5月号
兵庫高校ホームカミング・ディ
田辺眞人さん講演会
没後70年・島田叡沖縄県元知事のパネル展も
県立兵庫高校同窓会「武陽会」が主催するホームカミング・ディが、3月28日、兵庫高校で開催された。
今年から3月の春休み中に開催となったホームカミング・ディ。武陽会理事長の勝順一さん、現在の兵庫高校校長で卒業生の石井稔さんの開会あいさつの後、毎年在校生が行ってきた定期戦をなぞらえて、兵庫高校野球部OBと神戸高校野球部OBの試合がプレイボール。吹奏楽団OB、応援団OBも参加しての応援合戦となった。同窓会館「武陽・ゆ~かり館」では、エキストラコーヒーのカフェや、フロッグ西嶋さんの似顔絵パフォーマンスなどOBらによる企画も好評だった。
戦後70年にあたる本年は、旧制神戸二中のOBで、校内に鎮魂の碑(合掌の碑)が建てられている島田叡さんの没後70年にもあたり、会場では島田さんの功績や沖縄戦に関するパネル展「沖縄の島守よ、永遠に」も行われた。島田さんは1945年、米軍上陸直前の沖縄県に知事として赴任し、県民の疎開や食料の確保などの急務を遂行。空襲や艦砲射撃が激しくなる中、壕を転々としながらも県民の生命を守るために最後まで執務に当たった。武陽会では、OBである島田さんの功績を語り継ぐ会を、1972年より兵庫県とともに開催しているほか、有志による遺骨捜索も行ってきた。今年6月26日、島田知事の公式命日であるこの日に、沖縄県に顕彰碑が建立されることが決定しており、碑のデザインは兵庫高校にある「合掌の碑」と対になっていて兵庫県の方向を向いて建てられる予定。
特別講演は、やはり卒業生である田辺眞人さんが「兵庫の歴史から―会下山・湊川を考える」と題し講演。歴史学者の田辺さんは「子どもの頃は天体や生物の方に興味があった。けれど兵庫高校2年のときに世界史の中島武志先生の授業に夢中になり、3年で日本史の名生昭雄先生に出会ったことによって、歴史学を学ぶ道に進むことを決めました」と、兵庫高校での出会いがその後の人生を決定したことを告白。神戸の地名の中でもっとも古い文献に登場するのは「湊川」であることや、1868年の全国5都市の開港にあたり神戸が選ばれたのは、湊川が大きな役割を果たしたことなど、興味深い歴史のお話を披露。特に、兵庫高校のある「寺池町」という地名に関しては、「寺池という地名から、池を埋め立ててできた地であるということがわかります。以前イラクに行った際、ユーフラテス川の流域の埋立地に、土壌の水分を多く吸収する植物であるユーカリが植えられていた。(兵庫高校の校樹でもある)ユーカリがこの地に多くあるということは、埋め立てた池の水分を抜くためであったと、イラクで気づかされました」と話し、会場は大いに納得した。
最後は兵庫高校、県立第二神戸中学、県立第四神戸高等女学校の校歌を参加者全員で歌い、閉会した。ホームカミング・ディは今後も毎年一回開催される。