9月号
元町映画館 vol.9|映画の歩みと重なる、アリスを探す旅路
映画はアリスから始まった
元町映画館で4月に開催した「SILENT FILM LIVE 2022春」は、女性映画特集だった。1923年のジェルメーヌ・デュラック作『ほほえむブーデ夫人』も上映され、無声映画時代、すでに女性監督が活躍していたことを知る機会になった。だが、実はもっと前、1985年にリュミエール兄弟の記録映像を観て、感動すると共に記録だけではなく物語をと、次々に現在の映画の原型となる手法や脚本を作り上げていった女性監督がいたのだ。
映画が誕生してから第一次世界大戦後までパイオニアとして映画界に輝かしい足跡を残したにも関わらず、その後映画人にすらその存在が知られなかったアリス・ギイ=ブラシェ(以下アリス)。本作はそんなアリスの手がかりを探す旅を通して、映画の歩み、彼女の豊かな作品たちを映画人たちのインタビューと共に振り返る、とても重要なドキュメンタリーだ。なぜ映画史に名が刻まれなかったのか?作品のゆくえは?探索の糸を手繰り寄せて見えてくることを、ジョディ・フォスターの知的なナレーションで積み重ねていく。晩年のアリスのインタビュー映像も見逃せない。アニエス・ヴァルダが生前に「今こそ知られるべき」と語ったアリスとその作品の魅力を、ぜひ発見してほしい。
(江口由美)
■『映画はアリスから始まった』
“Be Natural: The Untold Story of Alice Guy-Blaché”
(2018年 アメリカ 103分)
監督:パメラ・B・グリーン
ナレーション:ジョディ・フォスター
主な登場人物:アリス・ギイ=ブラシェ、シモーヌ・ブラシェ、ベン・キングズレー、マーティン・スコセッシ、アニエス・ヴァルダ 配給:パンドラ
元町映画館にて9月3日(土)より2週間上映。
<その他の注目作>
上記期間中9月9日(金)・10日(土)の2日間限定で『アリス・ギイ短編集』を上映します。『マダムの欲望』『フェミニズムの結果』など、アリス作品のユーモアや根底に流れるフェミニズムを体感できる機会です。ドキュメンタリーと合わせてお楽しみください。
元町映画館
神戸市中央区元町通4-1-12
66席+1(車椅子)
TEL.078-366-2636
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