6月号
気分も新鮮 リニューアル
株式会社 神戸凮月堂
代表取締役社長 下村 治生さん
神戸凮月堂 元町本店が全く新しい「FUGETSUDO KOBE MOTOMACHI」へと生まれ変わりました。
居留地文化の原点に戻る
神戸凮月堂は、私の曽祖父が港街神戸で創業しました。115年前、当時神戸には外国人居留地があり多くの西洋文化が入ってきた時代です。神戸市民は西洋文化の影響を多大に受けました。その中に、洋菓子もありました。今ここでその当時の原点に戻り、元町本店の役割を考え直しました。そして、本店改装と洋菓子の商品展開のリニューアルに至りました。
西洋の歳時記をスイーツで表現
西洋人の生活文化を支えているのはキリスト教です。その文化を神戸の皆さんに改めて知っていただくというのがコンセプトです。年間通じて、月々のヨーロッパの祝祭に合わせた「神戸西洋歳時記 ヴァン・オ・ブラン」を展開し、皆さんに西洋の季節感や風習を楽しんでいただこうと考えています。続いて来年の完成を目指して、日本の歳時記も楽しんでいただけるように和菓子ブランド「神戸凮月堂清白」を隣店舗にリニューアルオープン致します。
元町本店はロゴもブリッジに一新しました。未来に向けて人と人との懸け橋を意味しています。もちろん、皆さんに親しまれてきた扇マークも本社のロゴや既存店、和菓子部門のロゴとして引き続き使っていきます。
フランスからパティシエもやって来た
本店リニューアルに向け3年前からパティシエを探しにフランスへ何度か出かけました。やっとめぐり逢えたのがジャン-ジャック・エリッシュ氏です。フランスではスイーツカフェのオーナーでもあったジャンは大変な親日家で、ぜひ日本でカフェをやってみたいという希望を持っていました。私たちの思いと丁度重なり、FUGETSUDOのスイーツやカフェの今後の展開を一緒に考えようと日本へ来てくれました。彼の出身地アルザス地方の良さも、スイーツを通してお伝えしていく予定です。
元町本店だけのオリジナルスイーツも色々
神戸西洋歳時記「ヴァン・オ・ブラン」のほかにも、ピアノ鍵盤やヴァイオリンなどの楽器をイメージした「ガトー・ムジーク」は元町本店だけのオリジナルスイーツです。更に、元町本店限定の復刻版ゴーフルも発売予定です。戦災で全てを失った神戸凮月堂に唯一残ったのが、祖母が疎開先に持って行った1缶のゴーフルでした。この缶と頭の中に残っていた記憶だけで、戦後、こげ茶色の缶のゴーフルで復活することができ、皆さんに変わらずご愛顧いただけたと言っても過言ではないと思っています。戦火をくぐり抜け、あちこちへこんだボロボロの缶ですが、私共の社宝です。その缶を復活させ、新しいクリームのゴーフルを開発します。年内発売を目指して意匠製作中です。ご期待ください。
スイーツと共に文化を発信
神戸凮月堂は長年にわたり、神戸文化の発信にも努めてきました。神戸を代表する文化人の皆さんとも交流をさせていただいてきました。神戸港の突堤をイメージしたショコラ「Kobe Pier コウベピアー」の名づけ親は詩人の竹中郁さんです。パッケージには洋画家の石阪春生さんの作品が添えられています。本店2階レストランでは、石阪さんの絵画や新谷琇紀さんの彫刻を存分にお楽しみいただけます。
私は食と文化は切り離せない関係にあると思い、それを意識して日々生活しています。元町本店ではお客さまへの感謝デーとして、ホールを使って演奏などを楽しみながらお食事やスイーツを楽しんでいただくサロン・ド・ガトーなども春・秋に開催する予定です。
これからも神戸凮月堂の使命は、スイーツと共に生活文化を楽しんでいただくことだと考えています。神戸の文化を体感しに、ぜひ新しくなった元町本店へお越しください。
FUGETSUDO KOBE MOTOMACHI
TEL.078-321-5598
〒650-0022
神戸市中央区元町通3丁目3-10
下村 治生(しもむら はるお)
株式会社 神戸凮月堂 代表取締役社長
1965年、神戸市生まれ。立命館大学大学院修了、MBA取得。株式会社第一勧業銀行(現みずほ銀行)にて銀行員を務めた後、1994年株式会社神戸凮月堂入社。常務、専務を経て現在に至る。社団法人神戸青年会議所第46代理事長などを務める。