2月号
草葉達也の神戸物語
ゲスト:平山 泰代さん
(紙ふうせん ミュージシャン)
草葉 サンテレビで昨年の十月から※番組の司会をされていますが、神戸との関わりは?
平山 学生の頃はJR立花とか西宮に住んでいましたので、ちょうど大阪と神戸の間ですよね? どちらかということ神戸に遊びに行くことが多かったと思います。友だちと遊びに行くのは神戸、家族で一緒に出掛けるのは大阪が多かったですね。
草葉 じゃ馴染みがあるわけですね。どんなところによく行かれましたか?
平山 ジャズ喫茶! 「バンビ」っていうジャズ喫茶がありましてね。
草葉 阪急三宮の山側ですね?
平山 そうです。それはでも大学生になってからですねー。私たちの時代は高校生はね、喫茶店や映画館なんかには入ってはダメと言う時代でしたから(笑) それから、神戸は山があって坂道があって海見えてという、そういうシチュエーションが素敵なので、友だちと散歩なんかもよくしました。
草葉 フォークソングとの出会いは?
平山 高校の時に同級生だった私のパートナーの後藤悦治郎が、学校のトイレを掃除しながら、ずっとフォークソングを歌っていましてね。彼はアメリカンフォークソングが凄く好きで、あーまた歌っているっていう感じで聞いていました。私は大学でクラッシックをやっていたのですが、クラッシックもいいけれどジャズ・シャンソン・ラテン・フォークと他に色んな音楽があるので聞いてみた方がいいんじゃないと言われて、コンサートに初めて行ってカルチャーショックを受けたのがフォークソングでした。
草葉 時代もフォーク全盛の頃ですよね。
平山 そうですね。神戸にポートジュビリーという音楽団体があって、それもよく聞きに行きましたねー。もう店はないですが、あの「蛸の壺」の前に店があって。
草葉 元町ですよね? そういう店が最近はどんどん無くなっていますからねー。神戸にはそんな音楽との思い出がたくさんあると思いますが、紙ふうせんの大ヒット曲である『冬が来る前に』は、私も思い出があり大好きな歌なのですが、あの歌のイメージは神戸にぴったりで、もしかすると神戸をイメージして作られたものなのかなぁと勝手に思っていましたが、どうなのですか?
平山 坂の細い道を… 神戸ですね。
草葉 やはりそうですか!
平山 作詞作曲をした後藤悦治郎が東京で作りましたが、神戸をイメージして作りました。
草葉 いゃー、嬉しいですね。
平山 その次のシングル『霧にぬれても』も、神戸の港にたたずむカトリーヌ・ドヌーブをイメージして作ったと言っていました(笑)。
草葉 (笑)そうでしたか。2曲も続けてということは、紙ふうせんのお二人にとって、神戸は思い出の街なのですか?
平山 神戸の王子動物園でプロポーズされました。
草葉 そうでしたかー、それは聞いておかないと!
平山 後藤悦次郎が、王子動物園の木に登って『結婚してください。返事をもらうまで木から下りません』って。
草葉 それで返事されて。
平山 いえいえ、まだ二十歳ですし返事はできないって言っていると閉門のアナウンスが流れてきて、彼は木から降りざるを得ない状況になりました。
草葉 そのお返事は?
平山 七年後ですね。
草葉 えー!
今でも「冬が来る前に」を聞くと学生時代を思い出します。とてもキュートな平山さんにお会いできて本当に良かったです。30年越しの夢が叶いました(笑)。
※サンテレビ 毎週金曜14:00-15:28 「2時コレ!しっとぉ!?」 【出演】平山泰代(紙ふうせん)、笑福亭銀瓶 ほか
平山 泰代(ひらやま やすよ)
フォークグループ「赤い鳥」のメンバーであった後藤悦治郎と結婚し、解散後二人で「紙ふうせん」として活動を始める。1977年シングル『冬が来る前に』が大ヒット曲。現在は歌手だけでなく、テレビやラジオの司会者としても活躍中。
くさば たつや
神戸生まれ。作家、エッセイスト。
日本ペンクラブ会員、日本演劇学会会員
神戸芸術文化会議会員、大阪大学文学部研究科
阪南大学国際コミュニケーション学部非常勤講師
ひょうご老舗会実行委員長