10月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|畳編|Vol.2
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
い草の特徴
前回に続き畳がテーマです。畳は畳表と藁を合わせたものですが、今回から畳表についてご紹介しましょう。
一般的な畳表の材料は、い草です。植物学的にはイネ目イグサ科イグサ属のイグサという種で、湿地や浅い水辺を好む多年草です。野生のものは湿地帯で自生しています。
稲に「コシヒカリ」や「山田錦」などがあるのと同じようにい草にも品種があり、「ひのみどり」「夕凪」「ひのはるか」「涼風」が優良品種として人気があります。
ちなみに、柔道畳や琉球畳によく使われているのは、い草ではなく、七島いとよばれるもので、イネ目カヤツリグサ科カヤツリグサ属のシチトウという植物です。い草の断面が円形であるのに対し、七島いは三角形という違いがあります。
い草の中心構造はスポンジ状になっていて、保温性や断熱性にすぐれ、弾力性もあります。また、吸湿能力が高いのでサラッとした触感で、湿度調整にも威力を発揮。有害物質を吸着し空気をきれいにするだけでなく、最近の研究では、い草の香りにはリラックス効果や安眠効果があることも証明されたとか。
昭和30年代までは岡山県がい草の栽培面積のトップでしたが、現在の主産地は熊本県です。2020年の全国のい草収穫量は6千3百トンで、熊本県がその約99%を占めています。しかし、作付面積、収穫量、生産農家の数のいずれも、ここ10年で約半分に減少しています。
次回はい草の栽培にスポットを当てます。
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