5月号
企業主導型保育園 「マーメイド保育園」 今春、オープン!
「赤ちゃんとママがすこやかに過ごせる “ホッ”とスペースに」
株式会社オフィスマーメイド 代表取締役 谷口享子さん
ブライダルなど司会業の会社を興し、約25年。「神戸を、愛にあふれるウエディングの街に」と奔走してきた㈱オフィスマーメイドの谷口享子さん。
4月にオープンする「マーメイド保育園」について、熱い思いを伺った。
「企業主導型保育園」で、子どもの近くで働く安心感を。
─いよいよ4月に念願の保育園がオープンしますね。
はい。JR三ノ宮駅から徒歩3分のところです。場所を尋ねられたら、「JR山側のにしむら珈琲店から1分です」とお答えするようにしています。神戸の方にはわかりやすいですよね(笑)。
─「駅近」で便利な場所ですね。送り迎えがラクそうです。
働くお母さんたちって、ほんとに1分刻みの世界で生きておられるじゃないですか。朝仕事に行く途中でお子さんを預けて、すぐに仕事場へ直行する。そして、仕事が終わったら超特急で我が子のもとにとんで帰ってくるんですから。
三宮で働いておられる方はもちろん、三宮を経由される方は駅で降りてお子さんを預けて、すぐまた電車に飛び乗れる。毎日の送り迎えの時間を短縮することで、時間を有効に使っていただきたくて。それに、職場の近くだと何かあったときすぐにお子さんの様子を見に行ける安心感もありますよね。
住んでいる地域に縛られずに選ぶことができる「企業主導型保育所」の良さはそこにあると思います。
─「企業指導型保育所」は、待機児童解消のために内閣府が始めた事業ですね。どのくらい周知されているのでしょう。
残念ながら、まだよくは知られていないように思います。神戸でも、いざ働きたくて役所に相談に行っても、認可保育園はいっぱいで「働きたくても働けない!」となってしまいます。また、家の近くの第1希望、第2希望の保育園は入れなくて、送り迎えが大変、ということもあるようです。パート勤務などで1日数時間とか週4日程度の短時間勤務だと認可保育園は希望が通りにくいですよね…その点「企業主導型保育所」なら入園できるメリットもありますね。
─働きたくて困っている方にぜひ利用してもらいたいですね。
「企業主導型保育所」は、分類すると「認可外」の括りになってしまうので、「費用面で割高なのでは?」と敬遠される方もおられるんです。でも国から運営費や設備費等を受けられるので、利用者側の所得によっては認可保育所よりかなり安い保育料で利用していただけるんですよ。託児環境の質のことを心配される声もありますが、内閣府の基準もかなり厳しく、それをクリアしていますので安心ですよ。
「神戸の街を元気にしてほしい」恩人の言葉を胸に。
─長年、ブライダルや司会業のお仕事をされてきた谷口さんが、保育園を始められると聞いて、驚きました。
そうですね。「オフィスマーメイド」は、ブライダルを中心とした司会者の仲間たちで作った会社です。33歳の時でした。さぁがんばるぞーと思った矢先に、妊娠が発覚。仕事仲間も後押ししてくれ、息子が6か月のときに司会者として復帰しました。その2か月後に、阪神・淡路大震災が起こったんです。息子は保育園に預けましたが、仕事は開店休業状態。困っていた時期に多くの先輩方に助けていただきました。なかでも長田高校の先輩、故・宮崎辰雄(元・神戸市長)さんには、特にお世話になりました。亡くなられる前、私にできる事はありますかと聞くと、「君が僕にできる事はもう何もないよ」とおっしゃって、「神戸の街がもっと元気になる力になってほしい」「後輩の面倒を見てあげられる人になってほしい」と言われたのです。
─そんな想いもおありになって、「神戸ウエディング会議」を立ち上げられたのですね。
はい。神戸で1組のカップルが結婚式を挙げると、そこにはふたりに関わる大勢の人がやってくる、と思いました。ウエディングというイベントには、美容・衣裳・飲食…様々な業種の人たちが関わっていて、街の活性化につながる、と。そこで、ブライダル関係だけでなく、神戸の街を元気にしたいと思う方たちとともに、神戸を盛り上げようと活動してきました。
今回、保育園事業をスタートさせたのも、保育園は、神戸の活性化に必要だと思ったからです。神戸が働く場所として選ばれるようになれば保育園が必要です。多様な働き方に対応する保育園ができて安心して神戸で働く人たちが増えることで、それが神戸の街の元気につながると思っています。
─特に「保育園」と思われたきっかけは、なんですか。
20年位前でしたか、当時の息子と同じ歳頃の、小学1年生の男の子が両親の虐待にあって殺されたという記事を読んだんです。「世の中には、死なない程度に大変な目にあわされて生きている子がどんなにいるんだろう」と考えたら、涙が止まらなくてその日は夜も眠れませんでした。
その頃から少しずつ、子どもも親もすこやかに、子育てできる居場所づくり、「駆け込み寺」みたいなところをつくりたいという思いが強くなっていたんです。
─子どもたちを取り巻く環境は、悪くなっていますね。
お子さんを一時的に保護するだけでは、問題は解決しません。同時に親御さんの心のケアがすごく大事だと思っています。
北区で、「小さないのちのドア」という活動を始められている永原郁子先生という方がおられて、望まれない妊娠をして一人で途方に暮れているお母さんたちや、赤ちゃんを産んで育てられない、と困っているお母さんたちのサポートをされています。新しい保育園は、この活動を応援し、「小さないのちのドア」の出先機関のような存在になれればとも思っています。そのような状況でなくても、日々悩みながら子育てしているお母さんたちはたくさんおられるでしょう。園には、保育歴50年の園長をはじめ、ベテランの保育士が揃っていますので、子育ての不安なども気軽に相談していただきたいです。
カフェ&ワークスペースを併設し、働くお母さんの力に。
─いろんな方とつながる、いい保育園になりそうですね。“赤ちゃんとママ、両方に優しく”というお考えがうれしいです。
例えば、赤ちゃんが口にする給食も、素材にこだわり、できるだけ添加物の少ないものやオーガニック、無農薬のもので、兵庫県産・神戸産の食材をとりいれながら栄養面をしっかり管理して行います。定期的に音楽家を招いて、本物の音楽や楽器に赤ちゃんたちに触れてもらいたいと考えているんですよ。
─お母さんたちのためのスペースもあるとお伺いしました。
そうなんです。保育スペースは2階なのですが、1階はお母さんたちのための小さなカフェコーナーを設けています。仕事場に向かわれる前、ほんの一息コーヒーブレイクするだけで「仕事モード」への切り替えをしていただけるかな、と。ちょっとしたワーキングスペースもあるので、2階にお子さんを預けながらパソコンでお仕事することも可能ですよ。
─ご自身も「働く母」だった谷口さんならではの発想でうまれた保育園。これからが楽しみです。
いろんな子育てセミナーなんかも企画していますので、楽しみにしていてください。
企業主導型保育事業 マーメイド保育園
神戸市中央区琴ノ緒町5丁目4-13 TEL.078-414-8717
7時~20時 月曜日~日曜日(年末年始は休み)
http://www.office-mermaid.com/nursery/index.html