5月号
鎮魂と復興の願いを込めて「御影だんじり」パレード
第45回神戸まつりのオープニングに登場する、東灘区御影の「だんじり」。「東灘には全部で31台ものだんじりがあるということを全国に広めたい」と熱い思いを語る高嶋良平さんにお話をうかがいました。
結束の固い「祭りコミュニケーション」
―御影のだんじりの歴史はどのくらいでしょうか。
だんじりは主に西日本に広がるお祭りですが、御影のだんじりも江戸時代に発祥したといわれます。現在、御影には11の地区にだんじりがありますが、私が小学生の頃は、弓場、中之町、西之町、平野の4つの地区にしかなく、親父に「なんでうちの東明地区にはだんじりがないねん」と訴えたところ、「東明のだんじりは神戸の空襲で焼けてしまった」と言うんです。そこで私は大人になって会社(高嶋酒類食品)を継いだら、ぜひ東明のだんじり祭を復活させたいと決心しました。町の長老にかけあって、大阪にあった中古の地車(だんじり)を購入、神戸の型に改造しまして、昭和62年に東明でだんじりが復活しました。その後、他の地域でも神社に眠っていただんじりを再生させるなどして、どんどん祭りが復活していったのです。
20年前には、阪神・淡路大震災が起き、御影地区でも大きな被害がありましたが、だんじりのある地区は、より結束が固いなと感じましたね。自治会よりも祭りの結束の方が固かった。“祭りコミュニケーション”といいますか、ケンカもせえへんし、みんなで助け合って、町を復興させてきました。
―御影のだんじりの特色は。
だんじりというと岸和田のだんじりが有名ですね。曲がり角を直角に勢いよくまわる「やりまわし」が見どころです。一方で御影のだんじりは、やりまわしもしないですし、ゆっくりとひきまわす穏やかなものです。
だんじりの型も大阪とはちがい、まず車輪の部分は「外ごま」といわれ車が外側についているので安定が良い。ご祝儀をいただいた際に、だんじり前方を上に高く上げる動作も見どころです。大阪のだんじりは後方を上げますから、こちらも逆です。
また、だんじりの幕にほどこされた、金糸銀糸の豪華な刺繍と、泥台(屋台の足の部分)などの精巧な彫り物も、御影のだんじり祭の見どころのひとつです。御影の幕には、前方の幕には阿吽の龍、後方の幕には武者絵や地域の物語などが刺繍されています。勇壮な掛け声と、にぎやかなお囃子とともに、お楽しみください。
東灘区には31台のだんじりがある
―今回の神戸まつりパレードにはどんな思いがおありですか。
皆さんからのご支援の感謝の気持ちを込めて、阪神・淡路大震災から10年後の、平成17年の神戸まつりにも御影のだんじりが出場しパレードを行いました。今年は、震災から20年ということに加え、東日本大震災と広島の土砂災害の鎮魂と、復興をお祈りしようと、御影から4台のだんじりがパレードします。11時からのフラワーロードのパレードの後、午後3時頃には御影クラッセ前にも登場しますのでぜひご覧ください。
御影には11地区にだんじりがありますが、東灘区内全域ですと31台のだんじりがあるんです。これまで、平成天皇ご即位の年、皇太子殿下ご成婚の年に、31台のだんじりが山手幹線をパレードしました。また、平成12年の東灘区制50周年の際に31台がそろってパレード、それから10年後の区制60周年のときもそろってパレードを行いましたが、10年に一度といわず、31台一堂に会したお祭りを行いたいと私は思っています。できれば春は5月の例大祭がありますので、秋に31台そろってだんじりパレードをし、それが定番になったら良いなと。そうなれば、東灘全体の活性化につながるのではないかと思うのです。