8月号
伝統を受け継ぎ、新しい挑戦を!
国際ロータリー第2680地区
2014 ― 15年度ガバナー
滝澤 功治さん(神戸須磨ロータリー)
兵庫県内73のロータリークラブを率いるガバナーに就任した滝澤功治さん。ロータリーの活動や第2680地区のこれからについてお聞きした。
弁護士になり、神戸須磨ロータリーへ
―いつ、何故、ロータリークラブに入ろうと思われたのですか。
滝澤 岡山出身の私は大学時代から関西へやって来ました。神戸で弁護士の仕事を始め、暮らすようになりましたが、全く親戚や知人などもいません。「友人をつくりたいなあ」などと思っていた折、神戸須磨ロータリー会員の弁護士さんからお誘いいただき、1983年に入会することになりました。30年ほど前、まだ三十代前半でしたのでメンバーの中ではかなり若いほうでしたね。
―弁護士を目指したきっかけは。また、現在のお仕事は。
滝澤 私が大学に入学した当時は大学紛争が全盛期のころで、1回生の時にはほとんど授業もないという状況でした。日々、無為に過ごしていましたが、たまたま同級生の何人かが司法試験の勉強をしていて、「これではいかん、私もやってみよう」と始めてみたところ、これがなかなか面白くて自分には向いていると思ったのがきっかけでした。現在、最も多くの時間を費やしているのが会社の再生事件や破産事件の管財人の仕事です。そのほか兵庫県労働委員会という労働組合と使用者の紛争解決機関の会長という仕事もしています。
奉仕活動を通じて自分を高め、陰徳を積む
―ロータリークラブが目指すところは。
滝澤 ロータリにはクラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕、青少年奉仕という5つの奉仕部門がありますが、奉仕活動の目的は単にボランティア活動をすることではなく、それによって自らの人間性を磨き高めることです。ロータリーが最も重要視する価値観の一つが高潔性であり、これこそ私がロータリーに惹かれる理由の一つでもあります。
―会員として、ロータリーの魅力は何だと思われますか。
滝澤 弁護士の仕事をしているだけでは知り合える人の範囲は限られてきます。ロータリーでは色々な業種で男女問わず、たくさんの人と知り合う機会が持てます。例会を始め、さまざまな機会にお会いしてお話しするうちに自分を高めていくことができるのが、私にとっては大きな魅力です。
若い力、女性の力に期待
―所属する神戸須磨ロータリークラブの特徴は。
滝澤 青少年の育成に特に力を入れていることです。ロータリーが提唱する中高生対象のインターアクトクラブを瀧川中学・高等学校に設立してから今年で50周年を迎えます。神戸女子大学には18歳以上対象のローターアクトクラブを設立しています。2つのクラブを持つロータリーはあまり例がなく、いずれも活発に奉仕活動を行っています。
―そして7月1日から、第2680地区ガバナーという大役を担ったわけですが、1年間だけでなく準備期間から大変だそうですね。
滝澤 ガバナーノミニー・ガバナーエレクトという2年間の準備期間があり、特に2年目にはアメリカのサンディエゴで1週間、カン詰め状態でガバナーとして何をやるべきかを徹底的に勉強します。全世界544地区からガバナーエレクトという同じ立場の人たちが配偶者やパートナー同伴で集まりますから、一つの組織の一員になるという意識をしっかりと植え付けようという目的があるのでしょうね。非常に合理的なシステムだと思いますね。
―第2680地区での課題は。
滝澤 国際ロータリーは、現在200を超える国と地域に約120万人の会員がいます。会員数はほぼ横ばい状態です。日本国内には34地区、約8万8000人の会員がいますが年々減少傾向にあります。第2680地区には73クラブ約2850人の会員がいますが、その数も然りです。経済不況が長く続いたからでしょうか…会員増強は重要課題です。核となるのが女性や若い世代の入会促進です。国際ロータリーが女性の入会を認めてから25年になりますが、17人の理事のうち、副会長を含め3人が女性です。全世界では女性会員の比率は20%近いのに比べ、日本では約5.6%。当地区では3.2%に過ぎません。せめて日本の平均には近づけ、できれば上回りたいと思っています。
知ってほしい! ロータリークラブのこと
―ガバナーとして1年間の目標は。
滝澤 国際ロータリーの今年のテーマは「LIGHT UP ROTARY!(ロータリーに輝きを)」です。ロータリーが輝きを増すために、私は「TRY SOMETHING NEW!(何か新しいことを始めよう)」と呼びかけています。国際ロータリーは今年で110周年、日本では東京ロータリーが2020年に100周年、日本で3番目にできた神戸ロータリーが今年で90周年を迎えます。何故、これほど長く続いてきたかと言えば、変わらない部分と、社会情勢の変化に適応して変わってきた部分を併せ持っているからだと思います。しかし長い歴史を持っているだけに、前の年と同じことを繰り返してマンネリ化し、組織や活動の衰退化に陥りかねません。そこで、さらに新しいことを始めるのでは負担が大き過ぎますから、今までやってきたことを一つやめてでも新しいことに挑戦してくださいと呼びかけています。何を始めるかをみんなで話し合うことでロータリーへの関心が高まり活性化につながります。
―一般の人にもロータリーの活動に関心を持ってほしいということですね。
滝澤 今、ロータリーはできるだけ存在を外に向かってアピールし、社会的認知度を高めようとしています。何故かと言うと、様々な問題が起きた場合、みんなで力を合わせてやりましょう!と強く呼びかけ取り組むことで成果を上げることができるからです。もちろんロータリーはボランティアだけを目的とするのではないという意見もあり、伝統的な考え方と新しい考え方がせめぎ合っている状況ですが、バランスを取りながら次の時代へと進んでいくことが大切だと思っています。具体的には、国際ロータリーが提案する「ロータリーデー」の開催に向けイベントやコンサートなどの企画、実施を呼びかけているところです。
―本日はありがとうございました。
滝澤 功治(たきざわ こうじ)
国際ロータリー第2680地区ガバナー
1951年生まれ、岡山県出身。京都大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後、司法修習を経て神戸で弁護士を開業。兵庫県労働委員会会長、神戸簡裁調停委員。1983年神戸須磨ロータリークラブ入会。国際ロータリー第2680地区米山奨学委員長、情報研修委員長、ガバナー補佐などを歴任。2014より現職