10月号
おもろい人のつながりが創る未来 ~ カルチャーを通して、街をデザインする ~
Culture × Town development
クロシェホールディングス沼部美由紀さんを進行役に、街をデザインシリーズの3回目をお届けします。2019年、関西から世界を席巻するような企業を輩出しようと、関西に拠点をおく起業家有志が立ち上げた「関西フューチャーサミット」。スタートアップやベンチャー、産官学のリーダーなど、総勢300名を超す人が参加し、関西の未来を語り合うイベントです。
立ち上げ時から携わってきた焼肉の大同門株式会社社長フォーリー淳子さんを迎え、神戸開催からボードメンバーに加わった沼部さんが「関西フューチャーサミット」の“おもしろさ”について伺いました。
飲み会の席から始まった
沼部 昨年(2020年)の関西フューチャーサミットに参加させてもらって、何がすごかったってコンセプトでもある「おもろい人間が集まり、おもろいつながりを創る」が、まさにそのとおりで。刺激になるし、とても学びが多くて。一番良かったのは自分の会社にすぐ置き換えられること。30・40代のベンチャーの人たちの考えを若い社員たちに話したら、むちゃくちゃ響くんですよね。
フォーリー おもしろかったでしょ。財界人とかが集まるセミナーとは、全く色が違っていて。スピーカーの方は、30・40代の起業家ならよく知っているすごい人ばかり。こういうイベントには参加しないといわれているような人たちまでも登壇してくれるんです。旬のスピーカーを、みんなの熱意で呼んできます。昨年は開催地が京都だったので、京都府知事や京都市長も来られました。スピーカーとの距離の近さもいいんです。壇上でも話しをされるんですが、その後にファイヤーサイドチャットといって、スピーカーと参加者が同じフロアで、同じレベル感で、気軽に質問をすることができるんです。オンラインではできない、この場で会うからこそできる魅力ですね。
沼部 この関西フューチャーサミット開催のきっかけが飲み会の席だったと聞いて、とても興味深いんですけど。その席に、淳子さんもいらっしゃったんですよね?
フォーリー 1回目の大阪難波開催が2019年だから、その1年前かな。ある勉強会の後、2次会に行こうとなって、7・8人がうちの店に来てくれたんですよ。その時に、東京で著名スタートアップ経営者が集う団体が関西でセミナーをやるという話しを聞いて「東京の人が関西でセミナーやるのに、関西発が1個もないのはおかしい」みたいな話から「それなら、私たちでやりましょうよ」って。飲みながらワ〜ッて盛り上がったのがきっかけ。ちょうど、日経新聞の記者が大阪の西中島南方に集積しはじめたスタートアップを「にしなかバレー」と呼んで注目された頃でしたね。大阪には「秀吉会」や「EO Osaka」などの若手経営者グループがあり、そこから元気なベンチャーやスタートアップがポコポコと動き出していたというのもあったんですよ。
そこで、飲み会だけの話しに終わらせないのが、勢いのある経営者たちなんですね。話しが進んで、みんな1回集まろうってなり、ボードができ、事務局ができ、そして翌年に開催。みんな30・40代の経営者やスタートアップばかり。上場を控えている忙しい人もいたのに、すごいパワーでしたね。
一番感動したのが、会議とかでも1時間と決めたらファシリテーターが時間通りにピタッと終わらせるの。次のアクションで何をするかってところまで。発言することに恐れがないし、明るくおもしろくて、冗談を言い合いながら決まっていくんです。すごく勉強になりました。
沼部 1年目って全く知られていないのに、よく短期間で開催までこぎつけましたよね。
フォーリー 参加者もスポンサーも見つからなくて、すごく苦労したのよ。「参加者300人集めようぜ!」って話しで、当時の参加費が5万5千円かな。集まらなくてギリギリまで真っ赤っ赤。でも「これは経営者のメンツにかけて、赤字にしてはいけない」って、ボードメンバーと事務局とで走り回りました。「失敗したら自分たちがかぶってでもやる」という覚悟もありましたね。だから、ボードメンバーであっても参加費を払わないとダメなの。今でも。そして結果は、満足度ほぼ100%。最後のアンケート調査もおもしろくて、マーケティングもしっかりしている。さすが経営者の集まりですね。
今ではおかげさまで、スポンサーがいっぱい付いてくれて、新しいスポンサーは積極的には募集していません。参加者にしても来たがっている人が多くて、ありがたいです。
関西を元気に。神戸開催
沼部 いよいよ2021年11月7日(日)に神戸開催ですね。3回目を神戸でと思われた理由って?
フォーリー もともと京阪神連携というのがひとつのテーマだったんですよ。東京に対抗しようなんて意識はなくて、関西が元気になればと思って始めたんです。対抗するよりも、関西としてのアイデンティティーをもっと高めて、おもしろくしていこうっていう感じ。その方が健全ですよね。
本当は1回目の時に「4年後にやります」というはずが、すごく盛り上がって。その場の勢いでボードメンバーの中野さん(株式会社i-plug)が「来年もやります!」って宣言しちゃったんですよ。それで、次どこでしようか、京阪神連携だから京都、その次は兵庫・神戸だね、ということに。
今年は、キーノートセッションが2つあって、1つは落合陽一さんが来てくださることが決定しました。(※取材当時)内容はまだですけど、決まれば公式サイトで順次発表していきます。
必要なのはホントの意味でのつながり
沼部 参加条件って、誰でもOKではなく結構厳しいでしょ。紹介者がいないと入れないとか。昨年、淳子さんに誘ってもらったから入れましたけど、経営者だから入れたんですよね。
フォーリー 興味本位じゃなくて、ホントの意味のつながりを創りたい人の集まりだから。ベンチャーであれば社長のみ。大企業だと事業部長以上の人しか入れないとか。それくらい厳しくすることで集まる意味が出てくると考えているんです。
厳しいだけじゃなく、ダイバーシティとか若くて頑張っている人を応援したいという気持ちがボードメンバーにすごくあるので、今回、数人ですが起業マインドがあるとか起業しているとかの条件で、大学生に門戸を開いています。昨年は、女性の経営者をもう少し集めたいねって話しがでました。関西には、まだまだ少ないんです。神戸の若い起業家は、関西や日本というより、世界を見ている人が多いそうですね。そういうグローバルな視点に立っている人にも来て欲しいと考えています。
沼部 若い経営者たちの考えも知りたいという年配の経営者も参加して欲しいですよね。40・50歳を過ぎても、もう1回起業したいと思っているアグレッシブな人は絶対参加した方がいいと思うんですよ。
フォーリー 年齢制限は無いからね。ただ、お連れゾロゾロはNG。1人でも本気で勉強をしたい人に限りますね。詳しい条件や申込方法などは、公式サイトを見てもらえればわかると思います。
おもろい人
沼部 最後に、コンセプトにある「おもろい人」ってどんな人だと思いますか?
フォーリー 話していておもしろい、存在がおもしろい人ですかね。自分をしっかり持っていて、はっきり意見を言える人からは、学べるところがあるでしょ。関西フューチャーサミットのボードメンバーや事務局の人たちは、ひとりひとりがそうなんですよ。他愛のない話しをしていても、その人の考え方が出てきたときに「そういう考え方もあったんだ」と気づかせてくれる。それぞれに役割があって、そういう個性を持った人が、私はおもしろいですね。会えばきっとわかってもらえると思います。
[取材場所] デザイン・クリエイティブセンター神戸(愛称:KIITO/キイト) https://kiito.jp
株式会社クロシェホールディングス
代表取締役社長 沼部 美由紀 氏
甲南大学経済学部卒業。阪神・淡路大震災の翌年に、美術品商社のバイヤーから独立。「ここち良さを、あたらしい視点から」をポリシーとして、自社ファッションブランドを立ち上げる。現在、神戸からアパレルと靴の事業を展開中。「Kansai Future Summit 2021」では、ボードメンバーとして参加。
大同門株式会社
代表取締役社長 フォーリー 淳子 氏
神戸女学院大学卒。大阪府知事付通訳として勤務後、同時通訳者として活動。33歳で起業後、1998年にレコメンドのシルバーエッグ・テクノロジー株式会社を設立しCOOとして事業構築、2016年9月東証マザース上場。2010年に民事再生にてファンドの手に渡った家業の「焼肉の大同門」を買い戻し、代表取締役に就任。大阪スタートアップコミュニティで積極的に活動。大阪イノベーションハブ(OIH)メンター、日本ホスピタリティ推進協会理事、関西経済同友会幹事。
Kansai Future Summit 2021
https://kansai-future.com
日時:2021.11.7(日)
9:30〜19:00(OPEN 9:00)
場所:神戸ポートピアホテル
参加費:38,500円(税込)、完全招待制
主催:「Kansai Future Summit 2021」
実行委員会