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WEB版 エンタメ情報|岩崎宏美50周年・岩崎良美45周年
岩崎宏美・岩崎良美ファンタスティックオーケストラコンサート
歌手 岩崎宏美さん
11月22日に『岩崎宏美・岩崎良美 ファンタスティックオーケストラコンサート』(兵庫県立芸術文化センター)を控えた岩崎宏美さんに話をうかがった。
デビュー50周年を迎えた岩崎さん。「いったい何歳なの?って思うでしょ。デビューしたのが16歳。若かったんですよ」と笑いながら、話し始めてくれた。
■50周年を迎えて
Q.デビュー時は高校生だったのですね。
昭和50年、高校2年生でした。同期が太田裕美さん、片平なぎささん、細川たかしさん。細川さんは年齢は上ですけれど。高2の岩崎宏美は、この年齢まで歌手を続けられるとは思ってもいませんでした(笑)
Q.歌詞は、当時の年齢では難しく感じたのでは?
そうですね。作曲は筒美京平先生、歌詞はほとんどが阿久悠先生でした。若いときから、いい歌を歌わせていただきました。
当時、人生経験を積んだ今ほどは、歌詞の意味を理解できていなかったけれど、若いなりに言葉を伝えようと努力はしてきたつもりです。
声の話をすると、今も変わらず同じ譜面を使っているのですが、歌えば歌うほどファルセットも出るようになり、低い音も出るようになってきました。若い頃より音域が広がっています。歌詞の意味も十分理解できる年齢になって、今は楽しみながら歌うことができているので幸せです。
Q.『聖母たちのララバイ』。マドンナは現在の岩崎さんのイメージです。
若い私にあんな難しい曲をよく歌わせてくれましたね。「戦士」も「戦場」も当時の私は本当の意味では理解できていませんでした。
歌をいただいてから1年半くらい経って、エジプト・ギザの砂漠で歌う機会をいただきました。現地に到着すると、ピラミッドに見たことないくらいの光があたっていて、そのピラミッドとスフィンクスの前にステージが用意されていて、「ここには神様がいる!」と思いました。それまで腹痛で寝込んでいたのに、痛みが一瞬で消え去っていました。
現地で暮らす、水筒を斜めがけした子どもたちや、私をここまで連れてきてくださった方、迎えてくださった方、いろんなお客様の前で歌いながら、「生きている人は皆、戦士なんだ」「人が生きる場所はどこも戦場なんだ」と教えられました。
あれから、日本に大きな災害があったり、世界のどこかで大きな傷を負っていたり。その度に、この大きな歌をいただいたのは「みんなを元気にしなさい」という使命だと…。使命感をもって歌っています。
■ミュージカル『レ・ミゼラブル』に出演
Q.今年はミュージカル『レ・ミゼラブル』の来日公演が大盛況でした。日本版の初演(1987年)ではファンティーヌ役で出演していましたね。
世界中でずっと変わらず人気がありますね。オーディションを受けて射止めた役だったので、思い出深い作品です。ローラ アシュレイの薄いブルーにピンクの花柄のお衣裳が素敵でね…。あれから、ローラ アシュレイが好きになって家具を買って、今も大切にしています。
レミゼは、出演者がジャン・バルジャンとジャベール以外は一役以上。ファンティーヌは途中で亡くなってしまいますが、その後は、顔を汚して、少年役でバリケードの前に立ちます。どの国の公演も同じで、コゼットもティナルディエもそう、ずっと舞台に立ち続けています。機会があったら探してみてください(笑)
Q.ファンティーヌが歌う『夢やぶれて』は多くのアーティストが歌っています。
レミゼを代表する1曲です。日本語訳は岩谷時子さん。自分の中であんなに悲しい歌はない…。そして音域が広くて、とっても難しい、手強い曲です。
2回目の出演時(1997〜2000年)は、長男を出産した後でした。ファンティーヌには子どもがいて愛情深く、けれど薄幸の女性。自分も母親になってみると、演じるのが苦しくて。でも自分でも驚くほど、 初演では歌えなかった感情を表現できた。 自分の経験を歌で表現できることを知った瞬間でした。
この曲を最初に聴いたのは、作曲者シェーンベルクの歌声でした。「こんな歌だよ」とフランス語で歌ってくれたとき、「なんて美しく流れるんだろう」と心に突き刺さって…。それから、ずっとあの日の彼のように歌いたいと思い続けています。
■オーケストラと歌うこと
Q.この秋のコンサートは、オーケストラとの共演ですね。
例年のファンタスティックコンサートはバンドが中心ですが、今回は更に大人数の演奏家の方々とご一緒します。指揮者の柳澤寿男さんは何度かご一緒していて、とても信頼していますし、“ みんなで音楽を作る ”って素晴らしいことですから、本当に楽しみです。
Q.一緒に舞台に立つ妹の岩崎良美さんとは、どんなお話を?
とにかく、「この機会に感謝だね」って話しています。一緒に歌うことに何の不安もない。子どもの頃から姉も入れて3人で本当によく歌っていましたから。スリー・ディグリーズとかね。お互いをよくわかっています。“ 歌うことが楽しい ”と思えるところも、子どもの頃から変わらず姉妹そろって同じです。
Q.楽しむことを大切にしているのですね。
それと、言葉を伝えること。それは歌手の役目でもありますから。
子どもがお腹にいた時、クラシックの名曲に岩谷時子さんが言葉を入れてくださって、アルバム『誕生〜birth〜』を作りました。レミゼの訳詞をされた方で、母の気持ちも、娘の気持ちも、恋する気持ちもお書きになる、素敵な女性でした。美しい日本語で綴られる詞を歌うことは、私にとって祈りだと感じています。そして、歌は言霊だと信じています。
兵庫公演、楽しみにしています。
text.田中奈都子

【 公演情報 】
岩崎宏美50周年・岩崎良美45周年
岩崎宏美・岩崎良美
ファンタスティックオーケストラコンサート
兵庫公演
日時:2025年11月22日(土) 14:00開演
会場:兵庫県立芸術文化センターKOBELCO 大ホール
出演:岩崎宏美 岩崎良美
指揮:柳澤寿男
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
詳しくはコチラ https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/11278
岩崎宏美オフィシャルサイト https://www.three-g-company.co.jp/












