2021年
10月号
10月号
木のすまいプロジェクト|平尾工務店|木材編|Vol.4 植林後の管理
失われつつある日本伝統の建築文化を未来へ。
連綿と受け継がれてきた匠たちの仕事をご紹介します。
植林後の管理
今回も、地ごしらえ→植林→下刈り→除伐→間伐→伐採という流れの林業の仕事を、平尾工務店が構造材に使用している紀州材を例にご紹介します。
植林後は苗木の成長が妨げられないよう、下草刈りをおこないます。足場が不安定な急斜面で刈払機を操作し、苗木を傷つけないように慎重に除草しますが、人の手でしかできないことであり、林業の中でも最も過酷な作業のひとつです。これを苗木の生長に応じ、スギは植林から約7年間、ヒノキは約10年間続けないといけません。
また、植え付けた木が病気になったり、生育不良になったり、曲がってしまった場合は適宜除去します。一方で、植林した木以外の雑木が生えてきたら取り除く必要があります。これらの作業を除伐といいます。
やがて木が成長すると森が混み合ってくるので、成長の悪いもの、曲がっているもの、年輪幅が大きすぎたり細かすぎたりしているものなど不良品となりそうな木を間引く間伐を、植林から10~15年ほどの間に1回、その後はだいたい10年ごとに、状況を見つつ適切な時期におこなって適正本数を保ちます。
もし間伐せず放置すれば、十分に日光が届かず、その結果木の成長不良だけでなく、根が浮き上がって保水力を失い、土砂災害の原因となることもあります。また、土壌が痩せてしまうために雨水を濾過する機能が低下、川の水質を悪化させます。
間伐された木は径が細いため建築材に不向きですが、木工品や集成材などの材料として無駄なく活用されます。
自然素材リノベーション │ 神戸ギャラリー
Webサイト:マンション・リノベーション(神戸ギャラリー)|株式会社平尾工務店