2015年
5月号
5月号
神戸の粋な店 ciccia チッチャ
「神戸のイタリアン」を追求
日本料理でも関西と九州では全く異なるように、イタリア料理もトスカーナの料理とピエモンテの料理は違う。シェフの青木さんはイタリアの各地を巡り、ミシュランの星が輝く11の店で腕を磨いた実力派。そこで学んだのは、地元の人の郷土料理への愛情と、それを時代に合った料理へと昇華させる、シェフたちの思想とセンスだった。
故郷の神戸に戻り店を開いて間もなく3年。カウンター中心でカジュアルな雰囲気だが、料理は完成度の高いものばかり。本場で学んださまざまなイタリア各地の郷土料理の手法をベースに、神戸っ子の口に合う「神戸のイタリアン」を追求。淡路の穴子や丹波の野菜など、生産者たちとのコミュニケーションを育みながらより良い素材を求め、その滋味を引き出している。
それを可能にするのは、丁寧な仕事だ。イタリアというと大雑把というイメージだが、真逆。トマトソースは、数種類のトマトを使用して、仕込む手の込みよう。細工の包丁を惜しまず、パスタやパンまで自家製、ワインごとにグラスの形状も変える。常連客は、その日お薦めの食材を使用したコース料理を注文する方が多いとか。
「手を抜けない性分」と青木さんは言うがそこには明確な意思があり、舌で味わう刹那のためにその何倍もの時を費やす。ゆえに、その味の記憶は永遠になる。
Volere e potere.(意思は力)
■ciccia(チッチャ)
神戸市中央区加納町3-11-2
奥田ビル1F
TEL:078-272-2662
営業:17:30~23:30
(L.O.22:30)
定休:日曜日、月1回不定休