5月号
harmony(はーもにぃ) Vol.15 こんな夜更けに バナナかよ②
主人公の鹿野靖明さんは進行性筋ジストロフィーという難病で全身の介助が必要な重度障がい者ですが、家族に頼らず、施設や病院での管理された生活を嫌い、「僕は鎖につながれた犬じゃない」といい、地域で一人暮らしを始めます。その生活は毎日数人のボランティアが交代で四六時中付き添うので、プライバシーなどは全くありません。彼は「あれしろ、これしろ」とボランティアに遠慮なく自分の言いたいこと、してほしいことをなんでも要求していきます。「ジュース飲む!」「新聞読む!」「尾てい骨いたい!体位交替して!」「テレビ見る!」「メロン食べる!」「豚肉嫌い!」などなど。
自分の欲求を満たすため、生命維持のため自己主張を辞めるわけにはいかないのです。鹿野さんは、「他人の世話になっているから」「障がい者だから」「迷惑をかけているから」などの理由で言いたいことも言わず、してほしいことも黙って我慢する、ことはしないのです。わがままを言い、他人に迷惑をかけ続けないと重度の障害のある身では地域で一人では生きていけないのです。「迷惑をかけあうのが生きるということ」「助けてほしい、と声を出す勇気が必要」と鹿野さんは言います。彼の生き方は彼の介護にかかわる多くのボランティアに強い影響を与えました。従来の障がい者や病人のイメージや介護や看護というものの考え方の変革を迫りました。
誰でも他人にまったく迷惑をかけずに生きていくことは出来ません。病気になり、高齢になり、他人の世話にならずには人生を終えられないのです。迷惑をかけあうことやできないことは助けてもらうことの意味を鹿野さんは提示してくれたように感じます。
■書籍
『こんな夜更けにバナナかよ筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』
著者:渡辺一史
出版:文春文庫
■映画
「こんな夜更けにバナナかよ」
主演:大泉洋・高畑充希・三浦春馬
監督:前田哲
配給:松竹
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