11月号
聴いてくれる人たちの笑顔のために 弾いている僕たちの笑顔のために|
Wヴァイオリン& ピアノ・アンサンブルユニット TSUKEMEN
Wヴァイオリン&ピアノによるアンサンブル・ユニット『TSUKEMEN』さんにお会いしました。メンバーはヴァイオリン担当TAIRIKさん、KENTAさん、ピアノ担当SUGURUさん。全員が音楽大学出身。クラシックを主に、映画音楽、ポップスと幅広いジャンルに加え、オリジナル曲も手掛けています。 『TSUKEMEN』と名付けたのは、TAIRIKさんのお父様でシンガーソングライターのさだまさしさん。その理由をイケメンじゃないからとお話しされているとのことですが、奏でる音楽と同じ、優しく穏やかなイケメン3人組です。
もうすぐ、デビュー15周年
Q.12月に15周年を迎えられます。変わらないところ、変わったところ、それぞれあると思いますがいかがですか。
KENTA どうしたらお客さんに楽しんでもらえるだろう、ということは変わらず考えていることで、今はそこに「僕たちも楽しみたい」が大きく入ってきています。
TAIRIK 音楽に向かう気持ちは、3人とも変わらないです。2年前に事務所を離れて、環境が変わったので、変化はしています。演奏だけでなく、全てが自分たちの責任になったので模索しながらの活動ですが、それが僕は楽しい。
SUGURU ステージに立つ時の緊張感は、これから先も変わらずにもっていなくちゃいけない部分。変わってきたのは、いい演奏プラスの “ 何か ”の部分。「コンサートの間、お客さんにはずっと笑っていてほしいね」って話してます。“ 笑いをとる ”って言う意味じゃなくね。
KENTA 笑いはとれない(笑)。難しい顔で聴いてほしくないし、難しい顔して弾きたくないよね。でも喋るのは難しい。2人が反応してくれるから話せるけど。信頼関係ができてるから…できてるよね?
SUGURU 15年一緒にいるから性格はわかってる。プレゼンの仕方は上手くなったよね。どんな言い方をしたら賛成してくれるか、僕は考えて話してます(笑)。
KENTA それぞれ得意な分野が見えてきたから、あるときから、任せるとか頼るとかができるようになったよね。結局、、僕は演奏ができれば幸せって思ってる。
SUGURU いい意味で変わったところばかり。
Q.クラシックの名曲をアレンジした『JITAN CLASSIC』が人気ですが、“時短” の発想はどこから?
TAIRIK クラシック音楽ってまだまだ名曲が眠ってるんです。人気のあるほんの一部の曲しか聴いていないと思う。でも、クラシックの曲は長くて、好きなメロディを聴くまでに何十分も聴いていなくちゃいけない。だから、僕たちがいいと思うメロディを繋げてみたんです。
CMだって時短でしょ。一部分、短時間でも曲の良さを伝える密度はある。
KENTA わかりやすく時短って言ってるけど、僕たちがやってるのは、“reborn”です。時短で終わらず、「いいな」と思うメロディがあったら、1曲まるまる聴いてみてほしい。クラシックに限らず、いろんなジャンルの音楽が出てきますよ。僕は映画『ラ・ラ・ランド』が好きなので、『ラ・ラ・カノン』が気に入っています。
TAIRIK 『トルコ天国地獄行進曲』は、知ってるメロディばかりで楽しいと思います。演奏してる僕らも楽しい。
KENTA クラシックは弾きごたえがあるんです。僕たちはクラシックの演奏家っぽく見えないかもしれないけれど(笑)、音楽を勉強してきたからこそできると思っています。演奏は全力でがんばってます。
実は…僕たちにも眠くなる曲はある
SUGURU クラシックが好きで勉強もしてきたけど、僕たちにも苦手な曲もあるし苦手な作曲家もいるんです。途中で眠くなる曲もある。
Q.それはびっくりです。眠くなるのは、自分に聴く耳がないからだと思っていました。
SUGURU 1曲の長さが普通に40分とかありますもん。勉強のために何でも聴くけど、好きかどうかは別の話。最初と最後だけが好きとかありますよ。例えばラフマニノフが好きでも、作品全部が好きなわけじゃない。ミスチルやサザンのファンと同じです。いくらファンでも全曲好きってわけではないと思う。
TAIRIK 僕は、昔からエリック・サティが苦手。聴いてると無気力になる気がする。魂を根こそぎもっていかれる感じ。サティって異常性があって、スティーブ・ジョブズ以上に同じ服ばっか着ていたらしいよ。ある時、苦手な理由を考えてたら『ジムノペティ』を口ずさんじゃってて、うわ~って怖くなった(笑)。癒しと思って聴く人もいれば、僕みたいな人もいる。それでいいんです(笑)。
KENTA 僕はE.H.グリーグが苦手。かっこいいし、勢いがあるんだけど、でもふと田舎っぽさを感じるところがあって、途中でアレッ?ってなる。
SUGURU 北欧の人だからかな、見える景色に色彩感がないかも。木があって山があって空があるからオーロラは美しいのに、オーロラだけを切り取って、キレイに見せようとしてくる。
KENTA そうだね。いいメロディーなのに、ゴリ押ししすぎる感じがする。あくまでも個人の感想です。作曲家は確かに偉大なんだけど、演奏する人によって曲は全然変わるよね。僕は、演奏家も同じように重要な仕事をしてると思ってる。苦手と思ってる曲でもいい表現をしていると好きになったりするでしょ。
TAIRIK そこは大事だよ。「このお米はモーツァルトを聴かせました」って聞くと、誰の演奏?ってなる(笑)。どこの管弦楽団かで、全然違うでしょ。栗原はるみさんの番組(NHKきょうの料理)に出演して思ったの。同じ材料を使ってるのに味が全然違うんだから(笑)。
『テレワークBGM』にこめた気持ちとこれから
Q.オリジナル曲を集めた『テレワークBGM~心に癒しと元気を~』。YouTube公式チャンネルから聴くことができますが、これはおすすめです。
SUGURU 外に出れない時期に、僕たちもなんとなく落ち込んだりイライラしていて。肩の力が抜けるような曲をみんなで選びました。それぞれがバラードを作っているので、曲に個性はあると思う。
KENTA 「なんか音楽がほしいな」と思った時に選んでもらえたらうれしいです。BGMなので気楽に。
Q.大阪での15周年記念のスペシャルコンサートについて一言。
KENTA プログラムがスペシャル。3人だけでは出せない舞台、エキサイティングな舞台になると思います。
TAIRIK 10周年もバンドに入ってもらっての新しい試みがありましたが、さらに5年経ってますから、15年の全てを詰め込みます。
SUGURU 全てを自分たちで企画しています。ちぎれるんじゃないかってくらい、絞り出します。…出し切った後どうなるんでしょうね。16年目も楽しみです。