11月号

ひょうご神戸まちかど学だより|『文化と風土の歴史学』|兵庫県芸術文化協会
兵庫県芸術文化協会では、世界の風土と地域文化を学びふるさと意識を高めるべく、2015年より園田学園大学名誉教授の歴史学者、田辺眞人先生を招聘した歴史講座をスタート、2022年より「風土と文化の歴史学」と題し、世界を見つめつつ地域の文化について考える内容となっている。
2025年度のレクチャーは9月18日、10月9日、11月20日の日程で、新長田駅前のピフレホールで開講。その第2回、10月9日は「アフラシア(旧)世界の一体化」をテーマに、「世界」がどのように認識されてきたかを時代を追いながら田辺先生が解説した。
まずは「世界」という言葉の語源や意味、「earth」と「globe」のニュアンスの違い、中華思想や古代中国の春秋・戦国時代についてなど前回のおさらいからスタートし、お話は2000年前の「世界」へ。
中国大陸では漢(後漢)が1世紀の終わり頃に辺境まで完全に抑え、その西端を治めた西域都護の班超がさらに西にも人が住んでいるようだと部下の甘英を西方に派遣、パルティア(古代イラン王朝)やシリアの存在を知る。その頃、ローマ帝国は五賢帝の時代で、マルクス・アウレリウス・アントニヌスが後漢に使者を送り、「ここに、『世界』が繋がったのです」と田辺先生。ヨーロッパとアジアとアフリカが1つとなり、かつての概念でのアフラシアが「世界」となった。いまから2000年前に西洋と東洋で人々の交流があったことに聴衆たちはロマンを感じたことだろう。
次の「世界」の転機は現在から約500年前。トルコ帝国がアフラシアの結節点に成立した。これはヨーロッパにとって大きなインパクトで、トルコ民族がイスラムの指導者となったことでキリスト教と対立するようになり、聖地エルサレム奪還のためたびたび十字軍が派遣されたが成果がなくローマ教皇の権威が失墜、宗教革命に結びついた。また、十字軍に従軍した騎士たちは現地で古代ギリシャ・ローマの芸術や思想に出会い、このことがルネサンスに繋がった。
そして東洋から絹、宝石、胡椒が入るルートが遮断されたためトルコを経由しないルートの開拓を進め、コロンブス、アメリゴ・ベスプッチ、ヴァスコ・ダ・ガマ、マゼランらが活躍した大航海時代が幕を開ける。これによりアフラシアの外へと「世界」が拡大し、話がより面白くなってきたところで残念ながらお時間、続きは次回「グローバル世界の成立」で披露するそうだ。巨視的な観点から世界史を学ぶ得難い機会となった今回のレクチャー、最後は田辺先生に温かい拍手が贈られた。

地図を板書しながら地理的視点を交え歴史を解説する田辺先生

お話は田辺先生自身の旅の経験も交えながらわかりやすく

聴衆は、しばし2000年前の時代へタイムスリップ

現代の国際社会を考える上でも大きな示唆となる内容だった
神戸大空襲80年~次世代への記憶の継承~
日時・内容 11月29日(土) 一般参加歓迎
13:30~14:00 レクチャー
田辺眞人(園田学園大学名誉教授)「80年前の神戸と大空襲」
14:10~14:55 レクチャー
竹内早希子(ノンフィクション作家)「著書『命のうた』取材背景~戦争と児童文学~」
15:00~15:40 鼎談「戦争の記憶と伝承」
竹内早希子×田辺眞人×馬場敦子(神戸空襲を記録する会)
会 場 神戸市教育会館(地下鉄県庁前下車徒歩約4分、JR・阪神元町駅下車徒歩約10分)
参加費 1,000円(要予約)
申込・問合せ 神戸新聞カルチャー TEL・078-265-1100
http://k-cc.jp/
歴史家 田辺眞人のミニレクチャー
YouTube、TiK Tok 登録・フォローよろしく
YouTubeはこちら
Tik Tokはこちら












