2013年
6月号

お届けします、 安全な食と健康

カテゴリ:グルメ,

生活協同組合コープこうべ
常勤理事 山添 令子さん

166万人の組合員の暮らしに安全・安心な食を届けてくれるコープこうべ。徹底した取り組みや、コープこうべならではの活動について、山添令子常勤理事にお聞きした。

組合員の要望を受けた商品づくり

―食の安全・安心に関して、独自の商品検査センターが果たす役割は大きいのですか。
山添 コープこうべは、安全・安心に関して、国の基準をベースに、自主的な基準を設けて、商品の生産から組合員の手に渡るまで一連の流れを管理しています。全国の生協の中でも、商品検査センターを独自で持っているのはそれほど多くはありません。自らの手で検査できるということは大きな信頼につながっています。
―放射性物質検査もいち早く始めたそうですね。
山添 2011年3月に東日本大震災が起き、自主的な検査を実施すべきか役員会で論議をしました。その結果、半年後の9月にゲルマニウム半導体検出器を導入し検査を始めました。
―コープスなどオリジナル商品もありますね。
山添 コープのオリジナル商品には、全国の生協が共同で開発した「日生協コープ商品」とコープこうべがオリジナルで開発した「コープス」の2種類があり、ロゴも違います。コープこうべオリジナルを生産する理由としては、まず関西と関東に味の違いがあることです。量や質などもコープこうべの組合員の要望に沿った商品です。とりわけコープこうべが組合員と一緒に主張や思いを込めて力を入れているのが六甲アイランド食品工場で製造しているパン、麺、お豆腐などの食品工場生産品です。商品には、2つのハートマークが重なった「ダブルハートマーク」がついています。これは、つくる人と作る人の心が一つに合わさるという思いが込められています。

個人宅配、協同購入も時代に合わせて

―個人宅配と協同購入がある宅配ですが、話題の夕食サポート「まいくる」について教えて下さい。
山添 夕食のお弁当をお届けするサービスですが、コープこうべでは独自の惣菜工場を持っていませんので、子会社の(株)コープフーズをはじめ3社に委託しています。栄養バランスや塩分を考慮したメニューを、品質基準にかなった食材を使って製造することが条件です。6品のおかずだけのコースとおかず5品にご飯を添えたコースの2種類があります。月曜から金曜までの5日間を基本にお届けしていますが、組合員からの要望もあり、一部のエリアですが土日も対応できるようになりました。また大阪北エリアで実験的に始めたおかず8品コースの「はなやぎ御膳」もとても好評で、今後は兵庫県下へ徐々に広げていく予定です。利用者は5月2日時点で1万4654人の組合員に登録をいただいており、1日当たりの食数も5241食と順調に推移しています。
―コープならでは特徴もありますか。
山添 まいくるでは、「コープともしびボランティア振興財団」へ1食あたり0.5円を寄付しています。また、神戸、尼崎、宝塚、伊丹の4市と提携して、1カ月1回配達時に高齢者の方へ消費者被害についての注意啓発も行っています。一方、個人宅配では、東灘区と宝塚市から始まった「高齢者見守り協定」が、14市に増えました。郵便物や新聞がたまっている、電気がついているのに応答がない、配達したものがそのままになっている、注文が異常に増えた等々、異変に気づいた際、行政の窓口に伝えるというものです。
―個人宅配、協同購入の利用者は。
山添 個人宅配と協同購入の数はほぼ半々で、個人宅配は増える傾向に、協同購入は幾分減少傾向にあります。はっきりしたデータはないのですが、子育て中のお母さん方や高齢者の方、個人宅配では夫婦共に働いている方が多いというのが実感です。

地域の子育て支援などのさまざまな事業

―コープこうべは販売以外の事業活動も盛んですね。
山添 文化事業として、住吉の生活文化センターをはじめ13カ所のセンターでカルチャー教室を実施しています。ほとんどが店舗の一角にあり、気軽に利用できることが大きな特徴です。中高年の方や、親子での利用が多く、中でも、組合員のグループ「家庭料理研究会」がコープカルチャーと連携してキッズ料理教室を開くなど、子ども&親子対象のプログラムに力を入れています。また店舗や事業所に併設している組合員集会室では月に1・2回、組合員のグループが運営する「子育てひろば」を54カ所で開いています。親子で自由に来て遊んだり、情報交換の場としても活用いただいています。
―暮らしの助け合い活動というのは。
山添 コープこうべには「コープくらしの助け合いの会」があります。地域で助け合って暮らしていける仕組みづくりをしましょうというもので、約700人の組合員が奉仕会員としてボランティア登録しています。主に高齢者を対象に介護保険ではできないことを補足しています。例えば、介護保険では食事づくりは介護認定を受けた方だけが対象ですが、老々介護で家族も高齢者というケースが多く困っておられます。コープくらしの助け合いの会では家族分も作りましょうということができます。ほかにも、掃除や庭木の水やり、病院への付き添いなど、専門的なことではなくできる範囲のことでお手伝いしています。また、子育て世代を対象に、産前・産後や父子家庭の家事サポートなども行っています。
―そこが一般のスーパーとは違いますね。
山添 災害支援についても募金だけでなく、みやぎ生協などと連携して計画的な活動を続けています。その一つとして、福島の子どもたちを週末に思い切り遊ばせてあげたり、夏休みに受け入れをしたりする「福島の子ども保養プロジェクト」というのがあります。商品を買って応援するだけでなく組合員が自ら動き協力するという点が他のスーパーとは違うところだと思います。
―食と健康に関してできることは。
山添 組合員にご利用いただくその場で、食や健康に関する情報をきちんとお伝えすることが大事です。安全・安心を保証することはもちろん大切ですが、バランスの良い食生活があって初めて健康は維持されます。組合員が主体的に活動する色々な活動を組み合わせながら、今後も発信していきたいと思っています。
―これからも、人と人の輪を広げていってください。よろしくお願いします。

インタビュー 本誌・森岡一孝

人の手から人の手へ配達されるコープの「個人宅配」


放射性物質検査のためゲルマニウム半導体検出器を導入


夕食サポート「まいくる」


組合員が運営する「子育てひろば」


福島の子どもたち支援プロジェクトの売り場。商品を買うとプロジェクト資金の一部になる。


山添 令子(やまぞえ れいこ)

生活協同組合コープこうべ 常勤理事
1981年 灘神戸生活協同組合(現コープこうべ)入所。
1998年 福祉事業部課長。2002年 生活文化・福祉部統括部長。2007年 執行役員。2009年より常勤理事に就任。

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