上宮司も「昔の資料に目を通し、兵庫の街が経済の要として栄えていたことを、時代背景とともに再確認しました」と語るとおり、地元にしっかり根を下ろしてきた神社ならではの歴史ロマンがこの一冊にぎゅっと詰まっている。
新しくなった社殿は、本殿「流造」、弊殿「切妻造」、拝殿「千鳥唐破風入母屋造」の重厚なつくりで、銅板葺きの屋根の曲線はまさに神社建築の醍醐味。境内も整備され、評判も上々で、特にお年寄りからは「拝殿前の段差がなくなりお詣りしやすくなった」と好評だ。また、境内西側の入り口が大鳥居建立により広くなり、特に十日えびす大祭の動線がよりスムーズに。えびす大祭当日はより華やかで賑やかな雰囲気に包まれ、いっぱい福を授かることができるだろう。
「神社は信仰の地であるとともに、文化そのものでもあります。お祭りを通じ、日本になくてはならない文化を発信していきたいですね」と井上宮司。今年のえびす大祭では福の神にお詣りするだけでなく、歴史や文化に思いを馳せてみてはいかがだろう。
蛭子神社
神戸市兵庫区西柳原町5-20
TEL.078-651-0183
http://www.hyogo-ebisu.com/