5月号
学園都市に暮らす① 神戸的な美観の系譜を受け継ぐ
神戸を代表する文教エリア、学園都市の入口、神戸市営地下鉄西神山手線「学園都市」駅の駅前広場内で始動する「ブリリア神戸学園都市」プロジェクト。得難い立地条件にふさわしいコンセプトに裏打ちされた洗練されたデザインは、新たな学園都市の顔になるかもしれない。
学園都市は計画的にプランニングされ整備された街。ゆえに、街並みは整然と区画されている。区画にはゆとりがあり、街路樹も豊かで、大小の公園が点在し自然も豊か。中心部は電柱も地中化され、車道と歩道も分けられて、雑然とした感じがない。そんな整った景観ゆえ、プロジェクトはデザインを重視している。この街に、そして神戸にふさわしい美観を追求している。
目指したのは、時とともに輝きを増す普遍性。それを追い求めるとき、やはりベースとなったのは、この神戸の地で脈々と受け継がれてきた上質な雰囲気。神戸の歴史と伝統が色濃く残る、近代建築へのオマージュを込めて格調高い意匠をまとう。
ファサードは高級感あふれる洒脱な意匠で、フラッグシップにふさわしい。1階部分は西洋建築の基壇部のように、御影石の化粧張りをルスティカ(粗石積み)のようにあしらって重厚感を演出。2階以上の部分はコーニス(水平帯)の白のラインとマリオン(方立)のラインの組み合わせでスマートに。外壁は表情豊かなタイルが彩り、クラシカルで温もりのある印象になっている。さらにガラス手摺はセピアカラーを採用するなど、絶妙のカラーリングが全体に統一感をプラスしている。
訪ねる人を迎えるエントランスホールもまた、トラディショナルな様式美に満ちている。天井が高く開放的な空間にはクラシカルな趣のある照明を設け、自然素材とアイアン素材の組み合わせが品格を語る。天井のモールディング(繰型)や床の格子デザインなど、神戸らしい洋風の住文化が育んできた伝統を礎としている。
普遍的だからこそ、時を経るごとに味わいを増し、永く愛することができるだろう。