6月号
<特集> Dolce Vita! 人生は笑っているほうがいい!
「Dolce Vita」人生を楽しむのがイタリア人
「Dolce Vita」人生を楽しむのがイタリア人
大学生の時にイタリアの靴に魅せられた久内淳史さんは、神戸ものづくり職人大学でパターンやミシンなどの基礎を身につけ、その後単身、靴づくりの本場イタリア・フィレンツェへ渡った。フィレンツェは世界屈指の伝統と技術を誇り、世界的靴職人のロベルト・ウゴリーニ氏のもとで修業を積んだ。手仕事を大切にする街の空気を吸い込みつつ、人生についても大きな影響を受けた。「“Dolce Vita”人生を楽しむのがイタリア人」と久内さん。神戸で活躍するイタリア人のお友達をご紹介いただきました。
イタリアナポリ発のカメオ
神戸発〝ルカのカメオ〟として世界に広めたい
カメオの販売と真珠の輸入の仕事をしていたお父様が日本へ度々やって来ていたというルカ・セルバシオさん。ご自身は2010年に、日本を拠点にお父様の仕事を引き継ぎ、「コンパクトでイタリアに似た感じが気に入った」という神戸の街で暮らすようになった。
その頃、展示会に参加した共通の知り合いから紹介されたのが久内さんご夫妻。ルカさんと奥様が日本でのことばや生活にまだ不安があったころ、イタリア生活の経験があるご夫妻とすぐに打ち解け、以来、家族ぐるみでお付き合が続いている。
「仕事に必要なので日本語の勉強を本格的に始めると、日本をもっと好きになりました。困ることもあるけれどそれは世界中どこでも同じこと。日本人は優しいから、とても暮らしやすい」と話すルカさん。お仕事のこと、神戸での暮らしのことなどお聞きした。
─カメオとは?
ローマ帝国の時代、専門の学校や工房の親方から習った技術を持った職人さんが、珊瑚がたくさん採れるナポリで彫り物細工をしていたのが始まり。その当時は、肖像画を描いてもらうようにカメオを彫ってもらっていたので、人物の横顔のデザイン画多かったのです。珊瑚の採れる数が減ってきたこともあり、何層にもなった貝殻を彫って細工をしたり、宝石を組み合わせたりするデザインに発展し、現在はナポリ近くの港町、トール・デル・グレコで主に作られています。
─ルカさんのお仕事は?
カメオを世界中の若い人たちにも使ってもらいたいと、今までになかったモチーフや素材と組み合わせるデザインを提案し、イタリアでカメオ職人さんたちに作ってもらいます。お客さんの要望でオーダーメイドすることもあります。出来上がったカメオを持ち帰り、次は日本人の職人さんとコラボし、ピアスやペンダント、チョーカー、ブレスレットなどのアクセサリーに加工します。今では、私の発想やイメージするデザインをすぐ理解してくれる職人さんもいて、〝ルカのカメオ〟づくりのために大きな力になってくれています。真珠が日本の神戸から出て世界各国の街を拠点にして広がっているように、イタリアのナポリから出たカメオを日本の神戸を拠点にして世界へと広げていきたいと思っています。
─神戸の食を楽しんでいますか。
イタリア人は家で奥さんの作るお料理を家族と一緒に食べるのが普通ですが、私の奥さんは今、子どもの世話に忙しいので、外へ食事にも出かけることもあります。神戸には美味しいイタリア料理店がたくさんありますね。R valentinoは以前からよく行くお店です。モザイクのオステリアガウダンテは海の眺めが良くて、イタリア人のシェフが作るお料理がいいですよ。でも、ラーメンやお寿司、中華料理などもよく食べに行きますよ。名前は覚えられないのですが、場所はちゃんと分かっています(笑)。
─イタリア人はなぜ、そんなにオシャレなのでしょうか。
うーん、なぜでしょうか…多分、イタリア人の頭の中は、デザインやクリエイティビティーでいっぱいなのだと思います。「楽しくなければ人生じゃない」といつも考えていますから、ものづくりでもデザインを一番大切にして楽しんでいます。日本人と違って、明るい色をたくさん使うのでオシャレな印象になるのでしょうね。
「イタリアのものづくりは『デザインありき』、合理主義的な考えはないですね。あくまでも〝Dolce Vita〟。人生を楽しむのがイタリア人です」。イタリアのものづくりを体感してきた久内さんが、そんな感想を話してくれました。
株式会社ルイスアンドルカス
神戸市中央区熊内町8-1-13
TEL.078-778-3363