2024年
4月号
4月号
連載コラム 「球友再会」 |Vol.10
今年は「アレ」ならぬ「コレ」がブームの兆し
約100年の歴史を誇る神戸のお菓子「野球カステラ」
あの日あの頃、いつの時代も白球のそばにはドラマがある。
このコーナーでは京阪神の野球にまつわる様々なエピソードをご紹介します。
文・写真/岡力<コラムニスト>
2019年、様々な主体や活動をつなぐことで社会課題の解決に取り組む部署で勤務していた神戸市職員の志方功一さんは地元産業である瓦煎餅の調査を機に神戸が元祖とされる「野球カステラ」に着目。活性化案を瓦煎餅業界へ提案する傍らプライベートで「野球カステラ愛好会」を立ち上げPRや後継者不足問題の一助に取り組んでいる。会員資格は活動に共感してくれる方であればどなたでもOK。自身は各店舗を訪問しキラリと光る情報をピックアップしてはSNSで発信している。「誕生背景を調べると、学生や外国人の野球が東遊園地で盛んだった時期と重なります。商機と捉えた元町の瓦煎餅店が開発したと考えられます。現在、職人さんが高齢化していることもあり気にかけています。実際に閉業することになった店舗の情報を発信したことで最終日には多くの常連客が訪れました。歴史を感じながら、日常のおやつ、御土産としてご利用いただければと思います」。今後も若手職人へ道具を提供する「焼型バンク」や後世に魅力を伝えるための「展覧会」、「焼き体験ワークショップ」など普及活動は継続していく。神戸市内で販売するお店は現在、約8店舗(令和6年3月末)。球春到来、マップを手に熱くて美味しい野球観食ツアーへ出かけよう。