2月号
キリン一番搾り 25年目のリニューアル
キリンビールマーケティング株式会社 神戸支社長 尾﨑 秀雄さん
近畿圏流通第三支社 支社長 瀬戸 明さん
キリンビール株式会社 神戸工場 醸造エネルギー担当部長 野口 勝弘さん
25年目を迎えたキリンのロングセラー「一番搾り」が更においしくリニューアルします。どんなビールに仕上がったのでしょうか…。
スッキリ、なおかつ際だつ旨み
―新しい「一番搾り」の特徴は。
野口 一番搾りが持つ麦の旨みをより際立たせようと一番搾り製法を更にブラッシュアップしておいしさを前面に押し出しました。
―飲む人の嗜好の変化にも合わせてのリニューアルですか。
野口 そうですね。お客さまが好まれるビールが、今はどちらかというとスッキリしたタイプに変わってきています。スッキリさせて、なおかつ旨みを前面に押し出す。スッキリと旨みを両立させる製法でリニューアルしました。
―香りも少し変わったそうですね。
野口 はい、ホップのフローラルな香りをより際立たせ、酵母が醸し出すフルーティーな香りも少し前面に押し出し、より一番搾りらしさを引き立てました。
―飲んで違いが分かるでしょうか…。
尾㟢 もちろん分かります! 特に飲み比べをしていただくとはっきり分かっていただけると思います。
瀬戸 旨みがあってスッキリしている。非常に難しいことなのですが、この製法でそれが実現したと自信を持って言えるものです。
―なぜ、今回リニューアルをしようと?
尾㟢 キリンビールのフラッグシップブランドは何か? 一番搾りなのか、ラガーなのか? お客様に分かりにくくなっていたので、まず、「2014年のキリンビールのフラッグシップブランドを一番搾りにしよう!」と決め、製法のブラッシュアップを図りました。
何杯でも飲める! 麦芽100%
―製造現場ではどんなご苦労がありましたが。
野口 一番搾りの特徴は、麦芽100%、そして独特の一番搾り製法です。麦芽100%ビールはドイツ語では「バイタートリンケン」、お客さまにとっては「飲み飽きない旨さ!」です。一番搾り製法では、自然に流れ出る最初の麦汁を使いますから麦芽本来の旨みを生かし、更に併せてスッキリした味わいも楽しんでいただけるビールに仕上げました。
開発段階では小さなプラントで作りレシピが完成しますが、工場では規模が非常に大きくなります。ご家庭で小さなお鍋で作っていたものを大きなお鍋で作ると同じ味にするのは難しいですね。それと同じように、いかに見本サンプルの味に合わせるかが苦労したところです。工場が稼働している24時間、ずっと技術者が張り付き、サンプルと全く同じ味に造りこみました。
―苦労しながら仕上げた「一番搾り」。飲んでみての感想は。
野口 工場では毎日、試飲していますが、非常に味わいがスッキリし、旨みが前面に出て更に良くなったというのが造り手としての感想です。
―パッケージも変わったそうですね。
野口 ややオレンジ色基調にして、「華やかさ」「高級感」「メリハリ」を強め、品質感、現代感を強化しました。
―新しい一番搾りのイメージキャラクターは。
瀬戸 昨年まで「淡麗グリーンラベル」に起用していた、幅広い方々に人気で最も時流感のある「嵐」さん、そして抜群の信頼感があり、大人に向けて発信力のある役所広司さんです。
一番搾りとお料理の相乗効果
―流通ではどのような戦略を進めていますか。
瀬戸 キリンビールを販売いただいている企業様と店舗担当者様に、まずはリニューアルした一番搾りの特徴を理解していただくところから始めています。店頭ではお客様が自由に選択して買っていかれますので、お客さまに認知していただく活動を進め、量販店の店頭で今月上旬から試飲サンプル缶をお配りする予定です。
野口 一番搾りを飲みながら食べるとお料理が更においしくなる、肉や魚を中心としたお料理の旨みとの相乗効果が期待できるビールです。
尾㟢 料飲店様から、「何杯でも飲める」という感想をいただき好評です。そこで、まず料飲店の集積地、三宮・元町をターゲットにして、3月には扱い率全国最高を目指します。約5千件ある料飲店の七割で一番搾りをお取り扱いいただく! あくまでも目標ですが…。バージョンアップした商品ですから、今までの一番搾りを知っておられるお客さまにはきっと分かっていただけると思います。
―一番搾りリニューアルに合わせてキリンビアパーク神戸も一部リニューアルするそうですね。
野口 一番搾り生ビールを体感していただこうと、見学者コースをリニューアルします。2月10日まで休館し、11日からオープン予定です。新設する「一番搾りコックピット」に入ると、仕込釜を横に見ながら併せて一番搾り製法を映像でご覧いただきます。更に実際に麦芽やホップに触れたり、麦汁を試飲していただくこともできます。五感を駆使してお客様に感じていただこうと色々な工夫を凝らしました。もちろんレストランでも、出来立ての一番搾りを楽しんでいただけます。
県内唯一の大規模ビール工場を持つキリンビール
―キリンビールは兵庫県とのつながりも強いのですが、具体的には。
尾㟢 兵庫県の認証食品を広めるためのキャンペーンを展開しています。更に、認証食品を使ったオリジナルカクテルを作ります。昨年は1月に二郎いちご、3月にトマト、5月に小松菜を使ったカクテルを発表して好評いただきました。今年は地域限定のカクテル「兵庫ご当地リッキー」を開発する予定です。姫路、三宮、尼崎、西宮、有馬、和田岬の5つの地域の産品を使ったリッキーです。三宮の料飲店100店が集まる地域バル「神戸ディッシュウィーク」が今年も開催されます。JA兵庫六甲さんとキリンビールが協賛して、県産品を使ったメニューの開発に取り組みます。
―交通安全運動にも協力されているそうですね。
尾㟢 県内はまだまだ飲酒運転が多い状況です。そこで兵庫県警と連携してハンドルキーパー運動を進めています。グループで飲食店などに行く場合、お酒を飲まない人「ハンドルキーパー」を決めようというもので、アルコール0.00%「キリンフリー」を配布しながら飲酒運転根絶を訴えます。これは今後も継続して行うことが重要だと考えています。
―2014年のキリンビールは。
尾㟢 キリンビールは兵庫県内に大規模工場を持つ唯一のビールメーカーです。今年のフラッグシップブランド「一番搾り」で県内を埋め尽くすというのが大きな目標です。そして、キリンビールマーケティングは、その設立の目的である地域密着型営業を更に進め、兵庫県の県産品を広めることはもちろん、〝「飲」と「食」〟を通して兵庫県のお客様の幸せに貢献することを目指していきたいと考えています。
―新しい「一番搾り」と美味しい地元の食材を楽しみにしています。
尾﨑 秀雄(おざき ひでお)
キリンビールマーケティング株式会社 神戸支社長
野口 勝弘(のぐち かつひろ)
キリンビール株式会社 神戸工場
醸造エネルギー担当部長
瀬戸 明(せと あきら)
キリンビールマーケティング株式会社
近畿圏流通第三支社 支社長