6月号
憧憬の鈴鹿を駆けろ!G DREAM2019
中嶋悟がパトレーゼを〝刈った〟第1コーナー。プロストとセナが接触した因縁のシケイン。ライコネンがフィジケラを最後の最後でとらえたメインストレート。日本GP4勝のベッテルをして「神が創った」と言わしめ、〝皇帝〟ミハエル・シューマッハが「夢のよう」と絶賛した鈴鹿は、サッカー選手にとってのウェンブリーであり、ゴルファーにとってのオーガスタだ。人生のうち一度でもいいから、憧れの〝聖地〟で走りたい…。そんな夢想の世界が現実となるイベント「G DREAM 2019」が4月16日に開催された。
主催のGLIONは神戸に本拠をおき、名門メーカーのディーラーを中心とする自動車事業を軸に、飲食のブランディングでも手腕を発揮する企業グループ。昨年まではフェラーリの走行会として開催していたが、今回はフェラーリのほかランボルギーニ、マセラティ、BMW、ミニ、プジョー、シトロエン、日産、スズキなど9ブランドへと拡大し規模もパワーアップ。参加者たちは愛車でサーキットの風になるなど、プレミアムな体験に胸を踊らせたようだ。
当日は晴天でロードコンディションは上々。貸し切りのコースではエンジョイ走行、スポーツ走行、パレード走行などのタイムスケジュールが組まれ、ドライバーたちは時に思う存分アクセルを踏み倒して公道では味わえないスピードの世界へ。セナが「神を見た」というスプーンカーブ、世界的な高速カーブの130Rを颯爽と駆け抜けるとともに、マシンの高い性能を実感したであろう。
ランチタイムの後には1989年のF1選手権第1戦のブラジルGPでマンセルをトップチェッカーに導いたマシン(実物!)、フェラーリ640がコースに神々しく登場。熱い視線を浴びながら、世界一素晴らしいと称揚されるエンジンのテナーなサウンドも高らかに、春風よりも速く疾駆。その余韻もまた心震わせた。
コース以外でもさまざまなプログラムを展開。ピットビルディングの一部はランボルギーニなどの名車のギャラリーとしても使用され、まるでアートを見る気分。パドックエリアではGLIONが取り扱うブランドが揃い、特設コースでの特別試乗体験も。協賛会社のブースも出展、DJやレッドブルガールも華やかに。
ステージイベントではレースクイーンから転身し女性カーレーサーの草分けとして第一線で活躍する井原慶子さんのインタビューのほか、井原さんに加え「シャーク」こと井入宏之さん、F1でも活躍した中野信治さん、スーパーGTシリーズチャンピオン4度のロニー・クインタレッリさん、日本を代表するラリーストの新井敏弘さんが一堂に会するという豪華なトークショーもあり、「鈴鹿の攻め方」を語り合って大いに盛り上がった。
GLIONの菊地秀武社長は「今後ともお客様のために邁進していきたい。そしてこれからも夢を追い続けていきたいですね」とG DREAMの夢路を語った。次回も楽しみだ。