5月号
東遊園地リニューアルオープン
緑の芝生に充実の拠点施設
都心のアウトドアリビングに
神戸の都心、三宮エリアのオアシスとして親しまれている東遊園地が4月7日、リニューアルオープンした。
今回生まれ変わったのは東遊園地2.7haのうち、北側の1.9ha。「神戸を誇り、神戸への愛着が育つ場所」であるとともに、「都市を美しく彩り、新しい出会いと交流が生まれる遊園」という将来像を叶えるべく、これまで以上に訪ねやすく、過ごしやすくなっている。
より明るく開放的に
まず目を惹くのは、翠緑のカーペットのような美しい芝生ひろば。ピクニック気分を味わうもよし、のんびり寝そべるもよし、芝というクッションがあるので、子どもが思いきり駆けっこして転んでも、土のグランドよりケガをしにくいだろう。その芝生面積は以前よりだいたい1000㎡拡大し4000㎡ほど。大小2面あるが、これはどちらかでイベントなどが開催されていても、もう片方で普段通りくつろげるようにという配慮から。園地内には日除けシェードのあるベンチが設置されているが、ここにはミスト設備もあり、暑さをしのげるようになっている。
フラワーロードからの動線も改善され、自然と園内に引き込まれるような配置に。このエリア、みちひろばはフラワーロードの歩道と一体化したデザインで、これまでも親しまれてきたメタセコイアの並木を生かしつつ、植栽を工夫し以前よりも明るい印象に。引き続きファーマーズマーケットの会場としても使用される予定だ。また、噴水など水遊びができる親水施設もでき、夏には子どもたちの人気を集めるだろう。ベンチも多く、花壇の縁なども腰を掛けるのにちょうど良い高さで、散策やランニングの休息にも好適だ。
これまで木々が茂って鬱蒼としていた小高いエリアも改修され、明るい雰囲気に一新。見晴らしひろばと名付けられ、その名の通り公園を一望するパノラマを楽しめるように。ウッドデッキのテラスには、シンボリックな階段状のベンチのほかカウンター席なども設置され、休日はもちろん、ウィークデーのランチタイムにお弁当を広げるのも楽しそうだ。季節の花々が微笑むテラスガーデンにも心癒やされる。
芝生ひろばの西側には、旧居留地から出入りしやすいようにエントランスも改善された。東西の徒歩交通がよりスムーズになるとともに、公園を訪ねる人も多くなるだろう。その南側には旧居留地ガーデンもお目見え。憩いの場所には事欠かない。
カフェレストランもオープン
そして今回のリニューアルの目玉が、公園を活用したさまざまなアクティビティのハブ機能を備えたにぎわい拠点施設、「URBAN PICNIC」の登場だ。これは、その名の通り、2015年より東遊園地から神戸を良くしていくことを考え続け、公園のアウトドアリビング化を目指し活動してきた社会実験の結実と言えよう。
建物はタープをイメージした折り重なる屋根が印象的。開放的で、建物の中央に通路を設け東西の行き来もスムーズになっている。
正面左手にはラウンジがあり、ここを管理する一般社団法人リバブルシティイニシアティブによるさまざまなプログラムのほか、貸しスペースとしてイベントやセミナーにも活用できる。
右手にはカフェレストラン「WEEKEND」がオープン。神戸エリアの食材をふんだんに使ったイタリアン、自慢のスイーツ、お酒など一日中楽しめる。ドリンクや軽食のテイクアウトもOKなので、芝生やベンチでピクニック感覚で味わおう。ちなみに、みなとやま醸造所で醸されたクラフトビール、openairのサーバーもあるので、大空の麓、ここで究極の〝オープンエア〟をぜひ。公園にカフェができることで使い勝手が良くなるだけでなく、来訪のきっかけにもなる。
その隣のキッチンを備えたスタジオとテラスは、レンタルスペースとしても開放。公園でパーティーはいかがですか?
東側にはアウトドアライブラリーが。公園でページをめくれば、そこは爽快なリビング。蔵書は寄贈によるもので、寄贈者の想いがそこにとどまり、それが公園への愛着にも繋がっている。
神戸文化の発信拠点に
東遊園地は開港間もない1875年、内外人公園地として開園。日本初の西洋式運動公園でもあり、サッカーやラグビーを通じ外国人と日本人が交流した歴史がある。また、阪神・淡路大震災の記憶も刻んでいる。神戸の人々の笑顔と涙が染み込んだこの地は、神戸の象徴でもある。そんな東遊園地が都市公園制度の制定から150年の節目にリニューアルしたことは新しい都市公園のあり方を示すとともに、三宮再整備の観点からも重要な意味を持つ。
そして、URBAN PICNICができたことでサードプレイスとしても機能。園内のボランティアガーデンには神戸の緑化美化に関わりたい有志が集い、ガーデニングを学ぶ場にもなっている。多様な角度から来訪のモチベーションがプラスされ、さまざまな催しで人々が集うので、東遊園地は活動を通じて交流する〝つながり〟のコアにもなりそうだ。
絶好のロケーションを誇るこの場所で神戸の魅力的な文化を発信することが、街の価値を高めることに結びつくだろう。まずは一度足を運び、そして思い切り楽しもう!
神戸の暮らしをもっと楽しく!
URBAN PICNIC 8年の集大成がここに
三宮の中心と旧居留地ほか、磯上、ウォーターフロントエリアの結節点となる東遊園地。都市公園としてまたとない立地でありながら、以前は活用が十分にされていなかった。立地の可能性を活かし、公園を核に都市を活性化させようと立ち上がったプロジェクトがURBAN PICNIC。2015年に1回目の社会実験として、仮設の芝生を設置し、アウトドアライブラリーやカフェを設置。さらに農業に携わる人と都心の人を結ぶファーマーズマーケットも同時に開催され、多くの人々が利用した。その後も継続的に社会実験を繰り返し、公園を育てる市民「フレンズ」の仕組みを取り入れたほか、持続可能な公園を育てるしくみづくりをめざす収益事業の実験などを実施。8年にわたる地道な活動の集大成として、にぎわい拠点施設「URBAN PICNIC」がオープンすることとなった。神戸の暮らしがますます楽しくなる。