1月号
KOBECCOオススメ 〜CINEMA〜 vol.13
『あなたの微笑み』
コロナ下で踏ん張るミニシアターに愛を込めて
自他共に認めるシネマ・ドリフター(放浪する映画作家)のリム・カーワイ監督。バルカン半島三部作の締めとなる作品が撮影延期になり、日本の南から北へと映画館をめぐるロードムーヴィー誕生に繋がったのは、私たちにとって本当にラッキーだったと言うべきだろう。なにせコロナ下で奮闘しているミニシアターの館主たちと、実力はあるのにちょっと残念な映画監督「世界の渡辺」が、映画愛溢れる物語を紡ぐ姿をキャメラに収めたのだから。沖縄の首里劇場、小倉昭和館から、鳥取、兵庫を経由して北海道の大黒座まで、文化を守り続けてきたミニシアターや地域の人々が出演し、自作を上映してもらうため奮闘する渡辺に、夢のような時間を与えるのだ。映画館の人に出会いたくなる愛いっぱいの作品を、どうぞお見逃しなく!
text.江口由美
『あなたの微笑み』
(2022年 日本 103分)
監督・脚本・編集:リム・カーワイ
出演:渡辺紘文、平山ひかる、尚玄、田中泰延
配給:Cinema Drifters
元町映画館にて1月14日(土)より2週間上映
©cinemadrifters
レジェンド&バタフライ
信長と濃姫が生きた激動の30余年をかつてないスケールで描く
「新時代の時代劇が撮れた…」。NHK大河ドラマ「龍馬伝」で福山雅治を、映画「るろうに剣心」シリーズで佐藤健を〝屈強な侍〟として活写し、これまでの時代劇の概念を次々と打ち破ってきた大友啓史監督はこう豪語する。この大作で「新たな時代劇を追求しよう」と共に挑む盟友は木村拓哉。数え49歳で没した織田信長を同年齢で演じた木村の覚悟がスクリーンから滲み出る。京都をメーンに兵庫県内でもロケを敢行。戦で焼かれ、現存しない安土城天守閣の威容も再現され、スクリーンに甦った姿は圧巻。謎多き信長の人生を辿りながら「信長の真の野望は何だったのか?」と迫ってゆく。東映70周年記念を飾る〝令和を象徴する新時代劇〟が現代に問いかけるものとは…。
text.戸津井康之
『レジェンド&バタフライ』
監督:大友啓史 脚本:古沢良太
出演:木村拓哉 綾瀬はるか 伊藤英明 中谷美紀
1月27日(金) 公開
©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会