8月号
KOBECCOオススメ 〜CINEMA〜
熟練の芸に魅せられて!浪曲師弟奮闘記
絶唱浪曲ストーリー
人生を変える出会いはそうあるものではない。芸の道を極めた港家小柳の浪曲に衝撃を受けて弟子入りした港家小そめ。彼女が2019年に名披露目興行の日を迎えるまでには、師匠との別れや、預かり弟子として導いてくれた現役最高齢の曲師(三味線奏者)、玉川祐子との二人三脚の日々があった。浪曲の常打ち小屋、木馬亭で曲師、沢村豊子とお互いの体調を気遣いながら立ち、声が出ないと舞台を降りた最晩年の小柳。小柳亡き後、小そめの独り立ちを支えるうちにどんどん輝きを増していった玉川祐子。芸の魅力だけでなく、その引き際や、家族のような師弟関係、そして観客も含めた浪曲コミュニティのあたたかさにも触れることができる。川上アチカ監督が8年かけて完成させた浪曲師弟奮闘記。心揺さぶる浪曲を、ぜひ劇場で!
text.江口由美
『絶唱浪曲ストーリー』
(2023年 日本 111分)
監督・撮影・編集・プロデューサー:川上アチカ
出演:港家小そめ、港家小柳、玉川祐子
沢村豊子、港家小ゆき、猫のあんちゃん
玉川奈々福、玉川太福
配給:東風
元町映画館にて8月5日(土)より2週間上映。
※8月11日(金・祝)上映後、
川上アチカ監督による舞台挨拶あり
上映スケジュールはコチラ▼
https://www.motoei.com/
© Passo Passo + Atiqa Kawakami
美術作品を“守る”仕事とは
わたしたちの国立西洋美術館
奇跡のコレクションの舞台裏
“舞台裏”という言葉はワクワクする。ル・コルビュジエ設計の世界遺産。前庭にあるロダンの『考える人』、所蔵する約6000点の中には、モネの『睡蓮』、ルノワール、ピカソ、ゴッホなど。誰もが知る傑作が揃う、絢爛な非日常の空間、国立西洋美術館の日常を見てみたいと思った。
映画の中では、鎮座する姿しか見ることのない美術作品が、移動し、修復される。普段見ることのできないその様子は、珍しくておもしろい。でもそれ以上に、そこで働く人たちの日常に惹かれた。学芸員の仕事は展覧会の企画、展示だけではない。研究、保存、修復…。各分野の専門家が日々作品を守り、また未来につなぐ。美術館の主役は作品。その静けさの中に人は見えないけれど、人がいるから作品はそこにある。舞台裏はおもしろい。
text.田中奈都子
『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』
(日本 105分 ドキュメンタリー DCP)
製作・監督・撮影・録音・編集:大墻敦
録音・照明:折笠慶輔
録音:梶浦竜司
カラーグレーディング:堀井威久麿
音楽:西田幸士郎
演奏:閑喜弦介(クラシックギター)
多久潤一朗(アルトフルート)
協力:国立西洋美術館
配給・宣伝:マジックアワー
シネ・リーブル神戸にて、8月11日(金)公開!
上映スケジュールはコチラ▼
https://ttcg.jp/cinelibre_kobe/
© 大墻敦