2022年
1月号
1月号
連載コラム 「球友再会」 |Vol.1
球史に残る伝説のライバル
文・写真/岡力<コラムニスト>
あの日あの頃、いつの時代も白球のそばにはドラマがある。
このコーナーでは京阪神の野球にまつわる様々なエピソードをご紹介します。
昨秋、かつて甲子園を沸かせた二人の英雄が神戸で再会した。『第49回選抜高等学校野球大会』(1977年)決勝で投げ合った箕島高校(和歌山)東裕司さんと中村高校(高知)山沖之彦さん。当時、公立校で12人しか選手がいなかった中村高校は『二十四の瞳ナイン』と称され連日の快進撃に注目が集まった。対する名将・尾藤公監督率いる箕島高校は並み居る強豪に勝利し決勝に駒を進めた。そして日本中が見守る中、ゲームは3-0で接戦を制した箕島高校が優勝した。その後、東さんは三菱自動車水島で野球を続ける傍らセールスマンとして活躍。現在も高校野球の解説やソフトボールでは『ねんりんピック』に出場している。一方、山沖さんの経歴は言わずもがな。専修大学を経て1981年に阪急ブレーブスより1位で指名され球界を代表する選手となった。最近では本業の傍らご長男が営む、おばんざいカフェ『花唄』で時間を見つけては給仕を手伝っている。
今回、間を取り持ったのは共通の知人であるフリーアナウンサーの山口富士夫さん。話題の新庄剛志監督が現役時代、敬遠球を打ちサヨナラ勝ちした試合を実況したレジェンドである。「本当やったら…うちの応援やろう」と中村高校を応援するスタンドの熱気を振り返る東さん。「手拍子でグラウンドに風が吹いた」と笑う山沖さん。あれから40年以上の月日が経った。しかし時間を感じさせないくらい互いの距離は短く、若き日の力投を讃えあった。
取材協力
おばんざいカフェ『花唄』
神戸市灘区八幡町2-13-13
【電】078-891-3534
【交通】阪急電鉄
神戸本線六甲駅 徒歩2分