08.05
WEB版 エンタメ情報|映画『近畿地方のある場所について』
映画監督 白石晃士さん
“近畿”の“禁忌”を映画化
謎は「近畿地方のある場所」につながっていた!
WEB小説サイトで反響を呼び、2023年に単行本化された『近畿地方のある場所について』がついに映画化。監督・脚本は『ノロイ』『サユリ』など、話題のホラー作品を手がけている白石晃士、原作者の背筋も脚本協力で参加、主題歌は「ホラーは十八番」と自ら語る椎名林檎が歌う。スペシャリストがそろい、夏にぴったりの怖い映画が出来上がった。
“近畿地方のある場所”で、白石監督に話を伺った。

Q.小説『近畿地方のある場所について』を読んだときの感想は?
日本に広まっている都市伝説をいろんなかたちで表現していて、それらはバラバラな話なのですが、最後はひとつの事実につながっていきます。ノンフィクションみたいでもあって、怪談のようにも読める。「本当にあった話?」って思わせる小説で、怖くておもしろかったです。
Q.映画にしたいと思いました?
これはいつか…とは思いました。小説、漫画を読むときは、もうそんな目線で読んでしまうんです。小説『近畿地方のある場所について』は怖い話ですし、はじめからそういう気持ちで読みました。
映像化するなら僕は向いているな、と思ったけど、小説ならではのおもしろさが出来上がっているので、難しいだろうなとも思いました。
Q.小説を映画化する際に大切にしていることは?
原作を読んだときのおもしろさ、受ける印象はそのままにしたいと思っています。ですが、文字表現を映像表現に変換する上で、当然、小説の膨大なエピソードをそのまま映像にはできない。限られた時間の中に、どこをどう絞って入れていくかという作業です。テンポ感や視覚の興味をどこにおくか、というところも考えています。
映画は広く公開されるので、観ている人がエンターテインメントとして楽しめるという点も重要だと思っています。
Q.主演は菅野美穂さん、赤楚衛二さん。おふたりともホラーっぽくない…。
そう思ってほしかったのでうれしい。おふたりとも庶民的で親しみやすいですよね。いつも笑顔で。菅野さん、赤楚さんと一緒に怖い話を体験していったら、最後に実は…というのが狙いです。
その前に、キャスティングの話し合いをしていた全員が、菅野さん、赤楚さんにお願いしたいと。そこは一致していました。撮影期間は幸せでしたよ(笑)
Q.原作者の背筋さんは白石作品を観て育ったと話しています。監督はどんな作品を観ていましたか?
洋画が好きで、特にハリウッド作品は観ていました。ホラーでいうと『死霊のはらわた』『遊星からの物体X』『ゾンビ』。人間ではない“得体の知れない”怖いものが好きでした。
小中学生の頃は、心霊、超能力、UFOのテレビ番組がたくさんあって、全部観ていたと思います。中学に入ってからは現実が見えてきて、UFO映像は嘘じゃないかなんて冷めてきましたけどね(笑)
Q.最も怖いと思うジャンルは?
宇宙的恐怖ですね。異世界の存在の怖さは観るのも描くのも好き。宇宙が1番、得体がしれないと思っています。宇宙は絶対ある、人間はそこに生きているのに、宇宙の全ては誰にも見えていない。いまだにわからない。深海の怖さも似ていますね。
Q.昔も今も、人は変わらず怖い話が好きですね。
根本的に、人が感じる“恐怖”は、いつの時代も変わらないと思っています。メディアが進化しているので、見え方の怖さに違いはあるかもしれないけれど、怪談が流行ってるところを見ると、言葉で伝える、昔からある恐怖も、今でも人は「怖い」と感じているんですよね。これはイマジネーションの産物なので、人間ならではの恐怖です。
Q.感じる恐怖もイマジネーションも変わらない…。
そう。だから僕は、映画はあまり時代に寄せなくていいと思っています。怖い話に限らず、感動する話、笑える話、人間のドラマはイマジネーションがあるから、よりおもしろくなる。なかでも怖い話は実体がわからない分、その部分が強いと思います。
僕はそんな映画が好きなので、みんなもそんな映画が観たいんじゃないかな、と思いながら作っています。この作品も楽しんで観てくれたら、うれしいです。
text.田中奈都子

“近畿地方のある場所”で近畿プレミア&上映会が行われた。
左から、白石晃士監督、菅野美穂さん、赤楚衛二さん。
<作品情報>
『近畿地方のある場所について』
原作:背筋「近畿地方のある場所について」(KADOKAWA)
監督:白石晃士
脚本:大石哲也 白石晃士
脚本協力:背筋
音楽:ゲイリー芦屋 重盛康平
主題歌:椎名林檎「白日のもと」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
出演:菅野美穂、赤楚衛二
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/kinkimovie/
©2025「近畿地方のある場所について」製作委員会
2025年8月8日(金)、109シネマズHAT神戸ほか全国公開!












