8月号
神戸を愛して85年
萩原珈琲株式会社
代表取締役社長 萩原 孝治郎さん
創業以来85年、伝承の製法と味を守り続けている萩原珈琲。神戸を愛し、地域や同窓会活動にも力を注ぐ萩原社長に地元・灘区のことなどお聞きした。
―直営の北野店、さんちか店、神戸市庁舎1階の喫茶室「127番地」のほかには、萩原珈琲はどこで飲めるのでしょうか。
萩原 昔からのお付き合いの茜屋珈琲店さんをはじめ、こだわりを持っておられるいくつかの喫茶店で使っていただいています。
―コーヒーはどれくらいの種類があるのですか。
萩原 お客様の要望に合わせてブレンドしますから、種類ということであれば無限にあるといえるでしょうか。
―萩原珈琲ブレンドの美味しい特徴とは。
萩原 約20種類の生豆の中からいくつかを1種類ずつ別々に焙煎してからブレンドします。生豆をブレンドしてから焙煎する方法と違い、コーヒー豆それぞれの味が活きてきます。
―「家庭で萩原珈琲の味を」という場合にはどこで手に入りますか。
萩原 直営店と萩原珈琲を使っていただいている喫茶店で焙煎豆をお買い求めいただけます。
―百貨店、スーパーなどでも手に入るのですか。
萩原 弊社は鮮度第一と考えています。直営店をはじめ、喫茶店にも焙煎した豆を1週間で使い切っていただけるようにお渡しし、お客様の注文を聞いてから挽いてもらっています。鮮度にこだわる限りは、売れ残った場合のロスを考えても百貨店やスーパーなどに並べて売ることは難しいと考えていますし、今後も変わらないと思います。
元気な地元・灘区のために
―萩原社長の地元・灘区は灘100選など区民活動が非常に盛んですね。
萩原 私は近隣の地域のことしか詳しくは分かりませんが、各地域で皆さん頑張っておられて、確かに元気ですね。
―何故でしょうか。
萩原 何故でしょうねえ…、古くから住んでおられる方が多く、灘区を愛しているからでしょうか、学校、大学、動物園、灘五郷等々、色々あるからでしょうか。最近では、シャッター通りと言われている商店街も、若い人たちが色々と工夫して再活用しているようです。
―萩原家も代々、地域活動には貢献されているそうですね。
萩原 祖父が非常に熱心に活動していました。今は父と、私の家内が活動に参加して、色々と役員も仰せつかっています。そこに私までが参加して発言するのはあまり好ましくないかと、今のところは一歩引いています。
―灘区には摩耶山もありますね。
萩原 ご近所にも毎朝3時に起きて、登っておられるグループがあります。私の祖父も早朝に登って、途中のあけぼの茶屋で署名して帰って来るのが日課になっていました。
―萩原社長も山が好きで、山岳部だったそうですね。
萩原 小学校の恩師に連れて行ってもらったのがきっかけで私も山好きになりました。高校時代は山岳部で毎年、北アルプスへ行っていました。大学でも山岳部に入ろうとしたのですが、本格的な登山はどうしても危険を伴います。両親からの反対を受け、それでもやはり山は好きで…、競技スキー部に転向しました。登山はもう過去のことですが、相変わらず山は好きです。
―山好きの萩原社長から見て、摩耶山の魅力は。
萩原 摩耶山といえばやはりアジサイの季節が一番ですね。自然に生えている小さな草木を見つけたり、野生のイノシシに出くわすのも楽しみの一つかも知れませんね(笑)。
―イノシシですか?!危なくないですか。
萩原 いえ、イノシシは篠原辺りまで下りて来ていますよ。通勤する人の横を親子連れのイノシシが歩いていたりします。灘区の風物詩のようなものでしょうか。
母校・県立御影高校の魅力を更に高めたい
―母校の県立御影高校同窓会「清明会」の会長もされているそうです。母校はどんな学校ですか。
萩原 生徒たちがのびのびしている雰囲気の学校です。一昨年、70周年記念式典を開催しました。第二部の記念公演では音楽や芸術などで頑張っている生徒たちが参加して、演奏やダンスなどを披露しました。子供たちの手づくり感いっぱいで、楽しくてとてもいい式典になりました。御影高校はJR、阪神、阪急からのアクセスも良く、進学実績もかなり良いのですが、唯一クーラーが無い。再来年から兵庫県内の校区編成が変わる予定で、受験生の選択範囲が広がります。受験生にとってクーラーも選択の条件の一つ。それをしのぐような魅力を作っていかなくてはいけないと考えているところです。
―同窓会も毎年開催しているのですか。
萩原 今年6月で第10回目を迎えたホームカミングデーは、第三高等女学校、高等学校、定時制も含め毎年順に8から9回生を招待して開催しています。同窓生で市長の矢田さんにもプライベートで毎年参加いただいています。
―最後に、コーヒーはもちろんですが、萩原珈琲のこの時期のお勧めを教えて下さい。
萩原 本当にコーヒーが好きなお客様にはこの時期でも変わらずコーヒーを召し上がっていただいています。夏だから特にというのであれば、アイスコーヒーやコーヒーゼリーでしょうか。自社コーヒーを製造業者に委託して作っているもので、直営店で提供しています。中でも北野店のコーヒーゼリーにアイスクリームと小倉あんを添えたものは特に好評のようです。
―これからも美味しいコーヒーと神戸のためにご尽力ください。本日はありがとうございました。
萩原 孝治郎(はぎはら こうじろう)
萩原珈琲株式会社 代表取締役社長
1976年、関西大学経済学部経済学科卒業。1978年3月まで石光商事株式会社東京支店、コーヒ開発課に勤務。1978年4月より萩原珈琲株式会社に入社。取締役企画部長、専務取締役を経て、1997年代表取締役社長に就任。兵庫県コーヒー商工組合理事長ほか、コーヒー業界の多くの組合・委員会の理事を務める。