2022年
12月号
12月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|畳編|Vol.4
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
い草の栽培~植え付けと管理
今回も畳表の材料となるい草の栽培について、日本最大の産地の熊本県を例にお伝えします。
畑の苗床~水田の苗床で育苗された苗は、11月から12月にかけていよいよ本田に植え付けられます。水田の苗床から掘り起こした直径が10㎝くらいの親株を、選別しつつ7~8本(品種によっては12~15本)に手作業で株分けして、それをすぐに植え付けます。一部の苗はそのまま水田の苗床に残し、12月後半~翌年1月に畑の苗床に移植して次作の苗とします。
本田は植え付け前に耕起、元肥の施肥、代掻きといった準備がなされます。植え付けは機械または手作業で。稲より広めの株間で等間隔に植え付けることが、まっすぐに育てるポイントです。植付機はよくある田植機と似ていますが、仕様が稲作用と異なり、高価です。中には稲と兼用できるものもあります。
その後は収穫まで水の調節、追肥、除草など適宜管理しつつ、並行してい草ならではの作業もおこなわれます。
その1つが、5月上旬におこなわれる先刈りです。株元から約45㎝の高さに先端を刈り払うことで根元まで日光が当たるようになります。また、ストレスを与え養分の転流を促すことで新芽の発芽が促され、この新芽が長く高品質のい草になります。
さらに、同時期に水田全体に倒伏防止のための網を張る作業もおこなわれます。い草が伸びて倒れやすくなるので、この作業は不可欠です。
気温の上昇とともにい草はぐんぐんと成長し、6月半ばから収穫の時期を迎えます。
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