8月号
神戸青年会議所 神戸JCが紡ぐ 20年前から変わらぬ想い VOL.6
神戸JC「総活躍社会構築特別委員会」では、3月の公開例会・講演会及びパネルディスカッションを皮切りに、精力的に障害者雇用促進活動を推進しています。6月から、「障害者雇用受入宣言企業」100社を目指し、すでに三十数社に手を挙げていただいています。
今回は神戸市5カ所の「しごとサポート」事業所代表の皆さんに集まっていただきました。「しごとサポート」とは神戸市からの委託を受けた5つの法人が障害者手帳の有無にかかわらず発達障害や難病のある人なども含めて対象とし、就労支援及び就業に向けての生活支援、雇用を希望する企業支援、地域で就労支援に携わる関係機関や企業のネットワークづくりという3つを柱に事業展開しています。事業所それぞれが得意とする分野を生かして行っている支援や今後の展望など、お話しいただいた内容をご紹介します。
1996年、知的障害のある方の就労訓練から始まり、その数年後、就労相談の機能を追加し、就労を継続できるよう活動を続けてきました。実はJCさんからお話をいただいたとき、単年度ということで幾分消極的だったのですが、私たちの活動を理解して課題を解決しようという熱意が嬉しく、すでに三十数社にお声がけいただいたと聞き「すごいな!」と圧倒されています。6月には当事業所でイベントを開催していただき、お陰さまで雇用を検討いただいた企業さんもあり、具体的なお話を始めているところです。
障害を持つ人を雇用する企業さんは会社の方針、トップや担当者の考え方がいろいろで、マニュアル化できない難しさがあります。私たちは対処の仕方や配慮すべき事項など多くのノウハウを持っています。理解いただけるよう地道な努力を続けていきます。
1984年、統合失調症の居場所づくりから始まり、現在は発達障害や引きこもりなども含む、精神面で問題を抱える人の就労を支援しています。ある分野で高い能力を持ち仕事はできても人間関係で躓くケースや、業務内容が変わっても働き続けて負担になってくるケースが非常に多いのが現状です。そこで神戸市さんと協力して、近藤武夫先生が提唱されている「超短時間雇用」を推進しています。時間契約ではなく、業務内容契約をする新しい働き方です。
全国に「障害がある」といわれる人が900万人以上います。福祉・医療・教育の関係者だけで対処するには限界があり、多くの人に加わっていただかなくてはどうにもなりません。まず知ってもらって仲間を増やしていくという意味で、JCさんからチャンスをいただきました。今後、お声がけいただいた企業さんにご理解いただけるのかは私たち次第だと思っています。
沖縄に法人拠点を置き、今年4月から神戸市の「しごとサポート」の委託を受けました。のんびりした沖縄に比べると神戸は、社会性を身に付け規律を守るのが当たり前できちんとしている反面、それが苦手な人ははじき出される社会だと感じています。
東部の特徴は、相談業務だけでなく障害がある人を自ら雇用し一緒に働いていることです。多様性を認め合う新時代を築くには、まず理解いただけるところと一緒に進めていくことが大切です。JCさんからお話をいただき中村委員長のパッションには圧倒されました。企業さんからここまで歩み寄っていただけるとは! ここから継続的に関わっていけるようにするのはノウハウを持っている私たちの役目。企業にお願いするだけではなく、組織がどう変わらなくてはならないのかをお話しできます。マイノリティーが働きやすい環境はみんなが働きやすいんです!
1958年、知的障害児施設から始め、グループホームの運営や相談業務、2019年から委託を受け「しごとサポート」で北区内を管轄としています。障害者雇用率というものを撤廃し、障害のあるなしにかかわらず人それぞれが得意な分野を生かし、働きやすいかたちで仕事ができる社会を目指し、私も毎日走り回っております。ところが、2020年はコロナの影響で動きが取れず、そんな中、中村委員長からお話をいただきました。JCさんから多くの企業にお声かけいただいたことは本当にありがたく、三十数社に賛同いただくなど私たちにはできないことです。ただし、企業さんの担当者が変わる、障害者の状態が変わるなどあり、長いお付き合いが必要です。今後も何らかのかたちで継続いただけることを切に願っております。
重度の障害がある人の就労支援活動から始まり、パソコンとネットワークを使った在宅就労を推進する活動を30年以上続けてきました。会議録のテープ起こしや資料の電子化、ウェブや、ロゴデザインの制作業務などを発注いただいています。3年半前、神戸市さんと協力しICTと在宅就労に特化した支援機関「しごとサポートICT」を立ち上げました。地域を限定することなく神戸市全域を管轄する全国初の行政機関の相談窓口です。ICTという特性もあり、全国を対象として相談や連携を受け付けています。
障害のある人は弱者ではありません。何かしら困難な部分があるとしたらそれを補う〝武器〟を持てばいい。その一つ、パソコン・ネットワークを利活用する在宅の「業務契約」という働き方を提案してきました。今回はJCさんに協力いただき組織力のすごさを実感しています。
「感謝」の一言です。私は昨年10月に委員長を拝命するまで障害者雇用についてほとんど考える機会を持つことはありませんでした。今、私をはじめ、携わるメンバー21名の意識が活動を通じて確実に変わってきたように思います。私たちには関係ないと思っていた「超短時間雇用」という働き方や「ジョブ型雇用」という考え方も、働き方改革を進めていくうえで経営者として必要な目線だと気付かせていただきました。こういう機会を頂いたことに感謝いたします。この「気付き」や「発見」を、行政や福祉、しごとサポートの方々だけでなく、我々企業側がもっと積極的に発信・共有することも大切であり、使命であると感じました。引き続き、企業としての役目を果たしていきたいと考えています。
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