2月号
ほっこり灘酒気分
「灘酒」は硬水で仕込み、キリリと辛口の“男酒”。また冷えた北国のお酒よりも、温めて飲む燗酒にも向いているといわれます。温かくして飲むお酒は世界的に見ても珍しく、ぬる燗、熱燗など、お酒に合わせて燗をつける、おもてなしのお酒ともいえそうです。
ともあれ燗をつけた灘酒は、ほっこり身体も温まる、冬のお酒。
新酒の時期に、灘の酒蔵を訪ねました。
菊正宗酒造記念館
伝統的な酒造り資料館 日本酒の美肌化粧品も人気
江戸中期、徳川四代将軍家綱の時代に、神戸・御影の地で酒造りをはじめた菊正宗酒造。昔ながらの生酛(きもと)造りで、キレとコクのある“辛口の酒”ひとすじで作り続けてきた。
住吉川端にある酒造記念館は、そんな歴史ある菊正宗の伝統的な酒蔵をしのばせる。井戸や水車小屋のある庭、資料館には酒蔵で実際に使っていた古い酒造りの道具を展示。酒造りの杜氏たちの息遣いが聞こえるようだ。
売店では記念館限定の銘柄など、菊正宗厳選のお酒のほか、粕汁、塩糀、お菓子といった食品、日本酒由来の保湿成分で大人気の化粧品シリーズ、入浴料などがそろい、お酒が飲めない人でも楽しいスポットとなっている。
菊正宗酒造記念館
神戸市東灘区魚崎西町1-9-1
[営]9時30分~16時30分
[休]年末年始
入館無料
TEL.078-854-1029
http://www.kikumasamune.co.jp/
昔の酒蔵「沢の鶴資料館」
古い酒蔵そのものを資料館に貴重な展示の数々
実際に使用されていた伝統的な酒蔵をそのまま開放した「昔の酒蔵 沢の鶴資料館」。1978年にオープンしたものの、阪神・淡路大震災で全壊。その後、倒壊した建築部材を使って3年7ヶ月の歳月をかけ再建された。建物、館内の道具は兵庫県の重要有形民俗文化財に指定されている。
古い酒造りの道具はひとつひとつに詳しい説明がなされており、灘の酒が人の手や自然の力によってていねいに造られていることがわかる。館内には「酒造り唄」が流れ、かつての酒蔵にタイムスリップしたよう。
ミュージアムショップではしぼりたての原酒が試飲できるほか、オリジナル原酒や期間限定販売の酒粕なども。
昔の酒蔵「沢の鶴資料館」
TEL.078-882-7788
神戸市灘区大石南町1-29-1
[営]10:00~16:00
[休]水曜休館
入館無料(団体の場合要予約)
神戸酒心館
酒蔵から「酒文化」を発信
歴史ある清酒「福寿」製造元である神戸酒心館では、かつて使われていた酒蔵の建物を、ショップやギャラリー、料亭、多目的ホールとして開放。ショップ「東明蔵(とうみょうぐら)」では、酒匠による日本酒解説と試飲が楽しめるほか、ここでしか手に入らない蔵元限定のお酒はもちろん、酒器や食器、酒袋の雑貨、全国の珍味など、“和の暮らし”をテーマに商品が並ぶ。利き酒が楽しめるカウンターでは特製お菓子とお茶のセット(有料)等も用意されている。「酒心館ホール」では落語会やジャズライブ、クラシックコンサートなどが定期的に開かれているほか、展覧会やイベントなども行われる。桃の節句に合わせ、2月25日~3月3日には「雛人形展」が開催される。
神戸酒心館
神戸市東灘区御影塚町1-8-17
[営]10時~18時
[休]無休(正月3ヶ日は除く)
入館無料
078-841-1121
http://www.shushinkan.co.jp/