8月号

ひょうご神戸まちかど学だより|「防災の講演と応急処置実演の集い」|東灘区の宮地病院アネックスM
6月21日、東灘区の宮地病院の新施設、アネックスMの多目的ホールで、阪神・淡路大震災から30年の節目に減災や防災について考えるイベント「防災の講演と応急処置実演の集い」が開催された。
まずは宮地病院の宮地千尋理事長があいさつ。この催しがホールのこけら落としであると紹介しつつ、宮地病院が30年前の震災で建物が倒壊し当直の看護師1名が犠牲になったこと、被害の大きさに廃院も考えたが地元の人の励ましや要望に応えて再建されたことなどを振り返り、「震災の記憶や教訓を継承することが大切です」と語った。
その意向を受け、「歴史の中の神戸の震災から︱経験から学ぶ防災の知恵︱」と題し、兵庫津ミュージアム名誉館長の田辺眞人先生が講演。まず「私たちは未来に向かって生きているから、本当は過去なんか忘れた方が良いんですよ。でも我々は未来を知る術がなく、経験から予測するしかない。そして歴史とは、社会の経験なのです」と歴史を学ぶことの意義を伝えた。
その上で、歴史という視点から過去の災害を紹介。奈良時代の史実を記した『続日本紀』には天平6年(734)に「畿内七道諸国地大ニ震フ」、その直後に何度か「摂津国地震フ」という記録があると解説。また『平家物語』や『方丈記』には1185年の大地震の様子が記されおり、「我々が体験したようなことと同じ事が書いてあるんです」と田辺先生。さらに『言経卿記』や須磨寺の『当山歴代』といった文献から1596年の大地震について、兵庫で火災が発生し死者多数という記録を示し、これは大河がなく川が急流である神戸の地震災害の特徴だと解説した。
そしてこれらの地震、さらに阪神・淡路大震災がほぼ400年間隔で発生した可能性を指摘。「自然の動きはちっぽけな人間が予測できるものではなく、完全な防災は難しい。しかし歴史や経験に学び備えることで、減災はできるんです」と力説した。
講演後には宮地理事長が田辺先生に花束を贈呈。会場は温かな拍手に包まれた。その後、宮地病院の看護師により応急処置の実演がおこなわれ、参加者たちはAEDの使い方などを実践。また、会場には30年前の震災時の写真の掲示や防災備品の展示・販売もおこなわれ、参加者たちはいつ襲ってくるかわからない災害へ備えようと気持ちを新たにしたようだった。

田辺先生は阪神・淡路大震災のみならず、阪神大水害や神戸空襲についても語った

病院や街の被災と復興を振り返る宮地理事長

今回の催しが宮地病院アネックスM多目的ホールのこけら落としとなった

講演後には看護師が心肺蘇生法を実演

阪神・淡路大震災当時の写真も掲示。
宮地病院は被害が大きかった
兵庫県阪神シニアカレッジ
オープンキャンパス&学長文学歴史サロン
・開催日 8月31日(日)
・会 場 兵庫県阪神シニアカレッジ(宝塚市東洋町2-5)宝塚市役所南隣
阪急今津線「逆瀬川」下車徒歩約15分、阪急バス「宝塚市役所前」下車徒歩約5分
オープンキャンパス 11:00~16:00 館内自由見学、入学相談随時/
13:00~13:15 カレッジ紹介
学長文学歴史サロン 13:30~16:30 (受付12:30~)
・参加費 1,000円 定員 150名(申込先着順)
・内 容 講演:「瀬戸内海航路と兵庫津」 学長 田辺眞人
落語:「兵庫船」 桂阿か枝 対談:田辺眞人 × 桂阿か枝
申込・問合せ 阪神シニアカレッジ TEL.0797-26-8001
歴史家 田辺眞人のミニレクチャー
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