9月号
連載コラム 「第二のプレイボール」Vol.7
文・写真/岡力<コラムニスト>
引退後にさまざまな世界で活躍している元プロ野球選手が経営する、阪神間の店舗・施設等をご紹介します。
Vol.7 「伝説のV戦士 元阪神タイガース 工藤一彦さん」
1985年、阪神タイガースが球団史上初となる日本一を達成した。関西が一丸となり勝利に酔いしれ、六甲おろしを大合唱したあの頃にかえりたい・・・
元阪神タイガース投手・工藤一彦さんは、青森県の出身。幼少期に茨城県へ移りソフトボールを始める。中学時代は、野球部に所属していたが人並み外れた身体能力が評価され陸上競技大会にも出場。数々の記録を樹立し注目を集める。「暁の超特急」と呼ばれた陸上界のスター吉岡隆徳も目を細める逸材だった。最終的には、父親の勧めで野球を選択し地元の強豪・土浦日本大学高等学校に進学。高3時には、春夏連続で甲子園に出場し定岡正二・土屋正勝・永川英植と共に「高校四天王」と呼ばれた。1974年、阪神タイガースにドラフト2位で指名され入団。82、83年には、2年連続二桁勝利を記録、オールスターにも出場した。そして、忘れもしない1985年4月17日。対巨人戦で先発した工藤さんは、7回を3失点で抑え味方の援護をまった。迎えた裏の攻撃、バース・掛布・岡田による伝説のバックスクリーン3連発が起きた…「初勝利も巨人からだった。当時、ジャイアンツ相手の登板は、勝てる確率が低くなる事を意味した。ただ、伝統の一戦で投げると全国的に注目されるので気合が入った。おかげで歴史的な瞬間に立ち会えた」。現役引退後は、スポーツ解説者として活躍。傍ら、2012年に甲子園球場から徒歩すぐの場所でBAR「elephant26」を開業した。「入団当初は、熱狂的な阪神ファンに戸惑った。慣れるまでしばらく時間がかかったよ」と微笑む工藤さん。今尚、聖地を見守るV戦士の姿がそこにあった。
■elephant 26
西宮市甲子園八番町
2-5プロシード甲子園3F
電話 0798-45-5767