3月号

神戸の水の縁 灘五郷の日本酒×カセントの料理 最高級のペアリングが実現
阪神間の地形・地質・気候…様々な好条件が相まって形成されてきた日本を代表する酒どころ「灘五郷」。西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷という5つのエリアで造られる日本酒はしっかりとした味と香りで「男酒」と呼ばれる。その魅力を発信し、「神戸の食」との相乗効果で、海外から観光で日本を訪れるお客さんを魅了しようと今回モニターツアーを実施した。
こうして始まった「食楽酒」ツーリズム。企画・運営を担当したのは、神戸の水の魅力を発信し、宮水で造る灘五郷の酒のPRに携わる㈱ARIGATO‐CHANの坂野雅さん。カセントオーナーシェフの福本伸也さん、その料理の大ファンで建築家の常深大輔さん、剣菱酒造株式会社の白樫政孝さん、地質学者の巽好幸さんをはじめ、幅広い分野のプロからのバックアップを頂き、1月28日、坂野さんが運営する「灘五郷酒所」を主会場にしてモニターツアーが実施された。
「灘五郷の日本酒とカセントの料理とのペアリングをぜひ実現したい」。坂野さんの熱い想いに当初は戸惑った福本さんだが、「いつもと同じ料理をお出しするのでよければ」と新しい試みを快諾した。
当日は主に神戸在住の外国人と日本人計10人、いずれも食通が集まった。剣菱酒造の協力を頂き、普段は非公開の酒蔵を見学し、500年にわたって守られてきた伝統の酒造りについて解説を聞く。その後、灘五郷酒所で坂野さんの掛け声「灘五郷GO!」でふるまい酒を頂きながら、日本酒のこと、神様が宿る酒蔵のことなどを学んだら、50メートルの大カウンター席へ「GO!」。SAKEハイボールで乾杯。
巽先生のお話で地質学の観点から「神戸の水と食と酒」について学ぶ。観世流シテ方・上田宜照さんの謡「高砂」で邪気払いを終えたら、いよいよお食事がスタート。メニューは「アンチョビ、雲丹、トマト、キャビア、米…」。いつもと同じように素材だけが書かれた15品。神戸牛で取るブイヨンを使うスープは巽先生からのリクエストに応えた一品。お話を聞いて納得した「神戸の硬水と西洋料理」の関係を五感で体験した。
一品、一品に合う灘五郷の日本酒をセレクトしたのは、坂野さんの相棒として灘五郷酒所を運営する中野佳子さん。灘五郷の酒造メーカーでマーケターとして活躍した中野さんは日本酒のプロであり、料理とのペアリングのプロ。現在は同店でお酒に合うメニューを考案し、調理も担当している。ズラッと並ぶ灘五郷26の酒蔵の個性豊かな日本酒の中から、それぞれに最も合う一杯を提供した。日本酒と料理のペアリングを楽しみながら会食は進み、関わったスタッフ全員に拍手が送られ、全行程を終了した。
神戸の「食楽酒」ツーリズム。今後の展開への期待が膨らむ。

「食楽酒」ツーリズムの企画・運営の中心を担った
㈱ARIGATO‐CHANの坂野雅さん


「灘五郷GO!」

50メートルの大カウンター席に着きSAKEハイボールで乾杯!





「神戸の硬水と西洋料理」の関係を五感で体験

10名のモニター参加者の感想は「とても満足した」という声が多かった

