4月号
歴史講演会「阪神間の鉄道150年」を開催
長田区文化センター別館ピフレホール
3月13日、長田区文化センター別館ピフレホールにて歴史講演会が開催された。明治7年(1824)の大阪~神戸間鉄道開業から今年で150年となることにちなんで、兵庫津ミュージアム名誉館長の田辺眞人先生が「阪神間の鉄道150年」をテーマに草創期の阪神間の鉄道について語った。
まずは、会場の目の前にある新長田駅の開業時の話題から。戦時中、神戸の商店街はことごとく空襲に遭ったが、大正筋や六間道などこの一帯の商店街は戦災を逃れ、戦争直後は神戸一の賑わいとなり「西新開地」とよばれていた一方、兵庫駅と鷹取駅の間にありアクセスが悪かった。そこで地元の人たちが請願し、昭和29年(1954)に開業したという。「その日は新長田駅前に大きな鯨が運ばれてきて、僕も見に行ったんですよ」と、田辺先生にとっても思い出深いできごとだったようだ。
話は本線に入り、大阪~神戸間の鉄道建設へ。当時の阪神間は海岸沿いに集落が多いのでここに線路を敷設しようとしたが、機関車の煤煙で酒が腐るという噂から反対に遭い、やむなく山麓に建設されることになった。しかしそこには芦屋川、住吉川、石屋川という天井川が立ちはだかり、当時の機関車の能力ではこられを乗り越える勾配を登れないという難題が。そこで天井川の川底にトンネルを開削するという手法を採ったが、このことは鉄道発祥の地、イギリスでも大ニュースになったという。
また、当時の時刻表や運賃も紹介。それまで通常で1泊2日、急いでもまる1日はかかった大阪~神戸間の所要時間がたった1時間ちょっとに激減する。その運賃は下等で40銭、米価を基準に現代の価値に置き換えると4千円くらい。いまの運賃460円と比べると高いが、これだけの時間短縮効果からすると妥当ではないかという見解に、頷く聴衆もちらほら。
さらに全国の鉄道網の形成や、阪神・阪急・山陽など電鉄の創設などを、産業や社会の近代化や日清・日露戦争ほか歴史的背景との関わりを読み解きながら解説し、歴史の潮流の中で阪神間の鉄道がどのように発展してきたかをわかりやすく。「駅」という言葉の本来の意味や、神戸駅の大時計と東海道本線・山陽本線の境界、日本で最初の駅弁などのエピソードも興味深く、充実した内容の講演会は万雷の拍手に包まれ幕を閉じた。
歴史家 田辺眞人のミニレクチャー
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ミュージアムにニュージーランドがやってくる
日 時 4月20日(土)13時~15時30分
会 場 兵庫津ミュージアム
参加費 500円(NZ学会員・ミュージアム倶楽部会員は無料)
主 催 ニュージーランド学会
内 容
「ニュージーランドの風土と文化」
ニュージーランド学会顧問 兵庫津ミュージアム名誉館長 田辺眞人
「NZ固有の動・植物と保護区観光」
ニュージーランド学会会長 太谷亜由美
「先住マオリの文化」
神戸大学国際文化学協力研究員 土井冬樹
「世界初のNZ法律制度」
岐阜大学名誉教授 近藤真
「ニュージーランドの語学留学事情」
国立ワイカト大学日本事務所所長 小池泰司